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Helltakerまんがほんやく後記10

タイトルに10って入ってるけど、1~3はありません。(4~9はある)訳した漫画の通し番号ですね(そろそろ書きなさい)
本文はHelltaker既プレイの方向けのあれこれです。今回はとりわけネタバレがデカいのでまずはプレイ(しなさい)(無料で)

日本語化ファイルはググるといろいろ出てきます。どれも良い訳だから好きなのをピックしよう。

わしも訳しました。今回は半年ぶりにあの娘が登場するので、一通り再履修しました

注意な: 本稿は翻訳の意図とかなんかそういうのをぐちぐち書いたものです。キャラクターや世界観の解釈は訳者(kagerou01gata)によるもので、作者のVanripper先生の意図から外れている可能性があります。地雷を踏まないように気をつけてください!

1. Episode 51

えっちな漫画か!?えっちなまんがだ……
ベルゼブブのエピソードはこれが初めて。しまったいこー!

原文チェックの時間じゃ

Those pancakes you're eating are slightly different...
It's quark. I thought you'd prefer chocolate.
Want a bite?
Oh, may I?

Nom.

Delicious.

今回は全体的に短いし、後半の台詞は一言ばかりだけど、短いセリフほど訳し方に悩むぞ!そんじゃ手をつけるべ……

2. 蠅の王は少年の姿をしてほくそ笑む

全手動翻訳機、全手動翻訳機?……死んでる……

そのパンケーキはちょっと違うようだね……
クワルクだ<br>君はチョコレートの方が好みだと思ってな
一口食うか?
おや、いいのかい?

あむ

おいしいよ

訳文に改行コードが入ってる……それでは訳をチェックしましょう

そのパンケーキはちょっと違うようだね……

直訳すると「君のパンケーキは少し違うようだ」になるんだけど、ヘルテイカーの台詞でも「君」を使う都合で、ちょっと変えました。
英語とか大陸語系の言葉は名詞の人称代名詞をいちいち指定してくる。これをそのまま訳してもいいけど、文章が直訳くさくなるのに気をつけよう。もちろん、夏目漱石をリスペクトして英文直訳調にしてもよい。
おお、なんだかこの文は英文を読み解いている感じがしますよ。私はこれを興味深いと考えています!

クワルクだ<br>君はチョコレートの方が好みだと思ってな

実はこれまでもデザイナーのEaiにテキストを送る際はコードも入れてたんだけど、ほんやく後記に掲載する時には消していました。これからは入れます。レイアウトとかを検討する際に重要なのですね。

さて、クワルクはスタメナと同系統のサワークリーム系のチーズの一種です。Helltaker「パンケーキ」レシピを訳す際、ドイツのオタクに協力を仰いだのですが、その際にこれも教えてもらいました。さっぱりとしてておいしいですよ。日本でも手に入るので、パンケーキを作る際に入れるといいかもしれませんぜ。

文字数の都合で「チョコレート」は「チョコ」にした。じゃんけんして先に歩くやつじゃないから、ゆるしてほしい。Abysstakerエンディングで「悪魔は砂糖に目がない」って言ってたけど、ベルゼブブは蠅の女王だし特に甘いものが好きかもしれないね。(蠅を従えるなら、エネルギー効率のいい甘いものは最適なのだ。)

一口食うか?
おや、いいのかい?

「一口食うか」にするか、「一口どうだ」にするかでめっちゃ悩む。短いセリフほど言葉選びに悩みます。語感もあんまり変わらないけど、今回は直球の方を選びました。返しはこれがしっくりくるね。

あむ

(彼はここで達した)

おいしいよ

「おいしいね」にするか「おいし」にするかで悩み、ここも直球でいきました。悩んだ時は一番伝わる、魂からの言葉がいちばんだ。たった一言が一番難しい。そして何よりも大事なのは、ベルはちゃんとお礼を言える悪魔だということだ。えらいぞ。

感情エネルギーがえらいことになってる、あとはEaiに投げよう……

3. ただひとり笑顔にできればそれでいい

こうして私家日本語版ができました。短いセリフが多いと、悩みどころさんも多くなります。コミュニケーションは大なり小なりの感情をぶつけ合う要素があるので、適切な言葉選びには悩まされます。

……ベルゼブブ嬢はアレだ、幼い頃は一緒に遊んでたけど、やがて疎遠になって久しぶりに再会したら「お前女の子だったのか!?」ってなるタイプの悪魔なんですね。実際偉そうな怪物悪魔に見せかけて……ですしね。
彼女はかつてルシファーとの権力闘争に敗れ、地獄に大きな爪痕を遺してアビス(深淵)に追放された旨がエピローグで言及されていますが、今回のまんがを見て、想像以上にくだらない原因で起きたんじゃないかと思いました。彼女は危険です。ちょっと話しただけで無邪気に、屈託のない好意を向けられ、まともでいられる悪魔が果たして地獄に何体いるのだろうか。単なる魔力や暴力以上に、善意で歪められた感情は凶器となりえる。彼女の存在そのものが、地獄に分断と破滅をもたらしうるのですね……あいや妄想ですが。追放までするなら、接触そのものが危険なのでしょう。(もちろん毒の垂れ流しも問題視されているだろうけど)(令和の鉱毒事件)(歩く環境汚染源)

果たして次のまんがはどうなるのか、非常にたのしみですね。わしはほんやく作業にもどります。それではまたお会いしましょう!

あー、ほんやく作業は皆さんのドネェートーとわしの自腹で継続しています。ご支援いただければ、今後も訳したり怪文書を垂れ流せるので、よろしくお願いしまッす。

……かわいい女の子をかいた方がよかったな……

ほんやくに必要なあれこれの原資になります。よろしくネ