アニメ -ノラガミの感想- 神さまだってつらいんだもん

http://www.nicovideo.jp/watch/1389071482

“彼岸の住人”である神さまの「夜ト」と、神器の「雪音」。そして、かつて「夜ト」の神器だった「ノラ」。彼ら”彼岸の住人”たちの関係に巻き込まれる、一般人、ときどき幽体離脱の女の子「ひより」。
 彼らが描く愛情と嫉妬。ときごき、勝利。「ノラガミ」はこれらによって物語っている。


 そんな彼らから見えてくる“関係”という溝。この部分が、とても気になる作品だ。


“関係”という名の溝は、誰かと誰かのあいだにある溝のことを指す。
 この溝が、彼ら“彼岸の住人”たちを悩ませ、孤独にさせる。
 いったい、この溝とはなんなのだろうか。


 ひとことで言うと、「対比」だ。


 彼らは、みな自分と誰かを比べながら「対比」という名の溝の中で苦しんでいる。
 ではなぜ、彼らがこの問題を解決できないでいるのか。


 それは、自分の中にある問題の「きっかけ」を、自分自身で見つけられずにいるからなんだ。


「雪音」はもう人ではない自分と、人である「ひより」を対比して見ている。
 また、自分が居なくても問題ない「夜ト」と、替えが利いてしまう自分。
 前世と彼岸の生活は、幼い彼を溝の奥底へと沈めていく。


「夜ト」は、神と人が相容れないと考えている。だから、「ひより」と常に一定の距離を置いてしまうのだ。


 そして、「雪音」を神器として使い、その副作用として助けた。
 だが、それは建前にすぎない。


 彼も「雪音」の心情を察している。でも、それは仕事に私情をはさむのと同じ事だ。
 だが、彼は「雪音」を見捨てはしない。そして、彼は「雪音」を受け止めた。


 なぜなら、2人は認識と共有がおこなわれても、「忘れられる存在」。その孤独を知っている「夜ト」だからこその行動だ。


「夜ト」と「雪音」の問題は、けして2人で解決することができない。
 結果、想いの一方通行になってしまう。
 そして、解決の「きっかけ」が見つからないまま、問題は加速する。


 見つからない“きっかけ”は、実のところ身近にいる。「ひより」と「ノラ」だ。


 「ひより」は、一方通行の2人と共に行動することができる。
 2人ではすれ違うだけだが、彼女がいることで、現状が維持されているのだ。


 そして、現状という溝の中の問題を掘り起こすのが、「ノラ」になる。
 彼女は、彼らに「甘い蜜」を差し出す。こちらの方が楽だと。


「ノラ」は、「夜ト」と「雪音」。2人の悩みと苦しみ、そして孤独を知っている。
 それは、同じ問題を持つ「ノラ」が、どこを掘ればいいか分かる程に。
 だからこそ、優しく語りかけてくるのだ。


 でもね。問題ばかりじゃあない。
「ノラ」がいるからこそ、今まで表に出来なかったソレを「ひより」が発見することができるんだ。


 いわば、「ひより」と「ノラ」は、光と影。
 だからこそ、彼らの問題を解決するカギになる。


 このカギとは、「共有」だ。


「ひより」は、こちら側とあちら側を結ぶ架け橋。彼女は人であり、また半妖でもある。
 だからこそ、彼らの心と自分の心を「共有」することで、心の溝を埋めることができるんだ。


 では、「ノラ」は何かというと、“反面教師”になる。
 彼女は、「夜ト」と「雪音」の2人に、警告を鳴らす。


 先ほど述べた「甘い蜜」というのは、彼らが歩むかもしれない「可能性の足あと」なんだ。
 こんな書き方をしたけど、「ノラ」がすべて悪いわけじゃない。


 彼女もまた、孤独なのだ。


 踏みとどまるきっかけがあれば、「雪音」の様に、“たった1人の神器”として、道を歩んだことだろう。


 彼らに必要だったのは、「きっかけ」だ。
 そして、「きっかけ」を手に入れた。もう彼らは孤独にはならない。


 なぜなら、「愛情」というものを共有したから。


 そんな「きっかけ」を僕も探しながら、続きを見ていきたいと思います。



TVアニメ「ノラガミ」公式サイト http://noragami-anime.net/


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