拝啓 これから絶望と希望の境目に立つあなたへ

あなたは明後日、人生に一度しかない(間違いなく一度しかない)出来事を迎えるのでしょう。

あなたはその時どう思うのでしょうか。地獄の淵に立った?それとも希望の始まりを見た?どっちにしたって極楽ではないでしょう。ええ、わかっていますとも。あなたはそこまでポジティブではないし、生半可な選択はしないでしょう。

しかし、それを抱え込んではいけません。なぜって?それはこの先もずっと続くからです。絶望はその存在を否定するより深い絶望と出会い、希望はこの先も届くことのない希望であり続けます。

だから、今ここで、未来に一区切りをうち、新たな紙に未来予想図を描こうとするあなたに、ちょこっとだけ書き残しておこうと思います。

最初に今までのあなたを褒めておきましょう。あまりにも手前味噌ですが、今は誰もあなたを褒めてはくれません。今ここでほめておかないと、あなたの過去は歪んだプライドに変わる恐れがあります。あなたはその可能性を常に持っているのです。ゆめゆめお忘れなく。


あなたは今までよく頑張りました。そりゃあ、世の中にはもっと頑張った人がごまんといます。しかし、あなたなりの努力をして、今こうして書けるほどの健康状態にあるのなら、あなたは十分頑張りました。

その頑張りが何をもたらして、今後どう役に立つのか。それは皆目見当もつきません。でも、いいでしょう。あなたの今までの頑張りは、多かれ少なかれ評価され、カタチになっているのですから。

これからも、頑張りなさい――なんていうのはいらないですね。あなたの一番の功績は、勝負所でそこそこ頑張れるその心根でしょうから。

でも気を付けてください。あなたはスイッチを入れることはできるようになりましたが、切るのが少し、いやだいぶ下手でしょうから。そこら辺を学ぶには、もう本能が逃げるを選択するまで追い込まれた方がいいのかもしれません。いや、今までそれほど追い込まれたシチュエーションがないから切るのがへたくそなんでしょう。だとすればあなたはスイッチを入れるのも存外下手なのかもしれません。

さて、今あなたは悩みを抱えているのでしょう。別に解決しなくてもどうにかなることなのですが、しかし、常に頭の中にある悩みが。

それはずばり、可能性と現実との折り合いです。さすがにあなたも、今からスポーツ選手になれるとは思っていませんでしょう。あまり興味もないですし。

しかし、一方で、スポーツ選手と同じくらい、あまりにも低い可能性に夢を見ていることでしょう。ただ、スポーツ選手と違うところは、あなたの夢は日常と並行しても問題ないということです。それがかえって判断を先延ばししている。

しかし、あなたが判断できないのならば、当然私にも判断はできません。

とりあえず、行動しましょう。そこから得た経験を基に判断しましょう。なにもないあなたではなにも考えることはできません。

こんなこと、古今東西の偉人が言っています。それだけ成功に共通することであり、それだけ、誰しも実行することが困難なのです。

あなたのそのそこそこ頑張るエンジンでとりあえず走ってみましょう。ガス欠には気を付けて。それで見晴らしのいいところまで来たらちょっと止まって考えましょう。それを繰り返せば、あなたの選んだ生き方が出来ます。

・・・なんか自己啓発チックになってしまいました。まあ、いいですよね。別にお金取るわけじゃないし。誰かに見せるわけじゃないし。

さて、最後に。あなたはきっとこれからもっと大人になるのでしょう。幼い日々の小さな悩みは消え去り、小さな喜びもまた消え去ります。こんなに何もない日々はしばらく訪れないかもしれません。

それでも、断言しておきましょう。何もない日々超ヒマでした!あなたがこの先何もない日々をおもいだして、バラ色の日々だったと錯覚しても、この手紙を読んで思い出してください。

もしそんなバラ色の日々に戻ってきて再びこれを読んでいるのならば、とりあえずお疲れさまでした。ここに書かれている通り、あなたはそこそこのエンジンを持ってるはずです。今はちょっとだけメンテナンスして、またぼちぼち動かしましょう。

それでは。