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【DTM】作曲制作の早さに関して聞かれるので、普段やってることをまとめてみる

影虎。です。8月ももう直ぐ終わりですね。
日付感覚で言うと夏の終わりですが、実際は気温の関係でまだまだ夏が続いていくような、そんな感覚を覚えます。

はじめに

さて、日頃から僕が楽曲制作を行なったり納品をしている中で、ありがたいことに定期的に「どうしてそんなに早く楽曲が完成出来るんですか?」という旨のお声を頂きます。
この質問を頂いた時に色々回答したのですが、人に伝えている中で「もしかしたら、これって記事としてまとめて発信した方が良いのだろうか?」とふと思いつきました。

本noteで楽曲制作時にやっている様々なことを記載していきますので、少しでも参考になりましたら幸いです。


本題

1. 楽曲の骨組みを先行で固めていく

これはもしかしたら、僕が音楽ゲームの楽曲公募企画(以下、音ゲー公募)に提出することが多かった故の癖かもしれません。
前提のお話をすると、音ゲー公募ではゲームでプレイすることを前提とするため楽曲に時間制限があります。それ故に、以下のような手順を踏まえて制作することが多かったです。

  • 制作する楽曲のBPMを決めて、使える小節数を求める
    (参考:2分であれば、BPM÷2 = 使える小節数

  • その小節数の中で、予め「イントロに4小節」「サビに8小節」という流れで構成だけ固めてマーカーを指定しておく

  • その構成に合わせて楽曲を制作する

この方針を常に取っていた所、普段の楽曲制作にも癖として身につくようになりました。具体的には以下の通りです。

  • 「今作っている所が終わったら次はブレイクで8小節ぐらい使おう」

  • 「その後フェイクドロップ的な感じで2小節使おう」

  • 「ラストサビは16小節使おう」

全然出来てなくても取り敢えず目印だけ置いていく。

これをやっていくとダラダラ長くもならないし、目標が比較的明瞭になるので円滑に制作出来ます。

2. 制作可能なところからドンドン制作していく

何か特定の箇所で詰まらないよう楽曲構成の順番を無視して、以下のように「思いついた所からドンドン作っていく」という方針を取っています。

  • 「取り敢えずベースドロップだけ作ってサウンドの方向性とか決めてしまいたいから作ろう」

  • 「サビのメロディーとか全然思いついてないけど、ドラムとかベースだけなら取り敢えず打ち込めるから先に先行でそれだけ打ち込んでしまおう」

  • 「サビ前のフィルイン全然詰めてないけどもうサビ作っちゃおう」

なので制作の順番が滅茶苦茶なケースが頻発していて、
最初にベースドロップを作って、イントロが思いついたのでイントロを作ってそのままサビまで作りつつ(最初に作った)ベースドロップに繋げて、一旦ラスサビのドラムとベースだけ打ち込んでおいて、サビ終わりの展開を一通り作って、(ドラムとベースだけ先行で打ち込んだ)ラスサビの制作に入る……ということもしばしばあります。

3. 細かいアレンジは後回し

例えば、製作中の楽曲のAメロが「なんか基本的なサウンドは良いんだけれど、納得行かないな……」というケースがあったとします。
納得行かないケースの理由は恐らく色々あって、「音が違う」「FX系が足りてない」「何かしらの楽器が足りていない」等色々考えられます。

ただここで、Bメロの制作などが残っている状態で「何が物足りないのか?」を考えていたり詰めていたりすると、むやみに時間がかかってしまうケースもあります。
なので「アレンジが難航した」と感じたら、一旦別のパートを制作するようにしています。もしかしたら、複数パートを制作した後に通しで聴くことによって「何が足りなかったのか?」というのが分かるようになるかもしれません。

