eスポーツで地方活性化?!?

まずはじめに、地方創生とeスポーツとは関係のないものに思われるかもしれません。
eスポーツとはゲームを使う娯楽や競技、スポーツ全般であり、世界各国で盛り上がりを見せています。実際にポーランドにある地方都市では、eスポーツの大会のために約17万4,000人が来場したほどです。
日本でも人気が高まっており、2018年にはファン数は約383万人、市場規模が約48億3,000万円まで拡大しました。
地方でも試合会場などを設けることで、eスポーツによる地域活性化が期待できます。

目次
・eスポーツとは
・eスポーツの市場規模
・eスポーツで集客
・おわりに

①eスポーツとは

eスポーツとは、電子機器を使った娯楽や競技、スポーツ全般です。
電子機器はコンピューターゲームやビデオゲームを指しており、ゲーム内で勝ち負けを競います。ゲーム内での対戦を、野球やサッカーのように多くの人が観戦することも可能です。
eスポーツは1980年代、コンピューターゲームが誕生した頃に生まれました。そして1990年代にインターネットが普及したことでユーザーが増加し、なおかつゲームのスポーツ化も拡大したといわれています。
そのあとフランスを筆頭に、中国やロシアなどで大会が開催され、日本でも人気が高まっています。
またeスポーツは競技であることから、*スポーツツーリズムのひとつとして考えられています。
*スポーツツーリズム: スポーツを通した観光客の呼び込み

eスポーツを含むスポーツツーリズムは、主に3つの要素から成り立っています。
・観る
・する
・支える
eスポーツは、現在「観る」の要素が広まりつつある状態です。
特にeスポーツはネット上でも観戦できるため、参加者は試合会場まで足を運ぶ必要がありません。野球やサッカーのように、自宅からインターネットを通して楽しむことも可能です。
このように日本でもeスポーツは広がりつつあるのです。

②eスポーツの市場規模

もともとeスポーツは海外で人気を高めていたこともあり、世界各国で大会に多くの人が参加しています。
例えばポーランドにある都市「カトヴィツェ」では、毎年3月にeスポーツの世界大会「IEM(Intel Extreme Masters World Championship)」が開催されます。
IEMは2007年にはじまった国際トーナメントであり、2014年からカトヴィツェを決勝戦の会場としています。
カトヴィツェは人口30万人と、それほど大きな都市ではありません。(日本で言う明石市が30万人)
しかし、eスポーツの世界大会と隣接会場でのイベントによって、約17万4,000人がカトヴィツェを訪れています。
またオンラインでの観戦も含めると、以下を記録しました。

視聴者の数:約1億9,500万人
視聴時間:約1億2,600万時間
(引用:JTB総合研究所「世界中の若者が熱狂する「eスポーツ」の魅力について」)

来場者はそれほど多くなくても、世界中に多くのファンが存在していることがわかります。実際にeスポーツの競技人口は、約1億3,000万人といわれているのが現状です。
この人気から、世界では「将来はeスポーツの選手になりたい」と考えている若者も少なくありません。実際に、大会の賞金で生計を立てているeスポーツ選手も増えています。
このように世界におけるeスポーツは、ほかのスポーツと変わらない地位を確立してきています。
日本では2007年に「eスポーツ協会設立準備委員会」が発足し、その年の12月には「eスポーツ日韓戦」が開催されました。

【2017年】
ファン数:約230万人
市場規模:約3億7,000万円
【2018年】
ファン数:約383万人
市場規模:約48億3,000万円

そして、2018年にファン数や市場規模が拡大したことから、この年は日本の「eスポーツ元年」となりました。
市場規模は2020年に、約72億6300万円まで拡大する見込みとされています。

③eスポーツで集客

ここでようやく地方創生に触れていきたいと思います。インバウンド集客にeスポーツを活かす為のポイントとして、

⑴オンラインでeスポーツを観戦してもらう
⑵来場したくなるコンテンツを用意する
⑶会場観戦を体験してもらう

の3つを解説します。

ポイント1:オンラインでeスポーツを観戦してもらう

1つ目は「オンラインでeスポーツを観戦する人を増やすこと」です。
eスポーツはインターネット上で実況中継されることが少なくありません。そしてインターネット上であれば、自宅から気軽に、娯楽を楽しむつもりで参加できます。
ゲーム実況中継の視聴者が増えることで、

・実際に会場で見てみたい
・複数人で観戦したい
・声を出して応援したい

などの気持ちが芽生えることもあります。
オンラインでの観戦から、会場でのゲーム観戦に興味を持つこともあります。
eスポーツ自体の知名度アップのためには、動画サイトでのイベント配信や有名プレイヤーによる情報発信などがおすすめです。

ポイント2:来場したくなるコンテンツを用意する

2つ目は「来場したくなるコンテンツを用意すること」です。

eスポーツのイベントで披露されるのは、ゲームの試合だけではありません。
例えば、株式会社CyberZがエイベックス・エンタテインメントと共同で開催しているeスポーツの大会「RAGE」では、以下のコンテンツを用意しました。

・有名ゲームプレイヤーによる対戦
・コスプレの撮影大会
・物販

eスポーツに軽く興味があるくらいの人でも、コスプレや観光などほかのコンテンツによって、来場意欲が高まることがあります。

(事例)
また富山県では、eスポーツ協会が地方における本格的な普及を目標に、大小あわせて45回の大会を開催してきました。大会にあわせて地酒イベントを開催するなど、観光とも結びつけています。

地域の伝統産業や観光とあわせて大会をアピールすることで、地域活性化につながることもあります。

ポイント3:会場観戦を体験してもらう

3つ目は「会場での観戦を体験してもらうこと」です。
会場での観戦を「楽しい」と感じてもらうことで、再訪につながるのではないでしょうか。
会場での観戦を体験してもらうことで、リピーターにつながる可能性があります。
またこのときに、専用会場などを用意するのもおすすめです。
例えば東京の池袋では、2018年4月にeスポーツ施設「LFS池袋e sports Arena」がオープンしました。施設内ではeスポーツ大会に対応できる設備と、大型スクリーンなども用意されています。
専用会場を設置することで、来場を目的に地方を訪れる可能性も高まります。

終わりに

今後は、eスポーツへの取り組みを強化する団体や地方自治体、地元企業なども増えるだろう。地方でのイベント開催にはゲームメーカーも注目しており、Cygamesなど主催者をサポートするメニューを用意している企業もあります。大都市圏の大型イベントと並び、地方発のeスポーツイベントが日本でのeスポーツの定着、発展における両輪となる事に期待したいと思います。
このように若者に人気のあるeスポーツが地方で行われる事で一見関係のない「eスポーツ」と「地方創生」を関連づけることができます。現在では、富山県を始め北陸ではeスポーツの発信に力を入れており、「今、地方でeスポーツが一番盛り上がっているのは北陸だ」というのはeスポーツ関係者の中では常識です。「富山モデル」と呼ばれる成功例もあり、eスポーツと地方創生はこれからも注目できるものではないでしょうか。