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国際列車がスト。26時間待ち!

新年のカウントダウンには行かず、荷造りがあるのでウェークアップコールは午前5時半に。アヴィニヨン・サントル駅からTGV駅へはわずか5分ですが、列車が運行されるかどうかがわからない。元日は危ないようです。そこでホテルのフロントにタクシーを予約してもらいました。

これが駅だろうか?

TGV駅まで約15分で21・5ユーロ(約2688円)でした。タクシーを下車したところは何もないところです。こんもりと高くなったところに広場があり、その向こうに見える駅舎かなと思う建物は、見た目は閉館中のミュージアムみたいな雰囲気です。霜で白くなった広場を通ってそこに向かいました。


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バルセロナ行きがない!

改札前の出発用のモニターには、日本で予約した午前8時40分発、午後12時34分バルセロナ着のTGVは表示されていません。

元日早々、ストライキに当たってしまったのか。

バルセロナばかりか、パリ・リヨン駅方面行きなども、かなりの本数が間引きされているようです。

アヴィニヨンに引き返そうにもローカル列車もゼロ!

市内バスもありません。

アヴィニヨンTGV駅は陸の孤島です。

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改札のヨコには切符を買ったり予約したりする旅客センターみたいなところがあり、8時になれば窓口が開くようなので扉の前に並ぶことにしました。わたしが乗車を予定していたバルセロナ行きのTGVは8時40分発だったので、長い列ができる前に早めに手を打ったほうがいいと思いました。

すでに数組並んでいました。パリに向かおうとした若い日本人夫婦のTGVもないようです。前日、アルルやアヴィニヨンで何度か見かけた韓国の男子大学生の2人連れ、バルセロナに帰ろうとしているスペイン人の若者のグループ。

皆が困惑しています。

翌日に変更

窓口でEチケットを見せると、ストでキャンセルになっているということでした。代わりの便に変更してくれるよう申し出ました。確認してもらうのに、かなり時間がかかっています。結局、この日のうちには乗れず、一番早くて翌日の10時28分発になるということです。「それでよいか」と聞かれれば、それしか選択の余地はありません。変更できただけマシかもしれません。なんと26時間待ちです。大晦日のアルルでの時間待ちなどかわいいものです。

パリに向かう日本人夫婦は、数時間待てば、この日に出発できるそうです。何度もフランスに来ているが、そのたび、被害に遭っているということです。フランスの鉄道ストは名物みたいですね。

さて、わたしが乗ることのできる列車は、バルセロナへの直通ではなく、翌1月2日の午前10時28分にアヴィニヨンTGV駅からいったんマルセイユまで遠回りし、マルセイユで20分待って、午前11時25分に乗り、アルルのそばのNimesという駅で下車。そこで、バルセロナ行きに乗り換えるという大回りです。アヴィニヨンとNimesはすぐそばです。Nimesは午後1時16分に出て、バルセロナには夕方4時53分の到着の予定です。

<当初の予定> 1日午前8時40分アヴィニヨンTGV発→お昼の12時34分バルセロナ着

<変更後の予定>2日午前10時28分アヴィニヨンTGV発→11時5分マルセイユ着 11時25分マルセイユ発→12時33分Nimes下車 13時16分Nimes発→16時53分バルセロナ着

アヴィニヨンとNimesが二等辺三角形の底辺を結ぶとしたらマルセイユはその頂点の位置にある。アヴィニヨンからNimesへまっすぐ行けば近そうなものであるが、そのような大回りをしないとバルセロナへ行く方法はなかったのです。ならば、1日のうちにマルセイユに行き、マルセイユで一泊してみたいと思いましたが、そのルートを確保できるかどうかもわかりませんし、元日ではレストラン等の店が営業していない可能性のほうが大です。

知らない街に行くよりは、勝手知ったるアヴィニヨンに戻り、ゆっくりしたほうが確実です。

けれど、こんなところからどうやって帰ろうか。

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さて次は、どうやってアヴィニヨンTGV駅からアヴィニョン・サントル駅に戻るかです。だあ~れもいない。

通常に列車が運行されていれば5分で行けますが、ストのため運休。バスも運休らしく、タクシーを呼ぶしかないらしいです。

タクシーを降りたところに行ってもタクシーは一台も止まってはおらず、電話番号が書かれた看板が設置されていました。しかし、またタクシー代を払うのもばかばかしいとの思いがありました。

距離は5キロぐらいだと聞いている。歩けなくはないはずです。時間だけは十分にある!

けれど、方角がまったくわからない平板な土地です。1月1日なので、道を聞く人はいるのかさえわかりません。

アヴィニヨンの目印となる街並みが見えてくればよいが、それが見えなければ道を聞く家さえなさそうなこの土地では、たとえ5キロでも不安です。

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駅員が通りがかった。そのとき、小さなバスの運転手がコーヒー片手に。

たまたま近くにやってきた駅員らしい男の人には英語が通じたので道を聞いてみました。

「行けるよ。まっすぐ行って、大きな交差点を左。わかりやすいよ」。

とはいうが不安。スマホがあれば道ナビアプリがアシストしてくれるのだろうが、わたしのガラケーの携帯ではこんなとき役立ちそうにありません。

歩きだそうと覚悟を決めたちょうどそのとき、ドアを開けたままエンジンのかかっている小型の黄色いバスを見つけました。

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運転手は駅のカフェにコーヒーを買いに行ったらしく、紙カップを持って歩いてくるところです。そこで、先ほどの駅員さんに駆け寄り、このバスはアヴィニョン・サントル駅のほうに行くかどうか聞いてもらえないかと頼みました。

答えは、駅には行かないが、乗り継ぎのできるトラムの駅には止まるのでそこで乗り換えればよいとのことでした。1・1€(約137・5円)支払うとタッチ式のプリペイドカードをくれました。運転手さんはフランス語しかできませんでしたが、乗客はわたし一人だったこともあって、乗り降りの際、カードをどこにタッチすればよいかを丁寧に教えてくれました。そして、60分以内であればこのカードでトラムにも乗り継ぎができるということも。これで、もっともお手軽な方法で帰ることができます。

[注] 上の写真は、TGV駅から乗せてもらったバスではありませんが、こんな感じのクルマでした。


たまたま出合い、とても助かった小さなバスを旧市街の塀の外で下車。運転手さんにはとても感謝している気持ちを伝えました。

そして、すぐに来たトラムに乗り換え、アヴィニヨンの旧市街の塀の外沿いに走り、アヴィニョン・サントル駅前で下車。また、この街に帰ってきました。

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チェックアウトしたホテルにチェックイン

TGV駅から10数分後にはアヴィニョン・サントル駅前に戻ってきました。

チェックアウトしてから2時間後に再び、フロントに姿を現したわたしに、フロントの人は「ノー・トレイン」という理由には驚きもせず状況を呑み込んだようです。

わたしが使っていた部屋でよいというと、まだ掃除をしていないのでいますぐに入ってもよいということです。

「1泊、55ユーロ(6,875円)でいかがですか?」。

朝9時のチェックイン。文句があろうはずはありません。

我が部屋に帰ってきた気分です。

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