幸せな家庭は似通っているが、不幸せな家庭はそれぞれの不幸せである(トルストイ)

幸せな家庭で育った人に、毒親だなんだと言っても全く通用しません。彼ら・彼女らは、親の愛情がない人生など想像もできないからです。この日本で飢えている子どもや、親兄弟・親戚という血の繋がった存在に脅かされている子どもなどいないと固く信じ込んでいるからです。

それは逆に言えば、毒親に育てられた子どもは本当の幸せを知らないということです。

私は3歳の時に、毒母に心理的に捨てられました。弟が生まれ、何が何でも息子が欲しかった毒母が私を祖父母のもとに預けっぱなしにしたのです。

でもそれが、却って良かったのです。祖父母は子育てに失敗したかもしれないけれど、だからこそ私にはとてもよくしてくれました。
祖父は博学で、小さい私に世界文学全集を読んでくれ、私は読書が好きになり、学年が上がるにつれて文章を褒められ、国語の成績が良くなっていき、ついにはライターとして食っていけるまでになりました。
祖母は料理上手で普段のごはんはもちろん、梅干しやジャムまですべて自作する人で、私は多くを学び、常に美味しいものに囲まれた人生を歩めるようになりました。

それに引き換え、毒母は料理が下手…というか、いわゆるメシマズ(ググッてください)で、幼稚園や学校に通うために祖父母の元から実家に戻ってからというもの、ずいぶん長い間「栄養失調」と言われ続けました。

私が転んでも助け起こすことすらしなかった毒母。
私の髪の毛があまりにボサボサで、伯母が母に「女の子なのに、ちゃんとしてあげなさい!」と怒鳴っていたり。
誰よりも自分が一番じゃないと腹が立つ・自分が優位に立っていないとヒステリーの発作を起こすという自己愛があまりにも強い人で、私がかわいがられるのも褒められるのも心配されるのも気に入らないのでした。

ずーっと、「本当のお母さんはどこかよそにいるんだ」と思って育ちました。こんな状態、そりゃ想像もできないだろうと思います。

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