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月姫リメイクをプレイし終えての所感

初めに

8/29 04:01、PS4版「月姫-A piece of blue glass moon-」最後のトロフィーを獲得し、それまで長時間握りしめていたコントローラを置いた。
終わってしまえば特別優れたノベルゲームというものではなかったかもしれないが、発表されて10と余年、原作となった同人ゲームの発売からは20年余りが経過した作品だ。発売を心待ちにしていた1ファンとして、一刻も早く新生月姫の結末を知るべく、発売日の8/26日の18時ごろに運送業者からソフトを受け取りこの2日余り、寝食を忘れてプレイに没頭した。
公式からネタバレ防止のアナウンスが出ているので、物語の内容には触れないようにしつつ、熱が冷める前に感想を認めたいと思う。

月姫リメイクとは

「月姫-A piece of blue glass moon-」とは、2000年初頭に同人ゲームとして発売された「月姫」を現代版に再構成した作品である。
ジャンルとしては魔法や魔術と言った概念や鬼や吸血鬼と言った怪異が存在する世界観をベースにした伝奇ノベルであり、一部の設定は同ブランドの他作品にも共有され広がり続けている。
そんな21世紀初頭の同人ゲームシーンを代表する作品を現代版にアレンジするという形で発表され、ついに2021年8月26日に発売された。
以下、本作のレビュー

操作性

本作はビジュアルノベルに分類されるアドベンチャーゲームであるため、基本的には1つのボタンを押下することでテキストを読み進めていき、たまにバックログを読み返す、コンソールを呼び出してセーブ及びロードを行う以外の複雑な操作を求められることはない。
故に特別ゲームを進めていく上でストレスを感じる箇所は少ない(シナリオの内容等は含まない)が、強いて挙げるとすればTYPE-MOON作品は既読テキストのスキップ機能が優秀であると個人的に評価している。
ビジュアルノベルにおけるアドベンチャーゲームの要素とは、選択肢によるシナリオの分岐であり、作品によって差異はあれ既読箇所を何度も通過しなければならない機会が多々ある。
この際便利なのが既読テキストのスキップ機能であり、大抵の作品は既読テキストを選択肢又は未読箇所まで自動かつ高速で進めてくれる(以下、高速スキップ)ものになっており、共通テキストの部分をスキップする際に大きな時間短縮になる。
とはいえこの高速スキップ機能はあくまで文章を早送りする機能であるため、特定のシーンまでは背景やキャラクターがセカセカと動き続け、ゲームをプレイし続けていると倍速の有り難みも薄れてくるため結構ストレスを感じる。
TYPE-MOON作品では上記の高速スキップに加え、(おそらく)Fate/Stay nightから選択肢単位でのスキップ機能が搭載されており、ビジュアルノベル特有の「選択を繰り返して正解に辿り着く」作業をスムーズに行えるようになっている。
本作、月姫リメイクにも同様の機能が踏襲されているが、本作は選択肢に加えチャプターごとにスキップされるようになっているため、個人的にはスキップ細分化されすぎていて煩わしく感じた。
が、他のビジュアルノベルよりスキップのストレスが軽減されていることには変わりがないため、ビジュアルノベル初心者にもプレイしやすいのではないのだろうか。
また、同ブランドの作品にはプレイヤーへゲームのフローチャートも公開されているため、回収できていない選択肢の確認も容易となっている。
そのため、アドベンチャーゲームとしての難易度は低めと言えるだろう。

余談として自分はPS4版でプレイしたのだが、タッチパッドにてカーソルを操作できる機能が搭載されていたが、十字キーとその他ボタンで十分操作可能であるためその機能に関してはあまり有用性を見出せなかった。

サウンド

サウンドに関しては個々の嗜好によるとは思われるが、原作をプレイしていたファンには懐かしのBGMやTYPE-MOON作品らしい楽曲がふんだんに使われている。
昨今のゲームには当たり前かもしれないが、サウンドプレイヤーの機能も備わっているためゲーム終了後に楽曲を再生しながら余韻に浸るのもいいかもしれない。

シナリオ


まず、事前情報にあったように今作は「アルクェイド」、「シエル」二人のルートのみ収録されている。
月姫を代表する二人のヒロインだけのシナリオで発売するあたり、古参ファンへ開発遅れのお茶を濁している感じも否めないが、斜め読みでプレイしたとしても30時間は楽しめるボリュームになっているため安心して欲しい。

今作はリメイクということで物語の根幹を成すキャラクターや設定を引き継ぎつつ、シナリオ上大きく変更されている点が多数存在する。
公式で紹介されている通り、原作には登場しなかったキャラクターも追加されており、今作オリジナルの展開で物語が進行する。
古参ファンとしては懐かしさを感じつつも新しいテイストが盛り込まれているため、新鮮な気持ちでゲームを進めることができた。
今作から月姫に触れるが、原作のの大筋はネットの情報等で知っているという方にも、そのあたりを気にすることなくプレイすることができると思われる。

肝心の面白さなのだが、正直特別面白いノベルゲームではなく並みの作品であるというのが全シナリオ、全バッドエンドを回収しての感想だ。
これは原作者である奈須きのこ氏の筆力が衰えたとかそういう話ではなく、月姫以降様々なノベルゲームが発表され、よりクオリティの高いものが続々と生み出されたことにより、月姫も当時ほどの真新しい印象をユーザーに与えられなくなってしまっているからだと思う。

と、若干ネガティブな感想を綴ってしまったが、これからTYPE-MOON作品に触れる方の入門書として、また長年のファンが当時を懐古するには十分な作品であることは間違いない。

非常に雑にはなりましたが、以上がネタバレを含まない純粋な感想となります。
月姫リメイクをプレイするかどうか悩まれている方への参考になれば幸いです。

ネタバレ解禁したらもうちょっとつっこんで書きたいと思いますので、今回はこの辺りで

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