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大昔に開発した一眼の保護メガネです。


もう40年も前になります。
今見ても、古さは感じません。私だけかな?

当時、この形状のものは、ドイツのウベックスが新型一眼レンズ一体成型の保護メガネとして出てきたモノでした。
今では台湾製、中国製で当たり前にある産業用、工場で使用されるセフティーメガネのタイプです。

レンズ一体型メガネ、そのものへのハードコートは難易度が高く、
どの様にするかはクリアできていませんでした。
ハードコートの粘度で液溜まりが出来ます。
見栄えが良くありません。
粘度を薄くすれば、ハードコートの性能が落ちます。
そのバランスが難しいのです。
使い捨てと割り切ると、この程度でOKとなるのでしょうが。

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このレンズ一体型の安全メガネの金型は多額の開発費が必要です。
一眼の大型レンズを研磨するのも大変です。

また、当時の感覚ではレンズにキズがついたら、メガネ全体をポイするのは、日本では、もったいない感覚がありました。
そこで、レンズ交換が出来るタイプを開発することとして、この保護メガネを開発しました。
レンズ一体型の保護メガネの開発は無理と判断していました。
安価で多量に生産する計画が出来ないと、開発費を償却出来ないとの判断もありました。

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当時は一眼レンズのカットは手動で、倣いでした。
マスターをなぞって、刃物でアンカットレンズをカットする具合です。
倣いのマスターは人が手で一個作りで行います。
左右が異なる場合もありました。

メガネ枠は出来るだけ細く、軽く、視界は広く、そしてかけやすいものを目指しました。

テンプルの格子はルーバータイプにしたかったのですが、
金型での難易度と費用の問題で、イメージを重点にしました。

ヒンジの部分の穴も4軸で同時に開ける事の出来る専用機を作りました。
今では金型の段階でスライド構造になっており、成形したらヒンジ穴も開いているのが普通です。
組立も簡単ですね。
ハードコートの終わった前枠にテンプルをセットするだけです。
一体成型の安全保護メガネは素材はポリカーボネートです。

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この頃のメガネの金型は真鍮でした。
金型を作りやすいのと、鋼材より安価に作れるのです。

現在は3DCADCAMからのNC機械での金型生産に変わっています。
当時はメガネそのものの形状を銅で削り出し、ヤスリで仕上げて、放電マスターを作ります。
大阪の金型工場は顔に掛けれる銅マスターを作り出す、超特殊な職人的な金型工場でした。
私は銅マスターを顔に掛けて、ここを少し、削ってと注文をつけたモノでした。
マスターを手の指で触りまくって、感覚、感触で修正を依頼した覚えがあります。
古き良き時代でした。
今では「少し」は通じませんね。
それは、何ミリですか?と言われてしまいます。


この保護メガネの開発はパノラマプロジェクトと名付けていました。
2眼の保護メガネがほとんどであった時代、1眼の解放感のある保護メガネは、新しいジャンルを作りました。

レンズ交換が出来るので、レーザー用のメガネや溶接用等々、レンズを変えることで、多用途に使うことが出来ました。
思いでの開発商品の一つです。

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