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【閑話】出産レポ


出産レポです。


妊娠が分かったその日、私は夫に
「無痛分娩がいい。ぜっっっったい無痛分娩がいい」
と言ったのを覚えている。
夫も「そうしな〜」と言ってくれて、妊婦健診でも早いうちから無痛分娩希望を伝えていた。



最後の妊娠健診


重めのつわりや原因不明の頻脈で苦しみながらも、大きなトラブルなく妊娠週数を重ね正期産の時期へ。

妊娠39週0日の朝、この日は金曜日
妊婦健診で子宮口の開きをチェックしてもらった。
「まだ2cm。まだまだ産まれなさそう。無痛分娩希望ということなので、来週火曜日に計画分娩しましょう」と言われた。

産む予定の病院は平日の日中のみ無痛分娩が可能で、土日や夜間は無痛分娩チームが揃わないので対応不可。
まだ産まれなさそうって言われたし、のんびり土日過ごして来週火曜日に備えよ〜、と思っていた。
身内にも、「来週火曜日産まれる予定でーす」と話した。

健診は午前中に終わったので、付き添ってくれた夫と家の近くの店でランチをした。
「来週の今頃はもう産まれてるのかあ」とか話しながら食事を済ませ、夫は仕事に戻っていった。

最後の晩餐


今朝内診してもらってからずっとお腹が張ってるなあ......今日の内診痛かったしなあ......と思いながら、近くに住む妹に「今からお茶しよう」と連絡して、カフェで妹を待つことにした。

私は元々甘いものをそんなに食べないけど、妊娠中は無性に甘いものが食べたくなってほぼ毎日食べていた。
この日、生まれてはじめてパフェを注文した。
美味しかった。
でも出産を終えた今は全く食べたくならない。
とても不思議。

妹から「そろそろ着く」と連絡がきたので、会う前にトイレ行っとこ〜、と思いお手洗いへ向かった。

個室に入ってびっくり。
おしるしがきていた。

たしかにずっとお腹張ってるし、なんかちょっと痛みもある気がする......!
これ陣痛?いやいやいや......

今日は金曜日。しかももう15時を過ぎている。
病院の無痛分娩対応終了時刻まであと3時間弱。
それが過ぎたら無痛分娩ができるのは週明け、月曜の9時。
これが陣痛だとしたら月曜までもつ可能性は低いよなあ

ってことをぐるぐる考えながら、とりあえず現状を夫に連絡した。
その後すぐに妹と合流して、おしるしと痛みの話をしたら、経産婦である妹は笑いながら、
「もう産まれるね!!」と言った。
まじかあ......と思った。
(余談、こどもが生まれてからは「まじ」という言葉は使わないようにした)

夫とも合流し、まあほぼ確定で陣痛だよね、ってことで急いでスーパーでお弁当を買って帰った。
出産前最後の晩餐になりそうなので、いっぱい入った寿司にした。
帰宅後、早めの夕飯を済ませてシャワーをあびた。

この時点での痛みは、軽ーい生理痛くらい。
まあ痛いけど、全然喋れるし顔にも出ない。
ただ時間を測ったら6分間隔だったので、一応病院に連絡。
「まだかかりそうなので、もっと痛くなってから電話してください」と言われた。

そんなもんか〜と思いながら夫とお互いの両親に、陣痛きたかもーの連絡をした。
盛り上がる親族をちょっとうざいなとも思いつつ、そこそこリラックスして過ごしていたが、20時過ぎたくらいから痛みが強くなってきた。
会話はできるけど歩くのは結構しんどい......ってくらいの痛み。
間隔も4分を切るようになり、再び病院に連絡。

「ん〜〜まだ産まれないと思いますけどねえ。そんなに気になるなら一度来てもらってもいいですけど、すぐ帰ることになると思いますよ?」
となんか感じ悪く言われて、じゃあもう少し様子みますわって言って電話を切った。

この間も母と妹とずっと連絡をとっていたんだけど、母も妹もスピード出産をしていて、母は3人産んだが全員4時間以内、妹に至っては初産で2時間かからず産んでいる。

そんな母と妹に「いやいやいや!!!早く行け!!!!」と言われてまた病院に電話。
一度目二度目に続けて同じ人が出たんだけど、うんざりした様子で、
「歩けないくらい痛くなってから来てほしいですけどね。そんなに言うなら今から来てください」と言ってきた。
歩けないくらい痛かったら行けねえだろが、と思いながら、入院セットを持って陣痛タクシーを呼んだ。


