見出し画像

夏だしヒヤっとしようよ

その日は、心の底から震え上がる、怖い映画を観たいと思っていた。
「怖い」にも色々種類があるが、とにかくなんでもいいからゾッとしたい。

私「世界一 怖い 映画」
Google「そんなこと急に言われても困ったナ…」

というやりとりがあり、億千の映画の中からGoogle博士が「グリーン・インフェルノ」という映画を教えてくれた。

画像検索をクリックすると、なんともおどろおどろしいパッケージが表示される。
ホラー・グロ耐性がない人だったら、パッケージだけで20.30歩後ずさりしていたかもしれないデザインである。
グロいの余裕☆マウントではないが、わたしは割とグロ耐性はある方だとは思う。ちなみにホラーはちょっと怖い。
高校生の時に見たSAWはわたしの無垢な心に鋭利なまま突き刺さり、二度と消えない傷を作った…が、大人になったらぼちぼち癒えた。

というわけで、その晩はお酒を片手にグリーン・インフェルノを観てみることにした。少しお酒に頼った自分もいる。


「人が人を喰らう(要約)」というようなキャッチコピーだったので、どんな理不尽を叩きつけられるんだろう…。と思っていたが、ストーリーもしっかりしていて、SNSなんかの今時なテーマが盛り込まれていて、色々と考えさせられてしまった。
極地に立たされた時の人間の薄汚い本性みたいなものもしっかり描かれていてめちゃ面白かったし、ラストシーンの意味をみんなでディスカッションしたくなってしまった!

ンッ❓全然ヒヤっとできてなくない❓
何感想真面目にレビューしてんねん。

確かに、大学生のサークルが乗っていた飛行機が墜落して、森林に迷い込み、謎の原住民に拉致され生きたままその肉体を喰われていた。
ほとばしる血しぶき、インモラルな映像…。こんなん好んで見るのは変態ダヨ…。と、思わず目を背けてしまう光景のはずなのに、「へえ」と、よく出てくる私の中の田舎のおばあちゃんのような気持ちで観てしまっている自分がいた。

高校生の時に見て、幼心に突き刺さったSAWは大人になってからも何回も見た。
きっとこれで、かさぶたが剥がれるのを何度も繰り返して心臓が分厚くなり、海外のスプラッタ映画への耐性が強くなり過ぎたようだ。

私が求めていたのは、「縞模様のパジャマの少年」とか、邦画の「怒り」「凶悪」とか、そっち系(どっち系だよ)だったということに気付いた。
「怒り」を初めて見たのは、職場の子とイオンモールの映画館だった。いつも客電がついた瞬間、ツバメのヒナのようにピーチクパーチク映画の感想を争うように言い合う私たちが、駐車場の車まで無言だった。なんなら映画を観る前まで、「BLでhshsしよ~」なんて言いあっていたけど、hshsどころじゃなかった。1週間は引きずった。

オバケが出てきてキャー!とか、腹が裂けて内臓が!!…と、なるのも好きなのだが、あの時の私は一週間くらい引きずってしまうような精神的グロを求めていたのかもしれない。恐らく、夏に怖い映画見てヒンヤリしたい!という気持ちとは関係なかったのである。
夏にヒンヤリしたければ、昔テレビアニメでやっていた「怪談レストラン」でも十分ヒンヤリする。たまに本気を出してくるストーリーがあるからあなどれないところが好きだった。あの可愛らしい作画がより一層恐怖を引き立てていたと思う。

と、話が逸れたが、「ヒヤッ」とする媒体より、いわゆる「胸糞」みたいな作品の方が、お宝発見感が強いのだ。
「胸糞映画好きな人ってMだよね」と言われるが、私はあの、作品を観て気持ちが引っ張られている自分が好きなのだ。スーパーナルシシズムなのである。

だがしかし、季節は恋人たちの夏。
胸糞映画も良いけれど、ヒンヤリするホラーを求めて、ジャングルの奥地に向かうのも、たまには良いかもしれない。(ヤハ族には喰われたくない)

おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?