不倫にまつわるエトセトラ⑩
〜SIDE P〜
一連の爆破事件の容疑者宅を捜査中にレンタルボックスの鍵が見つかる。爆発現場のキッチンの向かいにある冷蔵庫の下に落ちていた。もしかすると被害者の旦那が爆発で倒れた時に落としたものかもしれない。何かヒントがあるのではと思って該当のレンタルボックスを開ける。
レンタルボックスの中にはゴルフ用品などの他に1冊のノートが見つかった。容疑者は一貫して容疑を否認しており新たな物的証拠がないか捜査中だ。
このノート…仕事に使われていたのか。ページを捲ると仕事の内容に関連する内容が記載されている。パラパラとページを捲ると小さなメモが落ちた。それを拾い上げる。そこには色々なことが書いてあった。
T(運び屋)
前日に工場へ運搬 当日は自宅へ配送
もし運ばなかった場合 資料とSDカードを家族・近隣の家庭へ配布
S(化学者)
薬品の確保 物の作成 Tへ受け渡し
もし渡さなかった場合 資料とSDカードを委員会へ送付 コミュニティ内へデータで投下
Y(整備士)
車の整備 物資のセッティング
もし実行しなかったもしくは失敗した場合Fへ資料送付
S(愚か者)
危険なドライブ 愛する物を無くす
どちらも未達成な場合、Sへ真実を伝える。同時に箱の中のプレゼントを配送。
イニシャルは職業の頭文字か…
T→TRANSPORTER
S→SCIENTIST
いや、違う。
整備士の最初のスペルはMだ。少しニュアンスを変えてもYにはならない。
それに愚か者もSではない。
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TとSが個別に連絡をとった場合
資料を週刊誌へ送付 裁判で情報公開
攻撃力が足りない場合 自ら告白 裁判で情報公開
E(愛した女)
犯罪者の妻としての業 全てがうまくいってしまった場合はプレゼントを渡す
…メモはここで終わっている
犯罪者の妻…E 全てがうまくいった場合…
そうか。これは…わかった。この爆破事件…全てが…
そう思って署に連絡しようと携帯を取り出す。そこに相棒が声をかけてくる。
「先輩。何すかねーこの箱。奥の方にあったんですけど」
小さな段ボールを2つ。中身を確認するように振りながら話しかけてきた。
プレゼント…まさか…そう思った瞬間
相棒の手元から強い光が飛び全身を熱が駆け巡る。薄れゆく意識の中で
「ああ…ようやく真相に辿り着いたのに」
と呟くしかなかった。右手のメモは音を立てて燃えていた。
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