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カスタムキーボードとかいう理解不能な趣味について説明します

先日Twitterにカスタムキーボードキットが届いたことなどを書いたところ、「欠品のあるものを送られたのか?」という反応があり、確かに理解不能だよなあと思ったのでカスタムキーボードについて私が知っていることを書いていきます。といってもこれを読んでいただいたところで理解不能な趣味なのは変わりないと思います。

カスタムキーボードとは

読んで字の如くカスタムされた、もしくはカスタムできるキーボードのことです。狭義の意味としては少数生産される高級キーボードのことです。自作キーボードというジャンルに含まれるキーボードだと思いますが、金属ケースや特殊な内部構造を取っている場合カスタムキーボードと呼ばれます。RealforceやHHKBなどはマスプロ、OEMなどと呼ばれます。

カスタムキーボードキットを買うと何が届くのか

カスタムキーボードキットは一般的に販売されているキーボードとは違い、届いた段階ではキーボードとして使うことはできません。

カスタムキーボードキットは多くの場合、本体ケース、スイッチプレート、基板、ネジなどのショートパーツが一式として販売されます。ここからユーザーが好みのキースイッチ、スタビライザー、キーキャップを用意してキーボードを組み立てます。

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先日届いた RAMA WORKS THERMAL というキーボードの本体と付属品の様子

ケースやプレート、基板を個別に用意する場合もあり、その形態の場合はGH60という基板に互換するケース、プレートを用意することが多いです。

カスタムキーボードの買い方

カスタムキーボードは多くの場合少数生産で、在庫を持たずグループバイによって購入者を募ります。そのため注文してから半年から1年、長い場合は2年近く待つ必要があります。

グループバイを行った際に注文数より多く製造して余りを在庫として販売したり、検品落ちのものを販売する場合もありますが、人気のものでは非常に競争率が高いため確実に手に入れるにはグループバイに参加する必要があります。

また特に人気のある製作者のキーボードの場合抽選に当たらないと注文すらできないということもあります。

カスタムキーボードを作る・使う理由

外観

好みのデザインのキーボード本体や、キーキャップを使用することができます。私はソフトウェアエンジニアなので一日中キーボードに向かい続けていますからかっこいいキーボードを使えるとテンションが上がります。

打鍵感

キーボードの打鍵感を左右する要素はいくつかあります。キースイッチの根本的な品質、キースイッチを分解して専用の潤滑剤を塗る lubing と呼ばれる行為、スタビライザーの品質や潤滑、そしてキーボード本体の構造です。

カスタムキーボードではこれらの要素から自分の好みに合うパーツやキーボード本体を選択して組み立てることができます。

打鍵音

いい音がしてると嬉しい。

下の動画はカスタムキーボード業界で最も有名なYouTuberであるTaeha Types氏が Keycult No.1/60 というキーボードを打鍵している動画です。

カスタムキーボードを組み立てるのにかかる費用

キーボードキット自体は大体3万円から5万円程度です。それより高いものもありますし、2万円程度のものもあります。多くの場合は海外から送られてくるので送料や輸入消費税もかかります。

キースイッチとスタビライザー、キーキャップが最低でも必要になりますが、それにかかる費用はピンキリです。下で詳しく説明しますが、キットに加えて3万円程度かかるんじゃないかと思っています。

スイッチ

スイッチを国内で用意する場合、安いもので10個450円程度、独チェリーの純正品で10個800円程度で売られています。アフィリンクじゃないです。

私は日本国内で買ったり、友人とまとめてタオバオで買ってもらったり色々な手段でキースイッチを買っています。大体1台のキーボードを作るのに5000円から1万円ほどかけています。最近使ったのはJWK製のFFF Switchというリニアスイッチで、タオバオで買って1個70円ぐらいだったと思います。

スタビライザー

エンターキーやスペースキーなどの長いキーを動かすにはスタビライザーと呼ばれる部品が必要です。品質を重視する場合は1セット2000円から3000円程度のスタビライザーを用意する必要があります。私のお気に入りはDurock製です。

キーキャップ

カスタムキーボードとセットで使われるキーキャップはドイツのGMKというメーカーが製造しているものが人気です。これもまた多くの場合グループバイで販売されるため用意するのに1年以上かかります。値段は大体1.5万円から2万円です。色違いや特殊な配列に対応するためのオプションをつけていくと3万円以上かかったりすることもあります。

潤滑剤

キースイッチの内部やスタビライザーにグリスを塗ることが一般的に推奨されています。キースイッチで使われるグリスはホームセンターなどで買えるものではなく、工業用に使用されるグリスを用います。

Krytox GPL205g0 というリニアスイッチによく使われるグリスは大体1000円程度で売られています。1000円分で何百個も潤滑できるので多分お得です。スタビライザーにはBGR-002という自転車のセラミックベアリング用として売られているグリスを使うのがマイブームです。スタビライザーは内部にグリスを詰めるような感じで潤滑するので、3グラムで1000円とかする高級品を使うのは躊躇してしまいます。

カスタムキーボードを人に勧めるかどうか

勧めません。海外フォーラムやインスタでキーボード情報を調べ続け、いつ届くのか分からないキーボードやキーキャップにひたすら金を払い続けるような人を増やしたくないからです。

しかし、キーボードは現代の万年筆だと誰かが言っていました。自分の気に入ったものを使えると楽しいですよね。

いかがでしたか?

カスタムキーボードはひたすら部品を集めたり金払ってひたすら待ったりする不思議な趣味であることがご理解頂けたことかと思います。

この記事は ai03 Design Studio PolarisSatT Keyboards Vision で書きました。

参考文献


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