モラトリアムという鎖/『ウルトラマンA』覚え書き(20)
俺は妙なところにいた。
目のとどく限り、無数の人間がうじゃうじゃいて、みんなてんでに何か仕事をしている。鎖を造っているのだ。……
みんな、十重にも二十重にも、からだ中を鎖に巻きつけていて、はた目からは身動きもできぬように思われるのだが、鎖を造ることとそれをからだに巻きつけることだけには、手足も自由に動くようだ。せっせとやっている。……
「みんなは黙って鎖を造っていればいい。鎖をまきつけていればいい。そしてただ、数年日に来る代表者改選の時に、俺達の方の代表者に投票をすればいいん