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狩野永徳が描く四季花鳥図

私が襖絵に興味を持ったのは狩野永徳のおかげと言っても過言ではないぐらい!!他にも素敵な絵師沢山いるけど、狩野永徳の襖絵の奥深さは尋常じゃないです。それは後々語るとして、、笑
そりゃ日本画家代表するほどやし歴史深い狩野派の一人であるからそうなんやけども。
この時代でここまでの大きさのものを、しかもこの神的技量で描きあげるのはほんまにすごいことやと思う。偉業!!

タイトルの写真にも載せてるように、これがかの有名な大徳寺聚光院方上室中襖絵の四季花鳥図。

わかりやすいように方角印付けました。
南(正面)はどうなってんのって思うかもやけど、南は襖絵はなくてただの障子。ここがポイントなんよ。それも後々語るとして。。

この絵は観る人にもわかりやすいもので、東=春、北=夏、西=秋 のように3つの季節が描かれています。
芸術的な観点から見ないことには、ただ植物や動物が描かれてるなぁとしか思わんけど、モチーフが持ってる意味を知るなどしたら、どんなことを意図して描いたのかとか何となくわかる気がする!!それはどの絵画にも共通することですが。

あまり拡大された画像がなくて全てを事細かには説明できへんけど

これは向かって右側の、東の襖絵。春にあたる場面が描かれていて、梅が左に向かって大きく流れを作りだしてるのがポイントです。この流れを作ることで、春〜夏〜秋といったように季節の移り変わりを意識させます。
言葉にせずともこの様な方法で人の視線を操ることもすごいけど、永徳のすごさはそれだけではないです。
というのも、春〜夏に移る境目で壁の角度が90°変わるんやけど、ちょうどその角度が変わる所の襖に鳥が1羽ずつ描かれています。この鳥は、壁の角度が変わっているにも関わらず、視線が合うように描かれているのです。わかりやすく言うと、壁を感じさせる折れ目がこの襖絵には存在しないということです。
一見普通で簡単なように思えるけど、倒した状態を基準に絵を描くと、立てた時にどうしても角度が変わって見えて、壁の角度が変わる毎に絵も折れて見えるはずです。

そんな計算までしてしまうなんて、一体どうやって描いたんか気になるところ、私も知らないよ〜〜〜

それとモチーフについても軽く触れておくと、夏、秋の襖には松と鶴が描かれています。この松鶴っていうのは縁起がよく、昇格するという意味で用いられるらしいです!

そしてそして私が一番アーティストやと感じた永徳の粋な計らいがこちら。

この印付けた方が南です。こちらサイドはあえて絵は描かずの障子なのですが、何とその向こうは庭となっています。永徳は、南を現実空間にすることで、描かれた空間と外の空間を繋げるのが狙いだったようです。つまり、現実空間をも作品にしてしまったってわけ!!
し!か!も!!!これが描かれたのは冬で、すなわち、南に襖絵がなくても、現実の冬の様子を利用することで四季を見事に再現できたということ!!!!!これで欠けていた冬が在るものとなりました。

私はこれにめちゃくちゃくちゃ鳥肌立った。笑
永徳アーティスト肌すぎ

この最後の事実を知ってから四季花鳥図がすごく好きになりました。是非この事実を知らない人に、またこの作品をみる人にも知っておいてほしいと思った!!!!作品を見る目が変わるかもしれません。