2022年9月27日 読書感想

街角図鑑

 鬱で仕事を辞めて、とりあえずなんでもいいから情報や知識を仕入れればいいと思ってた頃に買った本だ。

「つまり常設/仮設とは、設置した人がものに込めた寿命の長短の差である。」という一文がお気に入りで、これに出会うために読んだのだとしても後悔はないくらい印象に残っている。


街角図鑑 街と境界編

 無印よりマニアックなものばかり扱われていて(室外機やガスメーター、歩道橋やダムなど)、素人でも楽しめる度合いは減っている。
 工学や建築を多少齧ってないとわからん……。


ウニはすごいバッタもすごい

 イメージカラーが緑の推しがいて、そいつをバッタになぞらえて茶化すために読んだ。

 貝と棘皮動物(ヒトデやウニやナマコ)に重きが置かれていて、昆虫の話はややおざなりな印象。ただこれは棘皮動物については事前知識がないからなんでも面白くて、昆虫のことは知らないなりにきっともっと情報量があるんだろうと思っている自分の主観が大きく含まれている。
 『エビはすごいカニもすごい』と同著者だと思って読んだけど、実は別人だったことを今さっき知った。エビカニの方が面白かった。著者の話がうまかったし、そもそも甲殻類というより狭い分野にフォーカスしている点でもアドバンテージがあるし。(ちなみにエビカニが後発)


映画監督が教える また観たい! と思わせる動画の法則

 「自分が見たいと思えないような、退屈な動画は作るな!」
再三再四そう語っているだけあって、この本自体も読みやすい。

 扱っている"動画"は、Youtube~趣味レベルの撮影・編集くらいを想定しているっぽい。少なくとも映画を撮るほどの本格的な人向けではなさげ。
 ところで著者のスティーヴ・ストックマンって誰?


建築の歴史

 今読んでるけど、最後まで読み進められるかちょっと不安なやつ。高校世界史の資料集のように丁寧で過不足ない記述なんだと思うけど、そもそも建築それ自体への興味が強くないと面白くはないのかもしれない。
 わかりやすく説明することと、無関心な人に興味を持たせることは別って感じ(ゲームさんぽとかゆる言語学ラジオとかは後者も強いのでありがたい)。


一生忘れない怖い話の語り方

 うーん、一読するだけの価値はある(一読以上のことをする価値はなさそう)って感じの本だ。
 筆者曰く、実話怪談は取材に基づいたドキュメンタリーであって創作ではないらしいけど、「慣例では」「明文化されていないが」みたいな物言いばかりで話の大前提とするには前提の確かさが伝わってこない。
 ただでさえ非科学的なジャンルで、そうでなくても区別というからには基準や根拠や言語化が必要だろうに……。
 この信用できない語り手がよォ~~~!

 魅力的な怪談の作り方や階段の魅力が知りたいなら、この本の中でも紹介されていた『怪談の学校』のほうがたぶん正解なんだろうな……京極夏彦とかが書いてるし。


 思い返すうちにどんどん不満が言語化されてきたので追記だ。
 たぶんこの著者は実話怪談の作家性・創作性から逃げすぎている。
 ドキュメンタリーやレポートやプレゼン資料でさえ、わかりやすさやインパクトや面白さのために創意工夫が為されているはずなのに、「そもそも面白い怪談とはどんな形か?」という話が全くと言っていいほど触れられていなかった。
 もっと積極的に「オチはこの位置にあるといいよね」「こういう条件を満たした体験談は怖い実話怪談にしやすい」みたいな話をするべきじゃないのか? 実話性に逃げ隠れて、タイトルにも書かれているような「怖い話ってなんだよ」という話をしていなかったぞ。悪書だ悪書!!



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