アニメ -pupaの感想- お兄ちゃん、ゴチになります。

http://www.nicovideo.jp/watch/1389258622

今期5分枠のアニメにさっそうと現れたダークホース。それが「pupa」。
 主人公「長谷川 現」とその妹「長谷川 夢」、2人の兄妹愛を「カニバリズム」という手法をもちいて描いている。


 そんな内容の今作を見て、僕は驚いたことが2つあった。


 1つ目は、家族との関係だ。まずは、長谷川家の説明をしたい。


「現」は父親に虐待され、母親はちがう男のところに行ってしまった。「夢」はというと、冒頭で述べた「現」へのカニバリズム。そして、最後に生き餌になることを選んだ「現」。
 書けば書くほど、いびつさが見えてくる。


 では、なぜこんなことが起きてしまったのか。


 それは、彼らが互いに「ねじれた愛情」をわずらってしまったことが、原因なんだ。


 まず父親と母親から述べたい。
 彼らがおこなった愛情。それは「届かなかった本心」だ。
 2人とも自身の生活に苦しんでいた。だからこそ、悩み、少しずつねじれていく。


 ねじれた結果、父親は成長する「現」たちに嫉妬してしまったのだ。
 人間はだれでも嫉妬する。しかし、父親はまずい方向にねじれていく。
 「ねじれた愛情」によって、嫉妬は虐待という形で外に溢れ出してしまったのだ。


 母親は、愛する夫の期待。そして、「現」への愛情が、彼女に重くのしかかる。
 それによって、彼女の愛情もまた、ねじれしまう。
 自分の肉体を傷つけることで、他の男性に惹かれることで、逃避という選択肢を選んだのだ。


 彼ら夫婦は、「ねじれた愛情」を外へと発散してしまった。
 そんな愛情は、けして兄妹に伝わることはない。


 「夢」は、親から向けられることのなかった愛情を欲するあまり、最後の家族、「現」に愛情を求めてしまった。
 それが「カニバリズム」という、ねじれた愛情へと具現化したのだ。


 彼女が作りだした“ねじれた愛情”。「現」はそれを1人で抱え込むという愛情で応えてしまった。
 妹を助けられるのは自分しかいない。そんな心の叫びが、彼女を助けるではなく、内包という「ねじれた愛情」で包み込んでしまった。


 父は、「虐待」。
 母は、「逃避」。
 妹は、「食人」。
 兄は、「内包」。


 これらは、「ねじれた愛情」によって生まれてしまいました。
 このいびつな表現方法に、ぼくは驚いてしまったんだ。そして、もう1つ驚いたことがある。


 それは「時間」です。


 うまいこと切り取っているけれど、それにしても足りない。
ここまで述べたことすべてを「5分」で描いているのだ。ゆえに、もったいないと思ってしまった。


 なぜ、彼ら家族がこうなってしまったのか。彼らを取り巻く環境は、いったいどうなっているのか。
 考えれば考えるほど、疑問しか出てこない。


 けれど、自分自身、意外なところで納得してしまった。


 これを5分以上で放送すると、先にあげた驚きが無くなってしまうかもしれない。
 もし、時間が増えたらどうなるのか。
 1つ目は、よりストーリー性を要求され、いらないモノまで見えてしまう。2つ目は、完全に無くなるよね。


 この時間が成功かどうかは分からない。でも、間違っているとも思えないんだ。
 だからこそ、人によって感じ方が大きく異なる作品「pupa」。


 そんなことを思いながら、彼らの行く末を見ようと思います。


TVアニメ「pupa」公式サイト http://www.pupa-anime.com/

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