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選択肢が表示される世界に行きたい

私の地元が狭いって話は以前もしたと思う。
この前ネットの記事を読んだら
「幼馴染という文化は、中心地から少し離れた郊外で発展しやすい。
完全な田舎だと中心地や県外などに引っ越すし、中心地に住んでる人たちは常に人が多くいるため、そこまで強く横の繋がりを持とうとしない。
横の繋がりを持ち、且つ離れられないのは中心地から1時間以内で、わざわざ引っ越す必要もなく、すぐに集まれて、横の繋がりを持たざるを得ない人たちだ」
と書かれていて、笑ってしまった。

その通りですね、ありがとうございます。
断ちたくても絶てない、腐れ縁が腐るほどあるので
身に染みてしまいました。

その一つが小学生の頃からの幼馴染、坂本だ。

彼とは小中が同じで近所に住んでおり、
親同士が仲が良く、彼の姉が私の部活の先輩だったりして
切りたくても切れず、ズルズルしてる内に変な情も湧いてしまい、見事に腐れ縁が誕生した。

なんで切りたいと思っていたのかというと
彼の女遊びが信じられないほど激しかったからだ。

当たり前だけど中学時代の元カノは私の友人で、そして浮気相手も私の友人だ。その次に付き合った彼女も私の友人だし、なんなら大学時代のセフレの1人も私の友人だ。

そして、私の男友達の彼女にも手を出したりするから
彼はほとんどのコミュニティが出禁だ。

高校に入ってくらいからは
高校の女の子と地元の女の子を掛け持ちして

大学に入ってからは
高校の女の子と大学の女の子と地元の女の子を掛け持ちしていた。

なんで知ってるかっていうと
地元の女の子も高校の女の子も、何かを辿って私にたどり着いてくるからだ。

知らない女の子から割と怖い連絡が来る時は大抵坂本の女(彼女、浮気相手、セフレ、片想いなど)だ。
坂本とのベッドツーショットは三枚くらい見た。

因みに私は彼と関係を持ったことも好きになったことも
ない。

ものすごく女遊びが激しい従兄弟に懐く女子はいない。
そんな感覚だ。

そんな坂本が結婚した。
そして、紹介したいとか言ってきた。


やめてよ、って思ったけど
断ったらその奥さんに変な風に思われるかも、と感じて
了承することにした。
念のため共通の友人である康平と、その奥さんも呼んだ。

お会いした奥さんは
やはり私に疑いの目を向けていた。


「かほさんは洋一くんとどういう関係なんですか?」

「小学校と中学校がたまたま同じで、ほんと、それだけです」

「え!それでこんなにしょっちゅう会ったりするんですか?」

私が康平にチラッと目を合わせるが
康平はマジで役に立たない。

「私、地元の友達と仲良いので…。
むしろ坂本は会わない方ですよ。」(ほんと)


ふーん、と頷くので
とりあえず私の身の上を話すことにした。

隠し事がある方が女子は嫌がる。
私はこういう人で、こういう人で、だから大丈夫ですよ。

なんだかんだでいつも、
その作戦が一番有意義な気がする。

そしてアホほど褒める。二人の関係を。
付き合ってから変わった気がするとか、
周りが言っても聞かないのに!とか、
なんかそういうことを言うと割と心を開いてくれることが多い気がする。


気がする、て言葉を使うのは

本心なんて一生分からないからだ。

でも坂本の奥さんは良い子だった。
素直に色んなことを信じて、色んな話をしてくれた。

ホッとした矢先、二人の馴れ初めを聞いたら
笑顔で聞かれた。


「てゆうか私の存在、洋一くんから聞いてませんでしたか?」


女の話は絶えず聞いてたけど

…え、どの女???


「いや、聞いてました!
ごめんなさい、本人の口から聞きたくなっちゃった!」

「元カノと別れた3時間後に告白されたんですよ〜!」


その元カノは私の高校の友人…!
先輩のために開きたいと言われた合コンに連れて行ったら
坂本が持ち帰りやがった友達…!

なんだけど、その時に浮気してた女の子、三人くらいいた…!それが理由で別れてたし、その女友達からLINEとか散々きたからそれは覚えてる。
…けど、どの女の子だ…!てゆうか、どれでもないのか…?!


「え!そーなんだ!
あ、でも、その元カノもう結婚して子どももいるから!」

私が慌てて答えたら、康平が横から口を出す。

「いや、その元カノじゃないかもしれないし!」

はあ?!言葉選べよ!!
てゆうか、その元カノじゃないのに5年付き合ってるって、時系列的におかしくなるけど、マジでどーゆーこと?
何度も言うけどその元カノは私の高校の友人なんだけど???


「…まあ、でも、
坂本はなにかと秘密主義者だし、
それでも話に聞く女性はみかちゃんだけだったよ。」


なんとか収めた。よかった。
一応ニコニコした。本当よかった。


その後も、浮気チェックタイムは続いた。
これはあれだな。

本人に鎌かけても引っかからないから
周囲にかけ始めたパターンだな。


案の定、康平と飲んだ時に
康平の失言で元カノと会ってたことがバレたらしい。

楽しい会と見せかけて
地獄みたいな会だった。


「かほちゃん良い人でよかった〜!」

「私も!飲めて良かったよ〜」


無事私は
最高難易度乙女ゲームをHPを残したままクリアできたようだ。


「今後も洋一くんを宜しくお願いします!」


男友達の彼女紹介にクリアすると
得られるものは「今後も飲める権利」だ。

マジでいらない。
てか、彼女ができた瞬間、私のことなんて切ってくれよって本気で思う。


「今度からは三人で飲もう〜」


男性諸君は本当に
彼女や奥さんを自分のコミュニティに連れてくるのを
めちゃくちゃ考えた方が良い。


「これからも俺と仲良くしてね」

「は?仲良かったことなんて一度もないんだけど」


イライラしすぎで最後の一言を間違えた。
奥さんや彼女はこういう、なんか、
遠慮のない男女の関係みたいなのに厳しい。


なんで私も私でこんなに
彼女や奥さんに気に入られようとしてるんだろう。


バカバカしいな、と思いながら
全く酔えなかったので
一人で飲める店に向かってしまった私は
乙女ゲームではチュートリアルを担当する
意味のわからない女友達なんだろうな。



2022.01.06


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