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傑作「若林くんが寝かせてくれない」

寝かせちくりー。JK若林郁乃、いつも寝不足のおでぶちゃん須住(すすむ)先生を、寝かせてあげないよ、とちくちく攻撃する。

若林くんは可愛い。「ヘンな子」具合がとてもいい。こんな子いたらいいな、の絶妙さをばちっと取ってくる。ぬーっとしたヘンな感じ。

性で迫る描写もそこそこあるが、若林くんのヘンさで、ちょっとクリエイティブに須住先生を寝かせてあげないのがいい。学校の保健室で眠ろうとする須住先生の「愛用枕」を勝手に抱いて現れる、廊下での出会いの一場面がすっばらしい。

この普通さ、ヘンさ、可愛さ。

ラッパーで映画評論家の宇多丸が「君の名は。」を評したときに、「結局、ボーイ・ミーツ・ガールなんだ!」と良い意味で説いていたが、若林くんと須住先生の出会いの一場面もボーイ・ミーツ・ガールの優れたサンプルと言える。

寝かせてあげない、寝かせてくれない。この展開が結局おんなじことの繰り返しになり、文学的反復までには至らなくても、ここに普通の人の生活の描写がある。

戌井昭人とか西村賢太の一種と言えようか。まさか売れ損ね漫画などと、ばかにできない。「アニメになってもそんなに面白くなさそう」というのは、漫画の褒め言葉だ。

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