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白トラ弐10 キーワードは『王子』と『ミソ』

 『王子』というのがどういう形で推移していたか?次元も時間軸も無数に存在するなら、きっと白へびの『王子』っぷりも様々な形に表現されていたに違いない。

 京都御所の何かしらのお役目をちょこっとさせてもらっていた家系の何代目かの何番目かの子として生まれた過去世があっても不思議じゃないだろう。

 マイペースな白へびは、お役目の合間合間、適当に街中(まちなか)ちょい外れのお団子屋に油を売りに出入りしていた。世の中の不思議話や街の噂の真相を知る限り舞妓さんや街の人達にちょくちょくお伝えしていたのかもしれない。
 『街中ちょい外れ』というのがミソである。

 白へびが東京在住20年間のうち合計15年ほど生息していた場所は調布市つつじヶ丘。新宿から電車で20分程度八王子方面に移動しただけで都会の雰囲気とは一変、にして田舎過ぎない。しかし、今更区画整理のしようがないほど田舎道が多く残る地域。

 『街中ちょい外れのお団子屋』というのがさらにミソである。つつじヶ丘にはお団子を取り扱うお店がほぼ同じ住所に二軒ある。一軒は駅に近い表通りの人が多く往来する側のお店。もう一軒は、その人が多く往来する通りより1本奥側、雑居ビル群のやや辺境にあった。1本奥といっても40~50mはあるか?まぁまぁ離れている。注意深く見ていないと見落としてしまう所に位置している。

 最初、表通りのお店と雑居ビル群のやや辺境のお店両者のお団子を食べ比べたことがある。何回か交互に買ってみたが、白へびの舌には雑居ビル群のやや辺境のお店のお団子の食感の方が秀でて(ひいでて)美味しく感じたのだ。

 つづく

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