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年の初めに考察

仕事始めの、占い、くじ引き(偶然、賭)の検証もどき考察
まずは、人間の「賭」とか「偶然」の問題 

パスカル「パンセ」の一節、
一生のうちでいちばん大事な事は、職業の選択である。
ところが、偶然がそれを左右しているのだ。なぜなら、人は元来、徳を好み、愚をきらうものなので、言葉が我々の心を動かすのだ。偶然が大きな力をもって支配しているということを指摘している。

「キリスト教を本当だと信じることによってまちがうよりも、まちがった上でキリスト教がほんとうであることを発見するほうが、ずっと恐ろしいだろう」とあります。

理性とか合理性とかで決定できない場合、人間は何によって決定するのか?という問いの投げかけである。

ここに、「賭」とか「偶然」があらわれてくるのである。

自分の意志を自分では(理性によって)決定することができないというときに、人間は偶然にゆだねるということがあるわけです。

旧ソビエトの心理学者ヴィゴッキーの発達理論より
「ブリンダのろば」の中に「偶然」というものを使う人間の知恵の働きを指摘している部分があるんだが、考え方はこんな事です
つまり、人間は、自分で出来ないことがあるときに、意識的に道具を導入してきて、その道具の助けによって、自分のできなかったことを、できるようにする。

そして、それが人間の知恵の発達なのだ、というもの。


トルストイの「戦争と平和」の中では、

「(軍務について軍隊に身を投じようか、それともさらに待機する方がいいだろうか?)ピエールはわれとわが心にかうした質問を百篇もくり返した。彼はテーブルの上にあった一組のトランプを取って、ひとり「占い」を始めたのである。

「この「占い」がうまくいったならば----!」彼はカードを切り、上目をつかいながら独り言をいった。

「占い」ができたら、その意味は--? 何を意味するだらう--?=中略=
(恐らくおれに軍隊に加はれとでも言ふのだらう)と彼は考えを、=中略=

「占い」は上出来だったけれど、ピエールは軍隊に加はるでもなく、相変わらず自分の心の動揺や不決断を恐れたり、同時に喜んだりしながら、住民を失ったモスクワに踏みとどまり、恐るべき何者かを待ちつづけた。・・・・・・・」
 
こういう状況下では、人は、自分の力で意志を決定することができない、それである種の道具を導入するわけです。
つまり、ここでは、「賭」とか「くじ引き」とか、「偶然」を活用した道具、ピエールの場合はトランプ占いという訳ですが、これを導入して自分の意志決定の補助とする。そういう知恵を働かす。
これは、一見、外側から見ると、あたかも「偶然」に身を全くゆだねているようにもみえます。 
しかし、実は、自分の意志の決定を、道具にゆだねながら、なお、その道具を使うことにおいて、自分の意志を貫いていると言う事なのです。

身近では、分かれ道でコインを投げて表が出るか裏が出るかで右に行くか左にいくかを決めるのと同じことなのだ。

出典 :「パスカル」(中央公論社): ヴィゴッキー「精神発達の理論」(明治図書): トルストイ「戦争と平和」(新潮文庫)


【中古】世界の名著24/パスカル「パンセ」「小品集」/中央公論社/昭和41初版/函・月報付/函ヨゴレ等経年劣化有/見返し・月報経年変色有 [管理番号]専門書2300

ここの判定も「偶然」や「賭」と同じ道具ですので、道具にゆだねながら、道具を使うことによって、自分の意志を貫くのはいかがでしょう。私の仕事始めは、今年こそ、皆さんに平等に幸あれと願うばかりである





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