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Mosquito Seasonほんやく後記

「Mosquito Season」ってのはVanripper兄貴がむかし作ったFlashコミックなんだけど、Flashのサービス終了に伴って読めなくなっちゃった作品。

https://twitter.com/i/events/1418482918683414532

(今はモーメントリンク先の説明欄にあるMEGAリンクからDLして読めます)(3回もリンク踏むの、面倒だけどNoteの仕様なのじゃ)
ついでに私家日本語版があります。上のツイタモーメントと……

蒸気ガイドの2つ用意してあります。内容は(ほとんど)同一です。読みやすいレイアウトの方をごりようくださいませ。

↓ここから下はMosquito Season既読の方向けのあれこれです。ネタバレもあるからまずは読む(しましょう)

1. 欧州家庭事情

さて、主人公が蚊と格闘する姿を見て「網戸使えばいいじゃん」「蚊取り線香置いたら?」「殺虫スプレー使おう」と思った方は多いかと思いますが……この手のガジェットは海外ではあまり普及していないようです。(本編70ページ目あたりでも言及してますね)マジ?と思ってエゲレスやドイチュラント、ポーランドのオタクに聞いてみたところ、窓の構造が日本と違うから網戸はつけられないし(あと掃除がめんどくさそう)、蚊取り線香やスプレーは身近に売ってないとか。(通販で買えるそう)虫による被害が日本ほど深刻ではないのかもしれませんネ……(たぶん気候のせい)

2. キャラについて

本作には様々な虫やら人やらが登場する。Vanはキャラに元の生物的特徴を加え入れた描写をするのが大好きなので、日本語訳にもそうした要素を入れたり入れなかったり忘れたりしたぜ。

蜘蛛

今作における蜘蛛は忠に厚い武人を意識して訳しました。軒下を貸してくださった恩義を忘れず、家主と尊重し合う適切な距離感を感じていただければ幸いです。(信頼や友愛から恋が芽生えるやつっす)原文では男のことを”Good Master”と呼んでいたから「ご主人」としてもよかったんだけど、あんまり上下関係が強すぎる言葉を選ぶと、主従モノになってしまうので今回は「家主さん」としました。キャラ同士の距離感は未だにどのあたりが適切なのか探りながらやっています。ウン。

ちなみに115ページあたりで蜘蛛が恋に落ちた描写をしているのは、メスの蜘蛛に餌を与えるのは「つがい」になるためのシークエンスだからっすね。なんてこった、とつぜんラブコメになってしまったぞ(ラブコメ漫画)
でも男が(文字通り)食われていないあたり、まだ交尾はしていないようです。アブナイ トコロ ダッタナ!

ゴキブリ

ゴキは風呂場とかシンクとかみたいな水気のある場所を好むので、漫画の遭遇シーンは生態を反映しているといえますネ。人間を前にして止まるのもパニックになっているからとされ、作中でも慌てる描写がされています。

ほんやくに際しては悪役として意識させすぎないように意識しました。ゴキはゴキなりに必死に生きている姿をぜひ堪能してほしい。それはそれとして食い物荒らしたりコロニー作ったりするからやっぱり害虫なんだよナ、いつか始末しないと……

誘蛾灯という機械があるように、蛾など一部の虫は光に引き寄せられる性質(走光性)があります。蛾は夜行性で、光に照らされた草木をもとに暗闇を飛ぶことができるのですね。作中の蛾は家の光につられて入り込んでしまったものと思われます。蛾が飛び疲れてボンヤリしているのも、人工の光に惑わされてうまく飛べていないことを暗示しています。なんかここまで読むと夏休みの自由研究みたいな文だなぁ。

ちなみに蛾の口調は、繭を経て成体になる成長過程を反映したものです。繭入り娘、というわけですネ。(誇張したお嬢様口調を使うのが好きというのはナイショだ)ちゃんとお礼も言えるし、悪い奴じゃないんだぜ。

このへんの敵。本作のライバル。タイトル回収。この世の邪悪――とさんざん書いたけど、蚊は蚊なりに出産のために血を吸わないといかんので難儀な話っす。(本作に登場する蚊がみんなメスなのはそういうことだ)(Vanせんせの趣味)

ひたすらに欲望に忠実に訳しました。地獄ゲムのケルベロスdoggoに似てるって声が多かったけど、あいつらも欲望にアホほど忠実なので似てるかもしれない。(蚊の方がしたたかそうだけど)
とにかく同型機……もとい同族が多く、それぞれの個性を出すよう苦労しました。3匹がそれぞれセリフを言うシーンは、登場する蚊をイメージして訳しているぜ。まあこいつらみんな死んじゃうけど……

ただの男

良い奴でかわいそうなやつ。部屋にターミネーターっぽいポスターがあるのは、たぶんVanの趣味。オッサンもターミネーターコスしてたしなぁ。蚊以外には基本的には優しい一方、ハエタタキで3日かけて蚊をほぼ殲滅する鋼の意思を有しているタフガイだ。

本作は基本的には彼の独白で進むので、プレーンに訳しました。(ほんとか?)あまりひねくれた言葉回しはしていない……はずだぜ。蜘蛛や蛾に接するシーンでは例によって紳士的な対応を。主人公に不快感を抱かせると没入感を損なうからネ。(前にもこんなこと書いた気がする)

3. そろそろ仕事に戻ります

と、ざっくりとほんやくのあれこれを振り返りました。まさか地獄漫画にも出張するとは思わなんだけど、結果的にほんやくが活かせてよかったです。(もっと早く訳していればなぁ)

もしかしたら今後も何らかのクロスオーバーがあるかもしれんね。(ないかも)枕をデカくして待とう!

VanのFlashまんがはあと3本ほどあって、今は(一応)全部読めます。ただし、ことごとく二次創作作品なので原作(とマイリトルポニー)に関する知識が要求されるから注意っす。

ステルススーツMk.2まんがは要望があれば訳せるかもしれないけど、他の2本は更に履修が必要そう。MLP日本語吹き替え版から口調を勉強しないとなぁ……

それではまた他の作品(のほんやく)でお会いしましょう!アディオス!

ほんやくに必要なあれこれの原資になります。よろしくネ