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FORESTONE SAXOPHONE

過去の記事より。

改めまして、2017年3月よりJapan medeのSaxophoneである、『FORESTONE SAXOPHONES』をendorsersさせて頂く事となりました。

FORESTONE reedsの時もそうでしたが、本当に貴重な機会を与えて頂いた皆様に心からの感謝と、責任感を持ってendorserとして勤めていくしだいでございます。

ここで約2ヶ月使用した新しい愛器『FORESTONE Pro-RX GL』の使用感と感想を書いてみようと思います。

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まずはFORESTONE SAXOPHONESの印象から。
最初に楽器を見た時にすごく綺麗な楽器だなという印象でした。それはキーの配置やバランス、彫刻デザインやラッカーの色味、そしてなんといってもフェルトやコルク等の細かいところの処理がしっかりしてありました。当たり前のようで以外と最近の楽器は雑に作ってある事が多いのですが、凄く丁寧に『真面目に』作ってある印象が強かったです。

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マイスター『渡辺 篤史』氏による、徹底した組み上げと調整・品質管理による熟練の技術が本当に良く分かります。その恩恵もあってか選定の時に6本ほど吹きましたが、おどろくほど個体差が少なかったです。特にキー・アクションの統一具合は素晴らしかったです。
管体もキーはシングルアームだったりキーポストも極力小さい物が付いていたりと、剛性を犠牲にすることなく軽量化をはかり、結果管体が軽いのにふくよかなトーンを出す事が出来ています。
私が使用しているProシリーズは、トーンホールがスタンダード・トーンホールなものと、ロールド・トーンホールを選ぶ事ができますスタンダードは素早いレスポンスで、吹奏感も軽く軽快な感じと比べ、ロールドは独特の「粘り」のあるレスポンスで少し抵抗感は出ますが、トーンホール全体がベルの様になり太いトーンとヴォリュームも上がり、表現力の幅も広がります。

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またネックもスタンダード・タイプと軽量なジャズ・タイプ(オプション)が選べます。

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彫刻も今となっては貴重になってきましたが手彫りです。デザインは基本一緒ですが、微妙に1本1本違いがあるのもハンドメイドならではと思います。細かく綺麗なデザインです。

私感でのトーンの感想ですが、深くまろやかだけど音が散らばる事なくしっかりとした音の芯があります。同じような作り方をしている日本製の第二勢力であるW社やG社は、どちらかというとSelmer M6やKingやConnといったようないわゆるドライ・トーンな『JAZZ Vintage』を彷彿とさせますが、FORESTONEはどちらかというとEuropean Vintageの香りがします。CramponやKeilwerthのような太さと力強さを兼ね合わせた独特の感じを、現代に蘇らせた感じがします。ですので吹き方次第でクラシックからジャズ・ポピュラーまで幅広く対応できます。特にラッカー・モデルは個人的にはオールマイティーに使えるバランスの良い個体。

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ノーラッカー・モデルはやはり枯れたドライ・トーンにはなりますが、American Vintageなドライ感とはまた違い、やはり太くふくよかさを兼ね揃えています。

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Altoと同じ使用のTenorもあります。

総括すると非常に良く出来た楽器です。キー配置や大きさも大きすぎず小さすぎず丁度良く、比較的軽量。吹き心地はとにかくスムーズで気持ちよく管体デザイン、調整の細かさ彫刻の細かさと本当に繊細な仕事をしていると思います。トーンは好みがありますので是非ご自身で体験してみて下さい。
短所をしいて述べるならいわゆる『派手さ』がない。楽器としてのバランスは申し分なしですが、たとえばCannonballのようなフィニッシュのバリエーションはなく、トーンももの凄く個性があるかと言えないです。ただ逆を言えば色々と手を出さずにSaxとして王道の作り方で完成度を高め、トーンはプレイヤーがしっかり作り上げていく余地を残していると考えれば、この値段帯では出来過ぎなSaxです。だから『真面目』なんです。

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FORESTONEは皆さんご存知の樹脂製リードでも有名です。またカーボン・ネックやGLモデルと言ったエントリー・グレードも登場しました。
実はFORESTONEはしっかりとした日本のメーカーです。ただ凄くグローバル企業で、現在はリードもSax本体も日本より海外で高い評価を受けています。日本は世界のほとんどのメーカーのSaxやアクセサリーがあります。その中から気に入った物を探すのは実は大変な事だと思います。ですので是非ご自身での理想のトーンや音楽の方向性などこだわりを持って頂き、それを軸にご自身で納得できる物をチョイスして頂きたいです。
FORESTONEは比較的新しいメーカーですし新しい技術をどんどん採用していますが、それは伝統的な楽器作りや理想のトーンを出す為の研究を沢山やっての結果生まれて来た物がほとんどです。伝統を重んじながらもこれからのSaxの未来に向けたチャレンジをしているメーカーだと思います。

個人的にはTenorをKeilwerthに変えたのも、学生時代から好んで聞いていたTenorがGrover Washington, Jr.やKirk WhalumだったりKeilwerthを自然と好み追っかけていた訳で、やっと自分が使えるレベルになったと感じた時にチャレンジで変えて、Sopranoのcannonballはまだ日本で発売され始めた頃に一目惚れし、まだまだcanonballが無名に近くの全く素性の分からないメーカーでしたが、自分の惚れた感覚を信じてチャレンジしました。
そして今回FORESTONEもこのメーカーにはSaxの未来があると感じた自分の感覚と、新しいメーカーと共に成長出来ればとの気持ちで今回もやはりチャレンジなんです。

Saxを通じ沢山の人と出会い、共に音楽をして一人でも多くの方に音楽を聴いて頂く為に、今まで以上に切磋琢磨していきますので、FORESTONE共々よろしくお願い致します。

長文になり申し訳ありません。最後まで読んで頂きありがとうございます。

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