見出し画像

特に意味のない文章009

遂に9回目である。何が遂になのかは知らないが。9回目に達したのだ。今日選んだ写真はどこかの夕焼けの写真である。地球は大気の厚みがそれなりにあるので、日没になるとレイリー散乱という現象の都合で、空が赤く染まる。波長が短いものほど粒子に衝突しやすく、その場で光が散乱してしまうのが原因である。なお、火星では大気が薄い為、日没に近づくにつれ、青白い夕焼けが発生する。不思議なものだ。

さて、今回は何の話をしようか。
いい加減見出しを作れと言いたくなるが、そんな上等なものを作る予定はない。と言うのも、思いついたままに文章を書いているから、見出しの様な計画性が必要なものは作れないのだ。すまない。果汁0.2%ぐらいの気持ちですまないと思っている。

そうだな、ふむ、友人Dとの愉快なバーベキューの話にするか。

今回の話は凄く長いので前編、後編に分けられる。

── 友人Dとの楽しいバーベキュー 前編 ──

それは今から数年前のある日、友人Dから連絡が来た。
D「怪文書さんさ、今度淡路島でバーベキューをしたいのだが、来ないか」
「ほう、それは、楽しそうですな、どういった催しもので?」
D「うむ、日時は8月の〇〇日、ロッジをひとつ貸し切り状態にして、酒を飲み、羽を伸ばそうという趣旨のものです。友人のPさんとNさんも来る予定ですよ。」
「なるほど、食料などはどうする予定で」
D「現地で購入しようかと考えておりまする」
「ははあ、でしたら地元に良い肉を仕入れている店があるので、肉類は私が持参いたしましょう」
D「おお、それはありがたい。それでは、淡路島の〇〇で会いましょう」
「お酒は任せましたよ」

概ねそんな感じで決まった飲み会。大人の落ち着いたバーベキューと言った感じだ。素晴らしい、筆者は当時入籍したて、慣れない新生活もあり、気晴らしになればと向かうことにしたのだ。
筆者は幼少の頃よりアウトドアを嗜んでいた。火起こし、タープ、テント、調理、魚の下処理、概ね全部できるさしずめ便利屋さんだ。自前のクーラーボックスに氷、前日に用意したラップで包んだおにぎり、成人男性4名分の肉を用意。ロッジに用意されているとは聞いているが、念のため追加の炭を3kgほど、着火剤とチャッカマンを用意。この辺りの準備は手慣れたものだ。
当日は朝早くから出発、大阪住まいの筆者は近畿道をさっと北上、あっという間に明石海峡大橋を超える。高いな、相変わらず高いな、この橋、金額が。まあ良い、今日はゆっくり酒を飲みつつ、肉を楽しむ日。多少の出費は気にしない。天気は驚くほどに快晴だった、空も海も眩しいほどに青い。良いロケーションだ、外に出る時はこういう感じが丁度いい。

そうこうしているうちに待ち合わせの場所に辿り着く、安定の黒い服装、精悍な顔つきのAPP16-17の男。D君だ。友人のP君も来ている。
「おお、お久しぶりです」
D「怪文書さんも久しぶりで、お変わりなく良かったです」
「Pさんは、あれでしたか、いつぞやのお寿司食べに行った時以来でしたかね」
P「そうなりますね、久しぶりです」
うむ、至って普通の会話だ、旧知の仲というほどではないが、大人な付き合いをする知人同士といった感じだ。今更だが友人Dと友人Pの紹介をしておこう。

友人Dは、なんというか、まあ、本職の名前を出すと憚られる場合があるのでそちらは伏せるが、副業……趣味……?で投資をしている。つまりそれぐらいの財力がある方だ。一部地域では有名な方らしい。知らんが。

友人Pは、音楽が凄くできる人だ。最近はDJなんかもしているそうだ。後は催眠とか、その辺りではかなり有名人で実績もある方だ。中々すごい方で、のちに筆者とVR世界で再開を果たすのであった。

「昼でも食べましょうか」
D「そうですね」

適当に入った店で生シラス丼を食べる。ふむ、うむ、なんというか、口の中がもっちゃりする。ほんのり苦みが後から追いかけてくる。なるほど、なるほど、こういうものか。なんか、こう、思ってたのと違うというか、まあいいか。友人Pはカレーを食べていた。淡路特産玉ねぎカレー。くっ、奇をてらわずにカレーを頼めばよかった。美味そうだった。いや、生シラス丼がおいしくないわけではない、むしろ間違いなく美味しい分類だ。だが筆者は一時期カレーの食べ歩きをするほど、カレーを食べている。その勘がいっている、ここのカレーは美味しいぞと……こういう、産地の材料つかったカレー、大体当たりだったりするんだよなぁ~……そんなことを思っているうちに食べ終わる。

