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Helltakerまんがほんやく後記19

タイトルに19って入ってるけど、1~3はありません。(4~18はある)訳した漫画の通し番号です。
本文はHelltaker既プレイの方向けのあれこれです。未プレイの人はぜひプレイ(しましょう)(無料でしてよ)

日本語化ファイルはいろんな人が頑張って作りました。どれも良い訳だからよさげのを選ぼう。

わしも訳しました。久しぶりに読み返したんだけど、

注意す: 本稿は翻訳の意図とかなんかそういうのをぐちぐち書いたものです。キャラクターや世界観の解釈は訳者(kagerou01gata)によるもので、作者のVanripper先生の意図から外れている可能性があります。地雷を踏まないように気をつけてください!

1. 二頭のやぎのために、くじを引かなければならない

~これまでのあらすじ~
オタクに厳しいギャルから堕天しんじつを教えてもらったアザゼル。ジャスティスにもアドバイスにならないアドバイスをもらい、自分の堕天が進んでいることに気づいた彼女は……

前回は何か分かったようで何も分からなかったので、今回は何かわかるといいなぁ。それでは原文を読むとしよう。

I'm going back home to have my illness properly diagnosed and cured.
Azazel, please. Growing a pair of horns is hardly the end of the world...
Only demons grow horns.
I'm not a demon.

But with horns you could certainly disguise as one.
That would help in your studies, yes?
I... I could pass among demons like one of their own...
...And gain access to secrets no angel ever heard of.

My heavens! I'll need a tail too!
Miss Lucifer, can angels grow tails?
I'm sure they can, darling.
This paper will be revolutionary!
Future generations will learn from my works!

I'm very happy for you, azazel.

なんか不穏だ……全手動翻訳機さん、やっておしまい!

2. 一つのくじは主のため

全手動翻訳機が務めを果たしました。さっそく読みましょう。

いちど故郷(ルビ: 天国)に帰って<br>自分の身体を診てもらうであります
まあ待てアザゼル<br>角が生えたくらいで<br>そんな深刻にならんでも……
角が生えるのは悪魔だけであります
自分は悪魔ではないであります

しかし角があれば悪魔に変装できるだろう
「探求」の任にはうってつけじゃないか?
た……確かに見た目から悪魔と打ち解けられるし……
……天使が知らぬ悪魔の秘密も学べるやもしれんぞ

何たる僥倖!でしたら尻尾も欲しいであります!
ルシファー殿、天使に尻尾は生えるでありますか?
モチのロンだ<br>探求天使よ
これで自分の論文は大名著になるであります!
後輩たちも皆<br>自分から学びを得るのでありますね!

お役に立てて光栄だよ<br>アザゼル(ルビ: 後輩)くん

なんだか全体的に明るい雰囲気です。これはいい展開になるにちがいないぞ(主語の欠落)さっそく検証しましょう。

いちど故郷(ルビ: 天国)に帰って<br>自分の身体を診てもらうであります
まあ待てアザゼル<br>角が生えたくらいで<br>そんな深刻にならんでも……

"I'm going back home"って言ってるから「家に帰って」でもいいんだけど、今回は「故郷」としました。ルビに「天国」ってあるけど、読みは「くに」が望ましいです。(ルビが機能してねぇ)
ルシファー様の台詞は絶妙な距離感を意識しました。特別親しくはないけど、「信頼できる」くらいの関係です。これは魔法云々ではなく、ルシファー個人の人徳というか能力によるものと解釈しました。たぶんこのひと(悪魔)、魔力がなくなっても口先八丁だけで生きていけそう。

角が生えるのは悪魔だけであります
自分は悪魔ではないであります

アザゼルちゃんの口調は(わしの後先考えないキャラづけのせいで)ワンパターンになりがちなので、無理やり韻を踏ませたり、リズミカルにしたり、ヘンな工夫を凝らしています。

しかし角があれば悪魔に変装できるだろう
「探求」の任にはうってつけじゃないか?

”But with horns you could certainly disguise as one.”はかなり直訳寄りに訳しました。「角があれば悪魔に紛れ込めるだろう」にしようかとも思ったけど、既にかなり紛れ込んでいるのでこの訳で落ち着きました。ある意味家族みたいなものですしねぇ。
後半は「探求天使」の二つ名をあえて出すことで自尊心をくすぐっています。ほんやくアドリブだけど、ジャッジメントとの絡みでもうやっているからおかしくはない……よね?

た……確かに見た目から悪魔と打ち解けられるし……
……天使が知らぬ悪魔の秘密も学べるやもしれんぞ

ここは即落ちが気持ちいい掛け合いですネ。今見ると、アザゼルちゃんにコンプレックスというか天使であることの負い目のようなものを感じさせる気もします。追い打ちのルシファーさまのセリフ、これが本当によい(オリジナルが)。この一言が3コマ目の喰い気味アザゼルにつながるのですね。

何たる僥倖!でしたら尻尾も欲しいであります!
ルシファー殿、天使に尻尾は生えるでありますか?
モチのロンだ<br>探求天使よ

慣れない地上での暮らし、進捗はすれどパンチに欠ける論文……アザゼルの抱える不安がルシファーの後押しのもと爆発し、大興奮に至りました。今見ると「僥倖」はルビ振った方がよかったかもしれないなぁ。
原文でアザゼルちゃんは"Miss Lucifer"と呼びかけているけど、Missは未婚女性に使う敬称、ヘルテイカーとは(正式には)結ばれていないことを示しています。この世界線では既にベルに拉致られて触手プレイの真っ最中なので、ルシファーさまも内心不安に思っているのかもしれませんネ。
「モチのロンだ」は趣味です。知っての通りルシファーさまはナウなヤングにバカウケのマブい美少女なのでこうした若者言葉を巧みに使いこなします。(怖いのは自分がこれが死語だと気づけなくなる時っすね)

これで自分の論文は大名著になるであります!
後輩たちも皆<br>自分から学びを得るのでありますね!

このセリフから、アザゼルちゃんの劣等感というか後ろめたさがなんとなく読み取れました。あー、訳自体はそれほどでもないけど、言葉選びが大変でしたね。頭は良いけどちょっと抜けてる感じが伝わるといいなぁ。

お役に立てて光栄だよ<br>アザゼル(ルビ: 後輩)くん

「後輩」のルビと「くん」は完全に訳の暴走だからまったく言い訳ができないんだけど、一切後悔はしていません!(などと容疑者は供述しており)そういえばルシファーも堕天使だったなと再確認させるための演出です。ルシファーさまがあまりにも地上社会のパンピ暮らしに馴染んでいるから、みんな忘れちゃっているかもしれないし……

よーし訳ができた。今回はかなり飛ばし気味だった気がするぞ。

3. 一つのくじはアザゼルのためである

こうして私家日本語版ができました。今回は一段と表情豊かでいいですね。わしは1コマ目のルシファーさまと2個目のアザゼルちゃんと3コマ目と4コマ目がすきです。みんなはどのコマがすきかな?

ルシファーの無計画な堕天計画は果たしてどう転がるのでしょうか?天界の介入は?上級天使さまにセリフはくるの?Vanripper先生の一周年記念放送でベル(ゼブブ)のどんな話をするのか、気になって夜しか眠れませんね。生放送は月曜の日本時間23時から翌3時まで。うーん、平日の深夜はキツいぞ。無理しない程度に楽しもう!

それではまた!わしは作業に戻りますネ


ほんやくに必要なあれこれの原資になります。よろしくネ