ホロライブ所属 新人VTuber 魔乃アロエさんの謹慎について思うこと(2020年09月01日 追記あり)。

 2020年08月17日(月)、ホロライブを運営するカバー株式会社より、次の声明が出されました(※お知らせ配信アーカイブについて、2020年09月01日 現在は非公開もしくは削除の模様で視聴できなくなっています)。

 この新人VTuber 魔乃アロエさんのお知らせ動画を見ての、VTuberメタな内容を含む感想や意見です。

 動画の内容について、大きく3つに分けると

①Live2Dモデルの流出について

②彼氏がいるという疑惑について

③非難と現在発生している迷惑行為について

となっております。

①Live2Dモデルの流出について

 魔乃アロエさんがデビュー前に「マネージャ(つまりカバー株式会社)から許可をもらって」twitcastingでテスト配信した後、そのアーカイブ削除を失念してしまい、それが流出してしまったとのこと。そしてカバー株式会社は魔乃アロエさんに厳重注意をしたとのこと。

 これについて、アーカイブが残り公開されるリスクも含めマネージャ、つまりカバー株式会社が許可をしたことなので、「それは会社許可でテストとしてやったことなので、問題は無いです」で通せば、正直「何も起きなかった」ことです。対外的に迷惑や不利益は発生していないですし。しかし、カバー株式会社が魔乃アロエさんに厳重注意をすることで「無から有(この場合は罪)を産み出している」行為であると思います。また「管理能力が甘いという厳重注意」は魔乃アロエさんに向けられることではなくではなく、カバー株式会社自身の問題です。魔乃アロエさんに責任転嫁をしていると捉えられる上記のツイートについて、中の人を守ろうという気が感じられませんでした。

②彼氏がいるという疑惑について

 魔乃アロエさんは「彼とはデビュー前から関係はなくなっている。彼側に迷惑をかけないでほしい」と言及していました。これについて、後で改めて言及します。

③非難と現在発生している迷惑行為について

 「事実の件で私を叩くのは構わないが、憶測や事実と異なる点で叩くのは止めてほしい」と、非難されることには重く受け止めるとのこと(※デマの流布や誹謗中傷で叩くことは犯罪に該当する可能性が高いです)。また、現在魔乃アロエさんの中の人(演者)を特定して固定電話をかけてくる等の迷惑行為が発生しているので控えてほしいとのこと(※この迷惑行為は場合によっては犯罪に該当する可能性があります)。


 個人的に、今回の騒動で問題と思った部分は

(1)カバー株式会社自体が何が問題なのかを把握せず、魔乃アロエさんをスケープゴートとして責任転嫁しているように受け止められる

(2)ホロライブファンだけでなく、カバー株式会社も「魔乃アロエ」というVTuberのキャラと、中の人(演者)の人格を同一視している

(3)誹謗中傷や迷惑行為等の犯罪に該当する行為の発生

の3点です。

(1)について

 ①で言及した通り「カバー株式会社として魔乃アロエLive2Dモデルの試験配信を許可し実施いたしました。そのアーカイブを早急に削除することを失念してしまいましたが、現在は削除済みです。会社としては今後、相互チェックを強化していきます」で終わる事です。それをカバー株式会社が「アーカイブを消さない魔乃アロエさんに責任がある」として謝罪配信をさせ厳重注意及び2週間の謹慎処分を下すというのは「ホロライバーよりもカバー株式会社として如何にクリーンを主張するかを優先」しているように捉えられます

(2)について

 「魔乃アロエ」というVTuberに彼氏がいるわけではなく、中の人(演者)に彼氏がいた(※過去形)ということは、中の人のプライベート情報です。魔乃アロエというロールプレイキャラとは別です。にもかかわらず、上記リンクの「大事なお知らせ」動画内にて、「魔乃アロエさんに中の人の元カレ情報を喋らせる」ことを可とするカバー株式会社は、「VTuberのキャラと中の人の人格を同一視しすぎている」のではないでしょうか。中高生が「この感動的なマンガを描いている作者はきっと素敵な人格者に違いない!」と勘違いしているのと同じくらい、拙い思想だと思います。