病院へ


22時頃、病院に着いて内診やらNSTやらやって、医者から
「陣痛ではありますが、子宮口がまだ2cmですぐ産まれる様子はありません。念の為入院してもらいますが、朝になったら帰宅してもらうと思います」と言われた。

歩けないくらいの痛みが3分間隔できていたので、その3分の間に陣痛室へ移動。
付き添ってくれた看護師さんに、
「痛いけど、前に健診で診てもらった◯◯先生の内診よりは痛くないです〜」
と話したんだけど、看護師さんは気まずそうな反応をしたので、なんだ??と思っていたら、直後にその◯◯先生が「今日の夜間担当です」と言って現れた。
まじかあ......ってなった。

あと、このときダメ元で無痛分娩をお願いしたが断られた。

コロナで、立ち会いは産まれる直前〜産後2時間のみ、と決まっていたので私は1人で陣痛室に。
出産エピソードで、陣痛中に助産師さんが手を握っていてくれたのが心強かったっていうのを聞いたことがあったけど、そこそこでかい病院だったからか、
「ナースコールここなんで、何かあったら押してくださいね〜」
とだけ言って助産師さんは行ってしまった。


陣痛室


夫はリモートワークしながら待合室で待っててくれることになった。
下の階に夫がいてくれてるって思うといくらか心強かったし、まだこのとき陣痛室には私1人しかいなかったのもあって割と穏やかな気持ちだった。

と思えたのも1時間くらいで、0時過ぎたくらいからもう本当に痛かった
うめき声が抑えられないくらいの痛みが2分間隔できた。痛みで汗も大量に出てきた。

これまだ何時間もずっと続くの??ていうかもっと痛くなるの??無理じゃね??と思った。
まさに、絶望!!って感じだった。
LINEで夫に延々と弱音を吐いてた。

ここからしっかり痛みは増して、2分間隔でずっと絶叫してた。
もう痛くて痛くて痛くて本当につらかった。
最初は、他の女にできて私にできないはずがねえ!!って気持ちで耐えてたけど、途中で心が折れてちょっと泣きそうになった。

何度か助産師さんが来て、「ちゃんとゆーっくり呼吸してくださいね〜。赤ちゃん苦しくなっちゃうよ〜」と言われた。
こんなに痛いのにゆっくり呼吸なんかできるかクソがッ!!!と思った。
思ったけど理性は働いていたので、大人しく「はい」って返事した。


帝王切開


午前3時半ごろ、担当医が来て
「赤ちゃん、ちょっと元気なくなってきてます。帝王切開しましょう」
と言った。

陣痛がつらすぎたので、これで解放される!!と喜んだが、でも帝王切開は後が辛いって聞くし、産後の入院期間も延びるしなあ......という微妙な気持ちにもなった。
最終的に、けどまあ私がどんな気持ちだろうが赤ちゃんが危ないなら帝王切開は避けられないんだし、術後がどうとか考えてもしかたねえなってなった。

帝王切開の準備で点滴用の針を腕に挿す必要があったが、痛みで大量に汗をかいていたから脱水状態になっていて、血管が細くなってなかなか針が入らなかった。
看護師→研修医→担当医の順で合計6回か7回刺された。
私は予防接種や採血が超苦手なので、こう何度も刺されると本当に泣きそうになった。
担当医が、
「なかなか針入らないね〜。研修医くん、まだ針ある?」
と聞いて、研修医が
「20ゲージと、22ゲージがまだあります」
って答えてたので、私はすかさず
「22!!!!22にしてください!!!!」
と叫びました。
(ゲージは針の太さで、数字が大きい方が細い)
もちろん陣痛の方が遥かに痛いけど、針も結構痛いなーと思ったら、今まで20ゲージの針で刺されていたらしい。20はまあまあ太い。
担当医が
「あれ、医療従事者ですかー?」
と気さくに聞いてくれたけど、ちょうど陣痛の波が来てたタイミングだったのでまともに答えられなかった。

22ゲージの針に変えてくれたけど、脱水で細くなった血管になかなか刺さらず、血管を怒張させるために腕を叩いたり、ホットタオルをあてたりしたけど全然だめ。

そんな感じで30分ちょっと経ったころ、担当医が
「ん?赤ちゃん元気そうだね。これは......寝てただけですね
と言って帝王切開は中止になった。
赤ちゃんが元気ないと思われたのは、寝てただけだったらしい。
母子ともに問題がないので、このまま自然分娩として続行になった。

