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管楽器の基礎練習その1、ロングトーン

 サックスをはじめ、全ての管楽器の練習に不可欠なのがロングトーン。基礎練習で1番大事で楽器をし続ける限り、一生つきまとう練習と言っても過言ではありません。ロングトーンに始まりロングトーンに終わる。

 ロングトーンは結構印象の悪い練習かもしれません。単調・つまらない・しなくても吹ける etc...。でもそうでしょうか?。もし世界のトッププレイヤーにインタビューが出来たとしたら、『毎日どんな練習をしてますか?』と質問すれば大体、『ロングトーンとスケール練習』との返答が帰ってくるでしょう。どうでしょう?意外ですか?それともそりゃ当たり前?。

 ロングトーンは管楽器奏者にとってのウォーミングアップでもあります。トップアスリートが競技に向かうのに、何もせずいきなり試合に望むことはありません。トップになればなるほど、とんでもないウォーミングアップを効率良くして、自分のパフォーマンスを最大限にいつでも引き出せるようにしています。管楽器奏者にとってロングトーンはウォーミングアップの1番良い方法です。

 ではなぜロングトーンは面倒臭い、初心者がする練習だと思ってしまうのでしょうか。多分それはやり方は知っているが目的が分からないからかもしれません。ロングトーンの目的は安定感の向上です。

 まずは息のコントロール。吸って吹いてのタイミングを安定させます。吹く事は音を出すのに一番必要な事です。吸う事は次の音を出す準備で、必要量と音を出すタイミングを合わせます。これが不安定なら音の大きさや音色がまちまちになり、楽器によっては吹奏感が変わる音では、息が持ったり持たなかったりとアンバランスになってしまいます。ロングトーンの練習で最低音から最高音(アルテシモも含む)までを、同じ音量・統一した音色・音の立ち上がりや切るタイミングを合わせるようにします。かなり神経質に。その為には真っ直ぐな息をイメージし、量や圧力(スピード)をしっかりコントロールしなくてはなりません。低音部・中音部・高音部でそして、木管楽器では吹奏感が変わる音域で吹き方を変えなくてはいけないからです。でも出た音は同じ音量・統一した音色・音の立ち上がりや切るタイミングでなければならないので、そこをポイントに1音1音責任を持って吹いていきます。

 次にアンブシュア。口の力加減は音程と吹き心地に大きく影響してきます。アンブシュアは顔の筋肉、主に口元から頬周りを使います。それは運動と同じで使用しながら鍛えていきます。マッチョな感じではなくあくまで柔らかく柔軟な筋肉です。私は木管楽器奏者なのでそちらの話でいきますが、口元の力加減はできるだけソフトにします。そうすることで音色は豊かで柔らかくなり、吹き心地もとてもスムーズになるはずです。音程も安定させ且つ、ヴァイブラートやベンドを容易にコントロールするには柔軟なアンブシュアが必要です。かなり力を入れて吹いている方が多いと思いますが、基本口に力が入れば音程は上がる(#する)、緩めれば下がる(bする)事になります。基本口元で音程をコントロールするのに、口を閉めて音程を上げる事はほとんどしません。ヴァイブラートもベンドも下げる方を使います。どうでしょう、かなり力んで吹いている方は逆に緩めれますか?。そして長時間吹き続けれますか?。そうアンブシュアは音色作りと音程の安定そして、吹き続ける為の持久力も司っているのです。

 これらをひとつずつ考え意識しながら吹くだけでもかなり大変なはずです。それが出来ていない状態で曲に挑んでも、全然曲に集中ができないと思います。また曲が吹けていても安定性に欠けて、どんだけ吹いても満足いかない状況からは脱せないと思います。それは曲が吹けていないのではなく基礎力による障害です。単純動作のシンプルな仕方のロングトーンで、1音1音しっかり意識しながら吹いて、無意識でも安定性の高い基礎力が身につけば曲を吹いてもスムーズに進んでいくはずです。

 息のコントロールとアンブシュアの安定を鍛えるにはロングトーンしかありません。これらが安定してこそ次に大事になるタンギング、フィンガリングに続いていくわけです。どうでしょう?周りに人がいる状況でケースから楽器を取り出し、吹いた1音目から周りのみんなが振り返ってしまうような音を出してみたいと思いませんか?。その為にはロングトーンの大切さを知り、日々の努力を惜しまない事が必要です。ですのでトッププレイヤーでも毎日続けている訳です。ロングトーンは管楽器をする以上、一生付きまとうとても大事で重要で、一番シンプルな練習です。

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