4. 考えながらインプットする

作っていて「どのような構成にするべきなのか?」「どのようなトラックを使用しているのか?」のヒントが欲しくなる時は、制作しているジャンルと同じ曲を2〜3曲程聞いたりしています。
「このジャンルを作る時、ベースラインの打ち込みはどうなっているのだろう?」「裏で鳴っているトラックはどのような構成になっているのだろう?」という何か1つの疑問にフォーカスした上で聞いて、そこからヒントを得るようにすると良いと考えています。

5. こだわりすぎず、自分の中である程度妥協する

さて、少し話が逸れて高校時代に吹奏楽部に所属していた時の話をすると、部活の顧問が以下のような話をしていたのを思い出しました。

「自分の中でこういう音を出したいというイメージが100だとしたら、実際に楽器から出したイメージは80ぐらいで、更にそれがお客さんが届く頃にはイメージが50ぐらいしか伝わってないよ」

「だから、お客さんにイメージを伝えるためには頭の中のイメージをもっともっと大きくしないといけない」

(一部意訳しています)

この話と繋げられるのかは微妙ですが、すなわちどれだけ楽曲の細部にこだわっても、相手にそのこだわりや魅力が伝わらない可能性があるということかもしれません。

これは創作活動全般に言えることですが、何かをこだわりだすと止まらなくなって「これで完成として良いのだろうか?」と思うこともあります。
そんな時に「このレベルであれば、クライアントの方は満足してもらえるだろう」「もうこれ以上詰めてもキリが無い気がするから、これで良しとしよう」という妥協を時にすることがあります。

6. サンプラーでサンプルパックを管理して、扱いやすくする

僕は普段HALionというシンセサイザー兼サンプラーを使用しているのですが、主にそれにサンプルパックを突っ込んでキックやスネアを一括りにしてプリセットとして保存して、サンプラーとして使用することが多いです。

「Vengeance Essential Clubsounds」シリーズのキックやスネアをプリセットとして保存
鍵盤1つ1つにスネアを割り当てる。

こうするとキックやスネアの選定が円滑に出来る上に、打ち込みの途中で「このキック、別の音の方が良いかも……」などと感じた時にMIDIのデータをちょいと変えるだけで全て総入れ替えが出来て効率が良いです。

あとはサンプラーによっては「元素材のBPM」を指定することが可能なので、BPMに依存しているタイプのフィルイン素材についてもこの通りです。

BPMが100のフィルイン素材のみをまとめたプリセット。「Orig BPM」を100に設定。

そうするともしフィルイン素材のBPMと製作楽曲のBPMが異なっても、タイムストレッチ処理をDAW側でしてくれるので楽です。
後はなんかフィルが合わないので変えたいと感じたら、これもMIDIデータを軽く弄るだけであっという間に変更が出来ます。楽です。

【2024/8/31追記】
こちらのBPM指定なんですが、あえて元の素材の倍のBPMを入力するとハーフテンポになってくれます。
アーメンブレイクを用意してBPMを倍にして入力して、ピッチを1オクターブ分下げて……みたいなことをするとブレイクで良い感じのビートを刻んでくれるやつが出来ます。らくちん。

7. 気に入った音はとにかく保存・ブックマーク

シンセサイザーで音作りをしていて気に入った音が出来たら、恐らく次回以降も使うことになるケースが多いのでどんどんプリセットとして保存しています。
あとはシンセサイザーにデフォルトで入っているプリセットも色々確認して、気に入った音はどんどんお気に入りに登録するなどして直ぐに取り出せるようにしています。

そしてインサートするプラグインの設定を丸ごと保存もしています。例えばボーカル素材に挿すプラグインは、かなり数が多い上にある程度何を挿すか決まっているので予めプリセットとして保存しています。

この数のプラグインの設定をワンクリックで呼び出せるのは嬉しい

おわりです

ここまで色々な「普段作曲制作の時にやっていること」をまとめてみました。少しでも何かヒントになれば幸いです。
ちなみに作曲のご依頼は適宜お待ちしていますので、何かあればご相談だけでも頂ければと思います。

良いDTMライフを。

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