陣痛がもうありえないくらい痛かったので、切ってほしい気持ちもあったけど、まあ元気ならそれに越したことはないわな......と思った。


破水、分娩室へ


そこからまたしばらく陣痛に耐え、外がだいぶ明るくなってきた5時半頃、破水。
かなり勢いよく出てきたので一瞬びっくりしたけど、破水したってことはもうすぐ産まれるだろうと思って嬉しかった。
我が子に会える喜びとかじゃなく、なんで死なないのか分からないくらいの痛みと、なかなか子宮口が開かない絶望の終わりが見えてきた気がして嬉しかった。

破水するちょっと前まで子宮口は4cmくらいしか開いてなくて、医師から「今日中には産まれないかも」と言われていたけど、ここから一気に進み、6時頃には子宮口8cm。
陣痛室から分娩室へ移動した。

分娩室は陣痛室の隣にあるんだけど、耐え難い痛みのなか、自力で移動しないといけない。
元気なら歩いて10秒程だけど、そもそもベッドから起き上がるだけでかなり時間かかった。
助産師さんに、「次の陣痛来る前に早く移動して!早く!」と言われて起きあがろうとするけど、脱水状態なので力が入らずふらふら。
陣痛と陣痛の間は30秒くらいしかなくて、その時間内に分娩室には辿り着けず、途中痛みで立ち止まったり絶叫したりしながらなんとか分娩台に上がった。

助産師さんが、「お腹張ってる感じがないときはいきまずゆっくり呼吸してね〜。痛くても声出すと力入っちゃうから、声我慢して深呼吸するように」と言われて、無理に決まってんだろ!!と思いながらも素直に頷いといた。
意識は朦朧としていたけど、言われた通りやろうと頑張った。
(このときのことを産後めちゃくちゃ褒められた。ナースステーション内で「分娩上手い人」って言われてた。ヤッタネ)

分娩室へ移って30分くらい経って、助産師さんに「もうすぐ産まれるので旦那さん呼んでください」と言われて、歯を食いしばりながら夫に連絡。
下の階の待合室にいた夫は連絡後2分くらいで来た。
この時の私は意識が朦朧として目の焦点も合ってなかったので、夫はとても心配になったらしい。


誕生


夫が来てから5分後、お腹の強い張りを感じたときに思いきりいきんで、赤子が出てきた

産まれた瞬間、達成感と多幸感に包まれる......と聞いていたが、全然そんなことなかった。
陣痛から解放された喜びはあったけど、まだなんかあっちこっち痛いし、胎盤出すために腹を押されたのも痛かったし、会陰縫うのは麻酔してても激痛だった。
会陰の裂傷はわずかで、抜糸の必要のない糸で縫えるくらいだった。でもすごく痛かった。

赤子の状態チェックが終わり、助産師さんが「おめでとうございます〜!」と言ってお腹の上に赤子を乗せてくれた。
赤子は、なんか赤くてしわしわで「ギャァー」とか言っていたので、マンドラゴラみたいだなと思った。

もうこの時点で初乳が出ていたので、助産師さんが赤子を胸まで移動させてくれて、初授乳
痛かった。
赤子、小さくてふにゃふにゃなのに、吸う力はとても強くてびっくりした。
「痛い!痛い!痛い!」ってずっと叫んでた。

その後、夫が赤子を初抱っこした。
夫はすごくびびってた。

まだ夫婦ともに親になった実感はなく、私はとにかくずっと「痛い」と言っていたし、夫は「おぉ...?」と困惑した感じだった。

コロナの影響で、産後2時間経ったら夫はあっさり退室させられた。
面会も制限されていたので次に会えるのは6日後の退院時。
これはとても寂しかった。

夫が退室した後、私も病室へ移動。
いろいろ痛かったけど、とりあえず母子ともに無事に産み終わって安心した。
この時はまだ知らないが、母子同室ほぼ強制の病院なので、ここから退院までの6日間で合計10時間ほどしか寝れない地獄の入院生活がはじまった。



以上、出産の話でした。
妊娠〜出産まで、痛みと苦しみのフルコースって感じでしたね。
いやあ頑張った頑張った。

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