なろうは何故流行ったのか?

 最近ツイッターの創作界隈で流れるツイートに、なろうについて疑問視される意見を目にしました。

 そこで個人的になろうが流行った理由を時系列を踏まえて考えてみます。

 長い文章を読むのはつらいし誰も得しないので、先に結論を書きます。


 なろうは、読み手、書き手、レーベル、サイト運営側、これらのメリットがうまく合致したから流行った。


 まず、読み手にとってなろうは大変便利な小説投稿サイトです。ランキング形式になっていて、詳細検索にて条件を細かく指定できます。そのおかげで読み手の好きなジャンルを人気順に並べ替えることができます。


 書き手にとってもランキング形式は便利です。無名の作家でもランカーとして有名になれますし、面白ければランカーを維持することもできます。

 そして書籍化を目指すことも可能です。煩わしいコンテストに参加して、レーベルに合わせたジャンルを書き、審査を通って編集者がついて、連載に向けて長い期間調整を重ねるといった迂遠な方法を足る必要はありません。賞金はありませんがその代わり自由を手に入れられます。

 作者が待ちの姿勢で作品を作っていてもプロになれる可能性があるわけです。これは自分の書きたいものを書いて作家になりたい人にはたまらない条件です。


 レーベル側にも便利なサイトです。ランキング上位の中から自社にあうものを選び交渉すればよいので、コンテストなどを開く必要もなく、賞金を出す必要もなく、膨大な応募者の作品を読んで審査する必要もありません。

 通常より少ないコストで一定の質を提供する作者を見極めることができます。連載企画として稟議する際にもランキングとしての実績が保障されていて、客観的にみても納得させやすいです。

最後に ここから一番長くなりますがサイト運営側についてです。

 この手の無料検索サイトはまず広告費で利益を得ています。もともとインターネットのブラウザからこの手のサービスは始まりました。1994年に無料配布され、世界中でシェアを伸ばしたこのブラウザは後にインターネットエクスプローラー(以下IE)にとってかわられます。そしてIEの段階で今の基本無料サービスに広告を載せるという発想は確立され始めました。

 ようやく小説投稿サイトの話

 世界的にも、何らかのサービスに広告を載せることで収益を上げるようになりました。これが一つの流行であり古典的なビジネスモデルとして確立していたわけです。なろうもそういうサイトの一つでしかありません。小説投稿サイトではありますが、利用者に運営費を請求することはありません。ただその場所を利用することで相互に益になる仕組みを発生させているにすぎません。

 こうして利用者が増えるにしたがい、なろうはその決定的な地位を確立していくことになります。なろうのようなランキング形式の投稿サイトでは、利用者の増加がそのまま利用者の利便性につながります。見る側はたくさんの作品の中から上位を簡単に選べることで質を期待できます。書く側は大勢の作品と競うことで実力をきちんと保証してもらえる。レーベルも母数が多いランキングなら企画を通しやすく、サイト側は収益が増える。

 このようにして便利でありがたいというシステム。これがなろうが流行ったひとつの答えです。この仕組みはつ使い古されていますがそれゆえに安定もしています。今後これを覆すものが出るのは難しいかもしれません。グローバルに展開してくる海外の投稿サイトや、新しい技術の革新などにより変化和するでしょう。また投げ銭などを導入したライバルとなりえる無料投稿サイトが出るかもしれません。その時までは読み手も書き手も自由に作品を楽しめばよいと思います。


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