SEMICON Japan 2023 メモ(3日目)

昨日は後工程中心に聞き取りしたため、3日目は前工程メインである東4-6ホールを中心に散策。いつも巡っているCKD Kitz HORIBA Fujikin VATやTEL SCREEN KOKUSAI 荏原、昨日ハッピーアワーでお世話になったRORZE以外の一部企業についてメモを残す。


レーザーテック

・展示物:VIANCAシリーズ、ACTIS A300等
・URL:https://www.lasertec.co.jp/news/2023/20231206_3845.html
(メモ)
いつも通り各装置のパネル展示。今回は新製品としてVIANCAシリーズとACTIS A300及びEUVプラズマ光源「URASHIMA」が展示されていた。ビア深さ測定装置VIANCAシリーズは、TSVプロセスフローにおけるViaの深さを測定、ハイブリッドボンディングにおけるCuリセス量測定、バンプ高さ測定が可能な装置。HBM等メモリーやGPU等デバイスの積層化によりVia周りの測定にニーズがあり、既に各社で評価済。そして11月24日発表があったアクティニックEUVパターンマスク欠陥検査装置ACTIS A300シリーズのリリース。こちらは現行機のACTIS A150と比較しRelative Contrastの向上を実現。高効率光学系を用いることで解像力を高めたことで欠陥検出性能を向上。これを実現できたのは自社開発であるEUV光源「URASHIMA」シリーズの開発実装である。URASHIMAに関しては別途資料が無かったが現地でパネル展示があった。高速回転する液体Snにレーザーパルスを当ててEUV光を発生させるLPP光源であり、マスクやペリクルにダメージを与えない高輝度かつ低消費電力検査を可能にしている。また高速回転するルツボによる遠心力やデブリフィルターなど複数の軽減方法を組み合わせデブリレスの稼働を実現。Sn消費量を抑制するリサイクル機構、自動Sn供給システムも搭載。これまで光源購入していたが細かなカスタムが困難だったため、EUV光照射によるペリクルやマスクに歪み等のダメージが入ることが課題だった。そのため自社開発によりACTISシリーズへの最適化を実現した。現状ライバルのKLAはEUV光源利用したマスク検査装置についてまだ開発中であり、ACTISに最適化された自社製光源を開発できたことに自信を感じた

村田機械
展示物:ベアウェハーストッカー「CDWX」等
URL:https://www.muratec.jp/cfa/products/storage/cdwx.html
(メモ)
ロードポート+EFEM+オープナー+クレーン+ストッカーを組み合わせたベアウェハーストッカー「CDWX」の展示が行われていた。機械駆動部、FOUP、専用洗浄治具等の実機展示。専用のケースはFOUPに比べてWafer Pitchが1/3に削減されており高密度保管を実現。さらに装置稼働中にセル毎にExchange Portから出庫も可能で、それを専用治具に入れてFOUP洗浄機で洗浄も可能。Wafer保管枚数はデフォルトで1725枚/2525枚/4325枚としているが、これはカスタム可能で2-4万枚の保管も要望によっては可能としている。既に特定企業へ一部販売していたが、現在はウェハーメーカーや半導体関連企業R&D向けに提案しており初年度に5台出荷している。今後25~30台の出荷を目指している。

リオン
展示物:KC-52A等
URL:https://www.rion.co.jp/product/particle/airborne/handheld_battery/KC-52A/special/
(メモ)
ハンドヘルドパーティクルカウンタKC-51及び新製品のKC-52Aのデモ機を展示していた。KC-51はハンディタイプのパーティクルカウンタでクリーンルーム洗浄度管理、病院や食品工場等の環境管理に用いられている。リリースしてからそこそこの年月が経っているため、モノクロ液晶で操作性もあまり良くなく使いこなすには少し時間がかかる。これを改良したのが11月に発売したKC-52A。モノクロ液晶→タッチパネル式カラー液晶に変更、直感的な操作もある程度可能に。更にグリップ部分も改良され持ちやすさも追求、重さも現行機が約780gだったが680gと100g軽量化に成功。更に土台側にUSB-C給電を搭載し充電も容易になった。製品寿命は使用環境にもよるが5-10年程度とサイクル自体は長め。
他にも液中パーティクルセンサ等の実機展示もあった。ここ数年気中・液中ともにパーティクルカウンタの需要が高く引き合いも多かったが今年は去年一昨年に比べると落ち着いているとのこと。来年に期待を寄せていた

