らしさってなんだろう

我々の見た目は150cmの女性なので、例え心が男性だろうと、個々に意思があろうと、相手は「150cmの小柄な女性」として扱います。
身長小さくてかわいいね、小柄で女性らしいね、というのです。
多くの小柄な女性はそれで喜ぶのでしょうが、特に何も知らない1、2回会っただけの初対面、もしくは顔見知り程度の付き合いで、容姿を褒めて必ず喜ぶと思う心理が私には分かりません。

そもそも、人を褒めるという行為自体、その人自身をよく知りもせず行うのは非常にリスキーな行為だと思います。
あなたにとってその人を、よく知りもせず……例えば「優しいね」と褒めたとしましょう。
もしもその人が過去に自らの優しさが原因で大切な人を亡くした…そんな可能性があったとしたら、善意で人を傷付けることに繋がりかねないと思います。

相手は善意と知っているわけなので、あなたの言葉に「ありがとう」と言うでしょう。
でも、その後その人が過去の苦しみを思い出して一人泣いていたりしたなら、あなたも苦しいはずです。

褒めるということは、慎重にしなければならないというのは何となくお分かりかと思います。
でも、世の中では容姿を褒めると誰しも喜ぶとどこかで錯覚している。
我々は小柄な体を褒められること、女性らしさを褒められることを酷く嫌います。男性に生まれたかった、もっと身長がほしかった、もっと低い声に生まれたかった、男性に生まれたかった。
あなたが褒めた「女性らしさ」で、我々の「らしさ」は否定されるわけです。

どうしてこんな話をしたか。
以前、初対面で「かわいい!」と言ってくる方に何度もお会いしました。
これは配信でもネットでもなく、現実世界での話です。
顔を見るなり「ちっちゃくてかわいい」だの「私、あなたみたいに小柄に生まれたかったの」だの、その言葉でどれほどに気分が悪かったか。
事情を知っている知人が「すみません、彼女、込み入った事情があるので、あまり女性らしさに関して踏み込まないであげてください」と言ってくださったはいいものの、事情を知っていても我々を「彼女」と女性扱いしなければいけない、そうでないと受け入れられない、という空気を感じて、気分が悪かったですね。

容姿を褒めてくる方は、圧倒的に体の同性である女性が多いです。女性の中では相手の容姿を褒めるのが挨拶代わりなのでしょうが、我々には分からない文化でした。
逆に男性からは特に容姿に関して何も言われません。言うとセクハラになるという手前もあるのでしょうが。
そして、初対面で「かわいい!」と言った方はほとんどが40代以上の方でした。
文化の違いと諦めたいのはやまやまでしたが、定期的にいらっしゃる訪問看護の看護師さんで、何度指摘してもやめてくださらなかったので、我々はその方に会う度心が辛くなり、契約を切るまでの1ヶ月間はポストに鍵を入れて外出し、「薬だけ1週間分振り分けておいてください」と書き置きしていましたので、我々が看護師さんをよくおもっていなかったのは分かっていたはずでしょうが、何の意地悪か「次もまた会いたいです」「引っ越すって聞きましたがその先でも担当できませんか?」と言ってきました。
少し、気味の悪い人でした。


まあ……体良く人の悪口を書いただけなんですけど。
私も性格に難がありますね。人のこと言えないな。
文章・佐久間

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