aikoと季節〜大造じいさんとaiko〜

aikoもそうだし、文学作品は季節の描写が重要である。

aikoの場合は、「季節」は逆らうものらしい。(『えりあし
』という曲にあります。)
季節という「変化」と対置して、恋人に「不変」を求めるのである。

あなたとずっといたいけれど、それは儚く崩れ去ってしまう、
つまり恋愛は、「あなたとの永遠」を目指していても、「終わりがきてしまう」という性質を持っているのです。
一方「季節」とは、毎年繰り返し訪れる「永遠」と「終わり」の二つの性質を兼ね備えています。まぁなので、よく出てくるんですね。

そんなaikoの季節の表現のベストセレクション!

季節は秋桜(コスモス) 雪のマフラー
飲み込み吐き出したままのあなたの思い出
どうしたらいい
『夏バテ』

タイトルと一文で、全ての四季を網羅する完璧な構成。
あなたとの思い出という「変わらない過去」にすがり続ける少女を、めまぐるしく「変化する四季」が過ぎ去っていく。
恋した相手との思い出は変わらないが、四季は変化し続ける。aikoの世界観を感じ取れる教科書のような歌詞。

鼻先をくすぐる春
リンと立つのは空の青い夏
袖を風が過ぎる秋中
そう 気が付けば真横を通る冬
『カブトムシ』

「あれ、芥川賞でも狙っているのかな?」と思わせる、まさに文学作品のような擬人法。この歌詞が伝えてくれるのは、季節は私たちの身体のすぐそばにいるということである。日本列島を覆い尽くすのではなく、私たちの「鼻先」「上(空)」「袖を通る風」「真横」。街を歩いていても、季節は私たちと一緒にすぐそばにいる。そう気づかせてくれる。

春が終わり夏が訪れ 桜の花びらが朽ち果てても
今日とかわらずあたしを愛して
『桜の時』

まさに冒頭のような構成が感じられる歌詞。
春が終わり夏がきて、桜の花びらが朽ち果てる、という「変化」に対して、
今日と変わらずあたしを愛して、という「不変」の要求。
最高。たまらない歌詞。

▽aikoを聞く資格 〜可変と不変〜▽
https://note.mu/kagesuke/n/n44abfac40fa0

また、全ての描写が、私たちが想起しやすいように「具体的事象」を中心に描いていることもわかる。豊かな文学的表現と易しく理解しやすい比喩表現。
そろそろ小学校の教科書にaikoが載るんじゃないかな。『大造じいさんとaiko』みたいな。すみません。タイトルの伏線回収が雑で。
もっと『大造じいさんとaiko』を書こうと思っていたんです。

先日、自宅の猫の首輪がボロボロになっていることに気づきました。サポートしていただいたら、猫の首輪にして、noteに投稿します。