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被暗示性の高さは良い?悪い?

催眠に絡んでいると「被暗示性」という言葉を聞くことがあるかもしれません。
「被暗示性」とは文字通り「暗示の掛かりやすさ」ということですが、催眠の掛かりやすさと捉えている方もいるかもしれません。
ようは催眠やった時に「手が固まる」とか「味が変わる」とかそういう暗示に掛かりやすいかどうかという風にひとまず捉えて下さい。

催眠をやってると、この被暗示性が高い方とときどき出会います。
Kaiは催眠をやるとき、初めて催眠を掛けさせてもらう回では大体現象系の暗示をいくつか試します。(別記事「催眠の流れ(現象系暗示編)」参照)

それらの暗示が全部かかるという人は少なくて、暗示の中でも掛かりやすいものと掛かりにくいものなどいろいろとあります。
そして、掛かりにくい暗示は、たまーにかかる人がいるかな、くらいのものもあります。

そして、最近催眠をやった方で、全暗示パーフェクトに掛かる方がひさびさに現れました。
掛かる確率の低い「視覚変化(幻視)」暗示も完璧に入りました。
目の前に会いたい人が現れると言えば見えて直視できないと言いますし(ちなみに匂いもしたそうです)、満員電車の中にいるというと完全に視覚も感覚もそうなってしまいます。

こういう被暗示性が高い方と出会うと、催眠掛け手として楽しい反面、心配にもなってしまいます。
なぜなら「催眠被害にも遭いやすいタイプ」だからです。

その方は健忘も完璧に入りました。
そして健忘が入るということは、嫌なことや困ったことをしてもそれを忘れさせる、ということができてしまう可能性があるのです。
嫌な暗示を入れられても抵抗できないかもしれませんし、そもそも抵抗すらする気にならない無意識化で入れられる可能性すらあります。
悪意がある人と催眠をやるとかなりリスクが高いタイプです。

しかも、その方はとても好奇心が旺盛で、危険なことにもむしろ自分から近づいて行ってしまうというタイプでした。(!!!)
それを聞いただけで、もう本当に危ない!と心配になってしまいました。
例えて言うなら、相手が詐欺師だと分かっていても、本当に詐欺に遭うのか試してみよう、と近寄ってしまう、そして案の定簡単に詐欺に遭ってしまうというタイプなのです。詐欺師からしたらカモも良いところです。

ですので、その方には「被暗示性がとても高いので、危ない催眠掛け手には絶対に近づかないでください。」と強く伝えました。

そして、被暗示性というのは、実は催眠中でなくても影響します。
他の記事でも触れていますが「催眠に掛かりやすい」のと「暗示に掛かりやすい」のは少し違います。
暗示というのは、催眠に掛かってなくても掛かる場合があります。

それを伝えるためにこんなことをしてみました。
催眠を一通り終えて解除まで行った後に、催眠導入をせずに「手が固まる」という暗示を行います。
案の定、この方にはそれが掛かってしまいます。
え?暗示って催眠掛かってないと掛からないんじゃないの?と思う方もいるでしょう。
Kaiも催眠を始めてしばらくはそう思ってました。
でも、昨年いろいろ試してそうではないことを知りました。
暗示というのは、催眠状態で掛かりやすくなりますが、催眠状態でなくても掛かる可能性があります。
今回の「手が固まる」というのもそうです。
催眠終わった直後だからたまたまそうなったんだろう、と思う方もいるかもしれません。
もちろんそういうケースもあります。
でも、この方の場合は、多分次に通話をした時もいきなり「手が固まる」暗示を入れれば掛かってしまうと思います。
なぜなら、この方は被暗示性が非常に高く、Kaiの催眠(暗示)には掛かるともう認識しているからです。

実は、こういう方は催眠をやってない日常でも知らず知らずのうちに、他人や周りからの影響を敏感に受けてしまっている、つまり暗示として影響を受けている可能性があります。
例えば、自分より立場の上の人(親、兄弟、先生、上司など)から「あなたはこういう人だ」とか「こうするべきだ」と言われると、それを無意識に受け取ってそういう風にしないといけないと考えや行動を変えてしまっている場合があります。
それが良いことであればいいのですが、ネガティブなメッセージを受け取ると心身にも悪い影響が出やすいタイプと言えます。

だから、被暗示性が高い方はまずはそれを自覚すること、そして周りからの影響を受けやすいので気を付けること、さらにそれを自分でコントロールできるようになること、が大事だと思います。

例えば、普通の人は他人からの言葉や影響について金属製の盾を持っていて、自分にとって悪いものが近づいてきたらその盾を使って防御ができます。
でも被暗示性が高い方は、その盾が木製だったり、あるいは段ボールだったり、穴がたくさん開いていたり、酷ければ盾を持っていない可能性すらあります。
だから防御が弱かったり、できなかったりするのです。

ではどうすればいいのか。
ひとつは危険なものには近づかないことです。
君子危うきに近寄らず、です。
少なくとも危ないと分かってるものには近づくのをやめましょう。だって盾が弱かったり無かったりするんですから。
もうひとつは、盾が弱かったり無かったら、もっとちゃんとした盾を持ちましょうということです。
つまり、他人からの影響に対してそのまま受け取らずに、ブロックしたり、跳ね返す力を訓練してつければいいのです。
良くない言葉などを聞いても自分とは違うと思ったり、自分は自分の考えがあると思ったりするわけです。
催眠もそうです。
暗示に掛からないように意識してみるとか、自分の中でコントロールする意識を持ったりする方法を考えてみても良いかもしれません。

そこまでできなくても、自分の被暗示性の高さを認識し、他人からの影響を無意識に受けている、受けやすいタイプだと知るだけで、少し意識が変わったり、他人からの影響を一旦自分の中でワンクッションおいて考えられるようになるかもしれません。

被暗示性が高い方は、ある意味とても素直な方だと思います。
それがプラスになることもマイナスになることもあるでしょう。
社会や人間関係の中で疲れたり、苦労することも多いんじゃないかと思います。
でも、マイナスになる理由や原因を知っていたり、マイナスを減らす方法を知れば、少しは改善するかもしれません。
「暗示は自分でコントロールできるもの」ということが分かれば、きっと少しずつでも変わっていくことができるでしょう。

催眠を通して、ときにはこういうことが分かることがあります。
催眠や暗示は脳や思考そして身体とも密接に関わっていますので、単なる遊びだけで終わらず、日常でもうまく活用したり、自分を知る切っ掛けになればと思います。

Kai@催眠

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