椿本チエイン
展示物:フラットベヤ、ケーブルベヤROBOTRAX、真空用ステンレスチェーン等
URL:
(メモ)
フラットベヤ、クリーンベヤなどのケーブルチューブのクリーンシリーズの展示を行っていた。ケーブルベヤTKR形はISOクラス3を達成しており、チップマウンター等での使用を想定していた。半導体製造装置向けにフラットベヤを提案していたがこちらはISOクラス2、クリーンベヤに関してはISOクラス1としていた。クリーンベヤはボンダー装置、フラットベヤZPはウェハ製造装置向けを想定。一部液晶製造メーカーにおける液晶製造装置で指定されている商品もあり今後半導体製造装置向けに展開していきたいとのこと。クリーンルーム内での使用を想定しているためパーティクル発生を抑え歩留まり改善に寄与。
他にもOHTの紹介や3次元駆動のROBOTRAXの展示も行われておりブースを広く展開していた。また噛合チェーン式アクチュエータの実物も触らせていただいた。

平田機工
展示物:次世代ロードポートKWF-12Gシリーズ、ウェーハ搬送ロボットAR-WGシリーズ、ウェーハ電動ゲートバルブHEGV-3シリーズ等
URL:https://hirata-ecoele.com/
(メモ)
おそらく5年ぶりの参加となる。今回の展示物はほぼ新製品で25年4月リリースされる予定のものを展示していた。次世代ロードポートKWF-12Gシリーズは昇降駆動部に自社開発したブラシレスDCモータ「Hirata BLUE MOTOR」を採用。ブラシレスモータのため長寿命化を実現、更に従来品に比べ体積約1/20・重量約1/10と軽量化、現在同社が新たにリリースする製品の駆動部に採用されている。駆動部をオール電動化することで動作時の振動を抑制。標準モデルの他に下部に顧客使用可能スペースを設けたコンパクトモデルもラインナップ。これは下にコントローラ等を置くことにより総合的にフットプリントを改善できるタイプで、顧客要望により開発ラインナップに加えたとのこと。

ダイキン工業
展示:フッ素系液体DAISAVE SS-54、極低温用シール材フッ素シーラント、フッ素樹脂複合材料等
URL:https://www.daikinchemicals.com/jp/news/semicon-japan-2023.html
(メモ)
セミコン出展はおよそ30年以上ぶりとかなり久しぶりの出展となったダイキン工業。展示内容はフッ素製品中心。フッ素系液体DAISAVE SS-54はクーラント液及びヒートポンプ作動液等の熱媒体関連製品及び電子部品などの精密洗浄等に用いられる。フッ素シーラントは塗布後に室温で硬化し、耐薬品・耐電圧・水蒸気バリア製に優れた機能性膜を形成できるコーティング・封止材。通常のものに比べて耐寒温度も低く、シリコーン樹脂や耐寒性シリコーンよりも低い氷点下100度でも耐えうる性能。主にパワーデバイス、エレクトロウェッティング用絶縁膜、低温液状ガスケット等の使用を想定している。
そしてメインというわけではないがPFAS規制のパネル展示もあった。これに関しては専門の解説員が担当していた。PFAS(ピーファス)とは有機フッ素化合物のことで炭素とフッ素の結合を持つ有機化合物の総称。定義としては「少なくとも1つの完全にフッ素かされたメチルまたはメチレン炭素原子(H/Cl/Br/I原子が結合していない)を含むフッ素化物質」となり、対象となるPFASの数は1万種以上。現在日本でもPFOSやPFOA、PFHxSといった化合物の製造や輸入を原則禁止している。EU圏域においてPFAS製造を2025年中に規制(ただし製品群で猶予期間が設定されており、半導体製造に係るものでいえば12年の猶予がある)される。気になるのはPFAS規制の度合い、脱PFAS製品の開発状況、PFAS製品の生産状況である。規制が力強く行われるのであればPFAS製品の増産や新製品の投入は、これに反する動きである。同社担当者曰く、3MのPFAS製造撤退に伴い様々な製品の不足が予測される。今回展示しているフッ素系液体DAISAVEなどもこの流れに沿った動きでもある。増産体制なのもこの影響及び全体需要の増加を受けてのもの。さて規制についてだが、現在12年の猶予が設定されており規制開始から12年後に猶予期間延長するか規制に踏み切るかの選択が行われ、恐らくこのまま代替品が開発できなければ再び猶予期間延長されていくだろうという見通しだった。実際、規制案策定の中心となったオランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)は「PFAS代替物質は現在存在しない、または今後も代替物質が見つからない場合もある」とコメントしており、大前提として代替手段を模索し脱PFASを押し進めるが、現実的なラインも模索するということでもある。現状の半導体及び電子部品市場におけるフッ素化合物の需要はすぐに代替のできる製品群ではない。そのため新製品開発及び増産は行うという話だった。
確かに3M製造撤退に関してはPFAS汚染による巨額訴訟問題に起因したものであり、3MがPFAS規制に応じて行った施策ではない。今後もこの問題は長引くが、可能な分野から徐々に脱PFASが進められ、限られた分野でPFASが残るのがメインストーリーになりそうというのが話の大まかな流れだった。
(参照:https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/report/2023/pfas2302.html)





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