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ミュージカル『GIRLFRIEND』感想~その6~


高橋・萩谷ペアの千穐楽の感想が中心となります。
ようやくストーリーの感想終わりました。
薄れゆく記憶を呼び起こしての感想なので、記憶違いあったらすみません。


【ウィルからの手紙と別れ】

マイクの部屋から去っていくウィル。
上のスクリーンには手紙を書く描写。

翌日、行かないはずの試合会場にいるウィル。
1つの決心をしていたウィルの元にやってくる慌てた様子のマイク。

「有り得ないことが起こった!」

ウィルがマイクのユニフォームにそっと忍ばせた手紙がポケットから落ち、あろうことかマイクの友人が拾って皆の前で読み上げてしまった。

そこに書かれていたのはマイクへの想い…
「愛してる」

「俺は言ってやったんだ、これは歌の歌詞だって!でも信じてもらえなかった。」
これは本当にウィルが書いたのかと問うマイク。

「サヨナラをするつもりで書いたんだ…」

少し間を置いた後、次の言葉を告げる前に遮り縋るようにキスをするマイク。
ウィルを見つめ抱きしめる。

「あいつらのことは振り返らない。大切なのはお前だけだ…愛してるよ俺も」

呆然と光を失っていた目に少しだけ戸惑いの色が差し、ゆっくりと背中に腕をまわすウィル。

ただただ切なくて…ウィルが最後に自分の全てを込めて書いた手紙が晒されたことも、精一杯の「愛してる」をウィルを庇うためとはいえ、マイクが歌の歌詞と誤魔化してしまったことも、お互いを思っているのに、どうしてこんなにも掛け違ってしまったのか…

-あいつらのことは振り返らない-
マイクは見たくないものに背を向けることはできても、マイクの背中ごしにウィルが見る景色はキスをしている自分たちを見ているマイクの友人たち。
この街を去るマイクとこれからもこの街で生きていかなくてはいけないウィル。この瞬間のウィルの絶望はいかほどか、考えるだけでも胸が痛いです。

千穐楽の高橋・萩谷回はマイクがウィルを途中で離さず抱きしめたまま「愛してるよ」を伝え、これまでの回では腕をおろしたままだったウィルが背中に腕をまわして抱きしめ返す形に変わっていました。マイクがウィルの言葉を待つなどゆっくりと丁寧に描かれていて、痛いくらいにウィルの気持ちが伝わってきました。

「だったら行かないでここに残ってよ…」

絞り出すように泣きそうな声で呟かれたウィルの悲痛な願い。
言いたくても言わずにいた願い。唯一最後に溢れ出た願い。

それでも腕を解き告げられる言葉
「それは無理なんだよウィル…」

涙を堪え、絞り出すように吐き出される
「もう無理……」

こんなにも胸を締め付けられる「もう無理」はないです。健介ウィル、どうしてこんな演技ができるんだと思わずにはいられない、今にも消えてしまいそうに儚くて切なくて悲しい一言でした。街を出るという選択肢を取れないウィルにとってマイクの言葉は耐えてきた心を砕く最後の決定打。

「君は去る。僕はここから出ることはできない。周りは学校に行き、仕事に行く、何もない僕は気が付くと時間だけが過ぎていく…人生はクソだ!クソっクソ…」

泣きながら告げる「マイケル…さよなら」
何度も自分に言い聞かせるようにさよならを呟くウィル。

堪えることができず泣きながら去っていくウィルとただ眺めることしかできないマイク。

僅か一夜で幸せから地獄に変わってしまうことはある?と思うくらい残酷な結末でした。

「Nothing Lasts」
あの時に戻れたら
あの幸せに気づけたら
神様がいるなら
君がただ愛を求めてたなら
忘れられないよね
でももう終わりだよ
Nothing lasts
Nothing lasts

歩き出そう
振り返らず
君は来ない
もう二度と
教えてよ
終わりだと
心が凍える
君を消せないままだよ
でももう終わりだよ
Nothing lasts
Nothing lasts

2人の別れからこのNothing Lastsが流れ、2人が傷を抱えながらも時間だけは流れ季節が移っていくのがまた切なかったです。

【I wanted to tell you】

季節は巡り…

リンカーンで勉強に励むマイク。失恋の傷は癒えていない様子で時折思いを馳せている。

ウィルは仕事を見付け、Kマートで働いている。スーパーで流れる懐かしい音楽…

秋が過ぎ冬が来て迎えた新年…

「準備はいい?10…9………1…ハッピーニューイヤー‼️」

リンカーンのライブハウスにいるウィル。
テンション高くライブを楽しむウィル。
仕事が決まり、職場で聞いた懐かしい音楽。新聞でコンサートの記事を見付け、気付いたらバスに乗りやって来ていた。
「決めたんだ、僕はもう帰らない!」

「やりたいことだけやるだけ…」歌い出すウィル。

歌っているウィルに以前のような周りを警戒しておどおどしている様子はなく、明るくこれまで内に秘めていた姿が外に溢れ出ていて、地に足が着いたようなたくましさを感じました。
これまで何もなかったウィルが仕事を得て自立できたことが、街や親から離れることに繋がったのかなと思います。
マイクと出会ったこともウィルの背中を押すきっかけになったはずです。
ある意味ではマイクよりもウィルの方がずっと大人なんだろうなと思いました。

ウィルが楽しそうに歌っている中、同じライブハウスにはマイクの姿。
それぞれ楽しむ中、振り返るとそこにはかつて愛した人が…

「マイク?」 「ウィルなのか?」

駆け寄る2人。舞台に上がり楽しそうに歌い出す。

やりたいことだけ
やるだけやるだけ
やりたいことだけ
やるだけやるだけ

君の世界に浸るよ
僕は怖くない
気付かないうちに
君はもう腕の中に
間違ってた

I wanted to tell you, I wanted to tell you
言えなかったんだ love
ついに見つけた
今僕は君を君を

楽しそうに歌いながら、時計の針を模していた八百屋舞台を自分たちでぐるぐると回し始めた時、止まっていた2人の時間がたしかにまた動き出したのだと実感しました。

歌い終わり、差し出されるマイクの手。ウィルもゆっくりと手を重ね、手を握りあう姿は、これから先何があってももう絶対に離したくないという2人の強い想いが溢れているようでした。

ようやくまた共に歩み始めた2人。2人で歩む道は決して平坦な道ではなく、逃げたくなるような壁もあると思いますが、ただただ幸せであってほしいと願うラストでした。

【おまけに続く】

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