「さてどうしますかね、肉はありますが、他は無いですよ」
D
「近くのスーパーで買い物しましょう」
「なるほど、良いですね」

こういった地域に根付いているスーパーは地産地消のアイテムが多い。サヨリ、サヨリの刺身が売っている。これは良いな。後はアユ、ふむ、アユ?淡路島で?まあいいか、買っておこう。つまみ類と、乾き物、簡単に飲めるチューハイ類。よし、これでいいだろう。特に面白いイベントもなく我々はスーパーを後にした。

いよいよロッジに向かって移動しだす。ナビには住所登録がされていなかったのか、最近できた住所なのかして、道の無い山のど真ん中にピンが刺される。主要道路を走り出し、15分もしたらわき道にそれる。中々な急勾配、狭い道、まさに山道と言った趣である。数分もしたら利用するロッジに辿り着いた。
ここか、おお素晴らしい、なんと趣のあるログハウス。インテリアも良く選ばれており内装はキレイである。ベッドも4つほどある、2階もあるな、大きいぞこれは。さらに3.5mmのオーディオプラグを刺せば、ロッジ全体に音楽を流すこともできるよう、スピーカーが天井に設置されている。すごい、すごいぞ。音量調節のつまみまで付いている。大変素晴らしい。

この時、筆者は思いもよらなかった。

この場所で凄惨な事件が発生するとは。

ロッジ側で炭は用意されていた、6kgもある、十分だ。手慣れた感じに火を起こす、うん、これだ、火を育てている時が一番心穏やかになる。この気持ちは伝わる人には伝わる筈だ。
網を温め食材の用意する、野菜類はサクッと切り終え、魚などはアルミホイルで包み、遠火でゆっくり火を通していく。肉も焼き始める。まずはタレのついていないタン等から、続いて脂が強いロースやカルビ類、落ち着いたころにサッパリしたハラミ、素晴らしい流れだ。……いやまて、私しか飯の準備をしていないぞ、おいおい、というか友人Nはどうした。

D「友人Nですが、あとから追いつく予定でしたが……来れなくなったそうです……」
「oh……ドンマイ」(食材を用意してる自分もドンマイ)

時刻は20時を回っていた、酒も回っていた、だいぶ回っている。筆者は飯の準備ばかりで呑みも食いもしていないので、目以外は回っていない。サヨリは切りました。あ、アユは焦げた。ほったらかしだったから。

「おや、これは……?」
P「これは、足漕ぎ式のオルガンですね」
「ほお、なるほど~」

筆者は若干だけピアノを触ったことがある。本当に若干だが、グスターヴ・ホルストの組曲 [ 惑星 木星 ]の簡単な奴ぐらいなら僅かにできる。今はもう伴奏パートを忘れてしまったが。なんとなくポチポチとミスタッチしながら触ってみる。お、音が出ない鍵盤があるな、まあ、それはそれで味があって良し。筆者のそんな様子を見てすかさずPが入る。

流石のP氏であった、めちゃくちゃ上手い、その道ではプロらしいので当たり前と言えば当たり前だが、さすがである。サクッと様々な楽曲を弾き鳴らす。音楽もあれほどできると楽しいのだろうな。この辺りで筆者もようやく酒が回り出してくる。ストロング系チューハイは楽で良いな。

すると、唯一、完全に音楽未経験者のD氏が突然乱入。

な、なんだこの音は……

なんていうか、その。

妙にソ連チックな音だな。

音楽というよりかはアンビエントに近い和音の繋がりなのだが、D氏が無意識に選んでいる音が、妙に北の大地を思わせる。なんでも父親の趣味で、そういう楽曲に囲まれて育ってきたらしい。ほほう、なる程、こういうところで、そう言う好みが出てくるのか。
各々が好きなことを語り、好きなことをする。なんて平和なひと時だろうか、すると、突如つんざく様なけたたましい音が鳴り響く。

