萌え絵が排斥された時代


市川〇〇氏がツイッターで、キモオタは気持ち悪いと発言してプチ炎上している。

なぜこのような発言が生まれ、なぜ今の時代これが炎上してしまうのか。

今回は萌え絵と社会の関係を時代を踏まえ考えていきたい。


萌え絵とは?

そもそも萌え絵の始まりは定かではない。天才テレビ君のアニメだとか、いろんな説があるためここでは詳しく解説できなが、1990年代前後ではないかと思われている。

ざっくり説明すると、かわいらしい10代の少女が何らかのフェチ的な趣向で描かれていたらほぼ萌え絵で間違いないでしょう。

そう考えると萌え絵の使われている作品はびっくりするほど多いことになる。実際その通りである。

主にアニメや漫画、ゲームなどで頻繁に登場し、2020年代現在においては一般的な地位を獲得しているといっても過言ではない。理由は後述する。


1970年代から1990年代のアニメや美少女ゲームオタク

1970年代にオタクという用語がつかわれはじめ、80年代に地位を確立した。83年にコミケニ集まる集団が「オタクらさぁ」ということを気持ち悪くないかという事が記述で残っている。(『漫画ブリッコ』(白夜書房)6月号から『東京おとなクラブ』)

ここですでにオタクは差別の対象として登場しているが、当時はまだ風当たりが小さいほうだった。本当の地獄はこれからだった。


オタクの差別 オタク弾圧 少女イラストに対する嫌悪

1989年 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件にて犯人の宮崎勤が逮捕された。彼はそのご死刑になるが、問題は事件後のマスコミによる報道だった。彼の趣味がビデオテープをコレクションしていたこと、被害者が未成年の少女立ったことから世論は思わぬ方向に白羽の矢を立てた。(余談だが5,000本を超える宮崎勤のビデオコレクションに対して、少女趣味の作品は44本しかなった。マスメディアの偏向報道がいなめないというのも今ならわかる話だ。)

オタク差別時代の到来。宮崎勤がロリコン趣味であると断じたマスコミにより、世論はこの後オタク差別を熱心に加速させていく。オタクが犯罪者予備軍といわれ差別されたのもこの時からで、明確にオタクであることを公表するのは仕事に差し支えるレベルに風当たりは強くなっていった。

差別用語としてのオタク 犯罪者予備軍といわれた時代

ここから90年代後期まで、オタクは緩やかな差別をうけていく。しかし同時に国民的にアニメ文化が定着し世界に進出しはじめたのもこのあたりからになる。

90年代中期から後期にはアニメ『エヴァンゲリオン』にて熱狂的な支持が国内国外からあり、オタクの地位は以前よりは身近なものになっていく。萌え文化が発展したのもここからである。火付け役となったエヴァに触発されたのか、様々な服装やシチエーショの10代少年少女が多く登場した。これはアニメのよくある流れなのだが、何かがはやると後追いで同じような絵柄の作品が作られるからである。90年代初期の弾圧からは信じられないほどに、萌え絵は知恵着しつつあった。

アニメバブルの到来

2000年から2006年、アニメ産業は毎年右肩上がりに伸びていった。これはアニメバブルと呼ばれる。この時期には様々な作品がアニメ化され、アニメは消費しきれないものになっていった。様々なアニメで萌え絵が起用された。ゲームにも漫画にも映画にも起用され。社会はいつの間にかアニメ絵や萌え絵が当たり前のように目に入るようになっていった。

同時にIT技術の発展に伴い、オタクのコミュニティも複雑にそして後代に発展していく。電車男が映画になったときには、サブカルチャーを愛するオタクたちに目線がむけられた。これはオタク差別がだいぶ薄れてきた転機だった。

初音ミクの登場 クリエイターと消費者の交流の時代へ

萌え絵を起用した初音ミクは、打ち込み式の作曲家の間をこえて、恐ろしい速度ではやっていった。ニコニコが火付け役になっていたのは間違いない。そしてこの時期から、配信者と視聴者たちは気軽に交流が可能になっていく。萌え絵はアバターとしての地位を確立し始めていく。配信者というニッチな業界が萌え絵を使い社会に認知され始めていった。


萌え絵が一般的地位を確立している現在

いま社会で暮らしていて萌え絵に触れない機会はない。スマフォの広告に当たり前にでてくるしアニメには毎月萌え絵が使われた作品がなにかしらある。企業も萌え絵を広告に起用した酒など、さまぁまな分野で萌え絵の普及が見て取れる。漫画や映画も毎年つくられている。海外版萌え絵まででてきている。生まれてから萌え絵が当たり前の存在として定着している10代~20代が登場する。

しかし90年代にオタクを批判した人たちはまだ生きていて、それを否定していた人たちの価値観は驚くほど変わっていない。私わこの世代を老害だと思っている。

〇〇大河氏の場合

最初の話に戻るが、氏がそのようなオタク批判をした理由はわからない。使途議論をすることで考えていることの一端は見ることができたが、短い時間のツイッターでの議論では得られるものは少なかった。

ただ萌え絵に対しての理解のなさは1990年代のあの事件から変わっていないように感じた。彼の中では萌え絵は市民権を得ていないし、萌え絵を起用したアニメ産業や漫画はごく一部の限られた規模の世界らしい。これは彼とブロックされるまで議論した範囲での理解である。それだけならまだしも、氏の中では萌え絵はタバコと同じように害のある存在であるらしい。市川大河氏自ら萌え絵をタバコに例えて議論されている。(タバコは医学的に健康被害が証明されていて、成人指定されている。萌え絵は健康被害があると証明されてはいない。〇〇大河氏にそのことをうかがってみたが、明確な健康被害に関する引用論文は提示してもらえなかった。)


市川氏のような価値観の世代

あえてここで断言してしまうが、このような人たちは多い。理由は先に述べたオタク弾圧の影響だと思われるが詳しくは推測に過ぎない。だがそれくらい苛烈な悪い印象が氏の発言からは感じられたのであながち的外れではないの絵はないかと思いたい。

こういった現在ではなじみが薄いオタク差別は、もはや古い価値観に過ぎない。別に否定はしない。感じ方は人それぞれだし、当時の苛烈なオタク批判はその世代に色濃く影を残している。しかしすでにオタク差別を知らない世代も増えてきた。萌え絵に対する忌避感がわからない人もいる。そんな状況では理解に苦しむ。

他人の価値観を受け入れる必要はないが、寛容であることは大切だと私は考えている。特に古い世代が、新しい世代に対して非寛容なのはよくない。

古参のオタクが新しい世代に知識マウントをとっても見苦しいだけなのとにている。興味深いところは、他人の価値観を「気持ち悪い」と論じた氏は、その口で相互理解を唱えている。その説得力の薄さは素直に感心してしまう。


これからの萌え絵と社会の関係


いまでは当たり前に萌え絵が目に入るため、その地位はより社会に認知されていくだろうとおもわれます。

10代~20代の若い世代に伝えたいのは、古い価値観の人に惑わされて自分の好きなものを汚す必要はありません。

あなたたちのような世代がこれからの日本を作ります。好きなアニメや漫画、ゲームを好きな絵柄で楽しんでください。90年代のように、オタクであるだけで差別され、肩身の狭い思いうさせようとする人に併合される必要はありません。自由に自分の楽しみを見つけてください。これからの価値観を自由に作っていってください。


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