(3)について

 インターネットで弱者を見付けると部外者であっても安全なところから石を投げたくなる人達が一定層います。また、VTuberの中の人を特定して直接的な迷惑行為を行うことで「自分だけができる制裁行為だ」と思い込み精神が満たされる、と勘違いしている自称自警団の人も世の中には存在しています。しかし、それらの行為は、司法に照らし合わせると「違法」に該当する場合が多いです。該当すれば、即ち「犯罪者」です。そのモラルやリスクは彼彼女らに学んでもらい理解してほしいです。けど、こういった言葉は、彼彼女らには届かないので、もし、みなさんの観測できる範囲でそういう人がいたのなら助言・忠告という形でお話してもらえれば幸甚です。


まとめ

 今回の件は「少々失敗はしたが、対外的に大きな損害を生じさせたわけでもないし迷惑もかけていない状態だったにもかかわらず、カバー株式会社が間違った初動をしてしまったが為に拗れていった」と捉えています。今後を考え、カバー株式会社はトラブルシューティング担当及びスポークスマンを導入して、お知らせも生配信ではなく「動画」で出すなどの対応をする等で社内の体制を強化していってほしいです。「問題が何なのか」を理解できていない且つ謝罪も下手な組織であると、ホロライバーの皆さんが「安心して背中を預けられない」という不信を抱いてしまうのではないかという部分を懸念しております


 以上です。


【2020年09月01日 追記】

 2020年8月31日に、カバー株式会社より魔乃アロエさん卒業の発表がありました。

 一部抜粋すると、

 「魔乃アロエ」につきまして、弊社Live2Dの機密情報漏洩における謝罪の上、2020年8月17日(月)より2週間の謹慎としておりましたが、本人との協議を重ねた結果、「魔乃アロエ」より、精神面や体調面での活動の継続が難しいと申し入れがあったため、本人の意思を尊重し、このたび「卒業」という形を取らせていただくこととなりました。

とのこと。推測での話でしかありませんが、現在削除されているものの、おしらせ配信で魔乃アロエさんが話していた前述(3)の「迷惑行為」等がエスカレートした可能性や精神的なプレッシャーで潰れてしまった可能性が考えられます

 繰り返しになりますが、今回の件は概ねカバー株式会社が魔乃アロエさんに責任擦り付けというムーブをしたことが問題であると考えています。そして、現在においても当事案について、カバー株式会社としての落ち度(Live2Dモデルの情報漏洩が考えられる環境におけるテスト配信の許可及びアーカイブ削除の確認不足)については一切言及していないです。

 責任問題を追及したいのであれば、カバー株式会社に対して行うのが正しいと思います。本来、一般論で言うと、タレント(ライバー)が所属しているホロライブプロダクションに対して行うことが筋なのですが、内部組織の整理ができていないためか、ホロライブプロダクションとしてではなくその運営(上層組織)であるカバー株式会社が谷郷元昭さんの名前で文章を出しているためです。魔乃アロエさんへの個人攻撃は攻撃者の満足感以外何も産み出さないにもかかわらず、それがカバー株式会社により、結果として誘導・促進されたかのようになり行われたことは残念に思えますし、そういう攻撃者がホロライブファンにいると思うととても哀しい気持ちになります(魔乃アロエさんに対して「ホロライブ所属の先輩方に謝れ!」みたいな発言を見ると心が苦しくなります)。

 魔乃アロエさんという個性(キャラ)を楽しむ機会が喪失されてしまった事に対しては非常に残念に感じております。誰も得をしない結果と、一人の演者の心と体をズタボロにしてしまった事実について、胸を痛めております。魔乃アロエさん、お疲れさまです。容易ではないと思いますが、平穏な日常に戻れることを祈っております。そしてカバー株式会社におかれましては、「筋の通し方」や「穏便に済ませるノウハウ」について学んでいただきたいです。

 以上です。

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