電話だ

時刻は22時を過ぎようとしていた。休日の遅い時間に、D氏の元へ電話が来たのだ。鳴り響く携帯電話。D氏の表情が険しくなる。
それもそのはず、D氏は今日の為に数か月前から休みを取ると伝え、ようやく迎えたオフの日。加えてお酒も良い感じに回り、楽しくなってきた頃なのだから、水を差されては機嫌も悪くなるだろう。

D「何の電話」
D「なに、それは現場の判断でお願いします」
D「いや、知らん、そっちに任せると言っている」

ふぅむ、どうやら判断を仰ぐ電話だったようだ。仕方ない、D氏はそれなりに重要なポストの人なので、そういったこともあるだろう……しかし、ものの数分もすると。

再び電話が掛かってくる。

切れるD氏

温厚をコンクリートで固めたようなあの男が

激昂している。

凄いものを見たな、彼も人間なのだから怒ることもあるだろう。まあ、そんな日もある。筆者の過去の怪文書を見ていれば解るが、天丼という奴がある。前あげたネタをもっかい重ねるアレだ。つまり、そういうことだ。

3度目の電話が間髪入れずにくる。

おお、おお、おお、どうするんだ、この状況、D氏が見たことないレベルで切れだした。

すげえ、めっちゃ怒ってるやん。

あ、電話が終わったらスッと落ち着いた。

大人である。

なお、後ほど発覚したことだが、D氏の金銭周りか土地の話らしく、本人の了承が無いと動かせない内容だったらしい。それは、まあ、本人に連絡するしかないわな……ご愁傷様である。
後日、電話の主はD氏宅に菓子付きで謝罪に行ったらしい、D氏は覚えていなかったので「お、おう、まあ、次から気を付けるんやで」と返したそうだ。大したタマである。筆者も見習いたい精神だ。

そして、この辺りから筆者を含め、D氏、P氏の様子がおかしくなる。日本酒をこぼし出す、何を言っているのか意味不明、錯乱する現場、無意味な爆笑。はた迷惑な奴らだ。
天気はいつしか下り坂に、外は雨が降り出していた……

24時を回り、25時頃……
D「とっておきの酒があるんですよぉ~」
「ほええぇ~~へええ~~~どんな、お酒っす、かあ~~??」
P「……………………(死んでる」
我々は完全に出来上がっていた。

D「これっすよ、怪文書すぁあーーーん!!」
「……全部、同じ、酒やんけ、3本も!!」
D「うははははははははwwwwバレましたなwwww」
「はっはははあはああーーwwww同じ酒3本出すのに30分もすごいのがあるとか、引き延ばしてたんかぁーーいwwww」
D「はあーーーwwwwwっはははっははっはwwwwwひぃーーーwww」

D「散歩行きましょう(真顔」

「は?!」

外はそれなりに雨が降っている。山の中なので真っ暗である。街頭なんて言う生易しいものはない。明りのあの字も無い。真っ暗の中を散歩すると言い出したのだ、このD氏は。そうか、なるほどぉ、ふぅん、ほほぉwwwいいねwww行こうwww

「いいですねえ行きましょう(酒片手に」
D「行きましょう行きましょう(酒片手に」

外はまっくらだあー!なんもみえねえ!幽霊の一人や二人いてもおかしくない、山奥だ、急勾配の道をズンズン下っていく、はははwwwおお、真っ暗だ……雨降ってるし、そろそろ帰ろうよ、D氏……(真顔)

「い、いい加減帰りません?Pさんほったらかしですし」
D「良いじゃないですか、行きましょう」
「ですけど、ああ、じゃあ、もう少しだけですよ」
D「楽しいですねえ!!怪文書マンさん!!」
「ええ、まあ、うん、えっと、そろそろ戻らないですか?」
「いいかげん、私、先に戻りますよ?雨降ってますし……」

そう言って私は踵を返した。今は泥酔してヤバい状態だがD氏は聡明な方だ。土地勘の無い山中、数メートル先も見えない暗闇が危険な事ぐらいわかり切っている筈だ。

だが、3歩程歩いて妙な音を耳にする。

ガサガサ!!

    ガサッ!!

バキッ!!  

まさか!イノシシでも出たか!?慌てて振り返る。
D氏危険だ、すぐに戻ろう。

するとそこには
我が目を疑う光景が
広がっていた。

暗闇の藪に突進、山中に突撃して行くD氏の後ろ姿がそこにあった。


< To Be Continued


次回:友人Dとの楽しいバーベキュー 後編 ~ワシは生きねばならぬ~

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?