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Helltakerまんがほんやく後記17

タイトルに17って入ってるけど、1~3はありません。(4~16はある)訳した漫画の通し番号です。
本文はHelltaker既プレイの方向けのあれこれです。未プレイの人はぜひプレイ(するのだ)(無料じゃ)

日本語化ファイルはいろんな人が頑張って作りました。どれも良い訳だからいい感じのを選ぼう。

わしも訳しました。今回はわしのほんやくをベースにお話しします。(いつもじゃない?)

注意で: 本稿は翻訳の意図とかなんかそういうのをぐちぐち書いたものです。キャラクターや世界観の解釈は訳者(kagerou01gata)によるもので、作者のVanripper先生の意図から外れている可能性があります。地雷を踏まないように気をつけてください!

1. 策謀はリビングから

最近よく出るジャッジメントと久しぶりのルシファーCEO(バカンス中)のまんがです。何を言ってるかよくわかんないけど、全体的に悪魔の胸がデカいぜ!

それでは原文をみてみましょう。

High prosecutor.
Lucifer.
What do you want?
We do have our differences...
But I think this is one of those rare occasions when our interests align.

I'm told you might appreciate what I have in mind.
I'll be the judge of that, snake.
Get to the point.

They're running a marathon at the local cinema.
Nothing but cute talking animals for six god damned hours straight.

We'll take three tickets and a bottle of your best wine.

本編のチャプター9で公然とルシファーの意向に背いたジャッジメント。2人ともオトナだから付き合いはつづいているものの、その仲は冷え切っていた……いったいどうなる!?

2. すれ違いは廊下から

全手動翻訳機が抄訳を出しました。みてみましょう。

最高検事総長
ルシファーさん
何のご用で?
我々に意見の相違があるのは事実だが……
稀有にも本件は利害が一致すると思ってな

この提案には諸手を上げて賛同してもらえるはずだ
司法権の独立をお忘れなく<br>蛇(ルビ: ルシファー)さん
本題に入られては?

連続上映会がご近所の映画館で執り行われる
ただ動物が可愛いだけの映画だ<br>6時間を棒に振ることになるだろうな

チケット3枚<br>あと一番いいワインを<br>開けてくれ

こいつの訳、なんか言い回しが全体的に難しすぎて漢字テストみたいになってるんだよな。本当に合っているのか、さっそく確認しましょう。

最高検事総長
ルシファーさん
何のご用で?

ただ話しかけるだけの導入シーンだけど、呼びかけ方に地獄政治要素が入っています。ルシファーが地獄における人事権をある程度握っているって話は、前回の「ほんやく後記第13回」で記したんだけど、(時空の歪みで16回の次に13回が来てる)

ここでルシファーはジャッジメントを名前ではなく、自分が任命したであろう「最高検事総長」と呼んでいます。これは。ルシファーは自分の話にジャッジメント引き込むために、あえて役職名で呼んでいるものと推測されます。

地獄における権力構造の全容は明らかになっていませんが、本編を振り返ると、最高検事総長はCEO(女王)の意向を無視し、Helltakerにアクションゲームの試練を与える程度の独立性を発揮しました。(セリフでも "NO AUTHORITY STANDS ABOVE PUNISHMENT!" 直訳すると「懲罰はいかなる権力にも止められない!」って感じ、反旗を翻しているネ。)

そのため、マジメに司法の長の役割を果たそうとするジャッジメントは、行政の長であるルシファーと距離をとろうとしています。三権は分立し、それぞれ独立したものでなければならないからです。そこをルシファーは逆手に取り、ジャッジメントの役職・使命を認めることで自分を無視させないようにしたのですね。(そこまで考えてないかもしれないけど)

ちなみに返事は個人名、あくまでこれは一個人同士の会話であるとジャッジメントは強調したのでしょう。政治だなぁ。(そこまで考えて以下略)

我々に意見の相違があるのは事実だが……
稀有にも本件は利害が一致すると思ってな

この提案には諸手を上げて賛同してもらえるはずだ

大体直訳ですが、言い回しはちょっと迂遠ぎみです。ジャッジメントの返事を引き出すために、あえて長々と前置きしています。

司法権の独立をお忘れなく<br>蛇(ルビ: ルシファー)さん
本題に入られては?

原文では"I'll be the judge of that, " 直訳すると「判断するのは自分です」となるけど、イマイチjudgeにかけられないので「司法~」と意訳しました。本編にも登場した表現ですね。(わしの訳で「司法は権力者の圧力に屈しない!」ってしたところだ)

その後の「蛇」は、旧約聖書に記される楽園追放の「蛇」を指しています。これはアダムとイブをたぶらかし蛇の正体はルシファーだという説に基づいています。ジャッジメントをたぶらかしていることを揶揄してるんですね。
また、話が蛇のように長く、要領を得ない(から早く本題に入れ)ととることもできます。ダブルミーニングやろなぁ。

連続上映会がご近所の映画館で執り行われる
ただ動物が可愛いだけの映画だ<br>6時間を棒に振ることになるだろうな

やや仰々しい言い方だけど、要するに「一緒に映画見に行かない?」ってだけです。後で気づいたけど、後半の映画の内容、"talking animals"だから「喋る動物」じゃん……いつか修正します。たぶん今後のエピソードに絡まないとは思うけど……(まったくないといい切れないのが怖いっすね)

チケット3枚<br>あと一番いいワインを<br>開けてくれ

「ワインをくれ」でもいいけど、「開けて」にするとなんかオトナっぽいすね。良い映画でも酒は美味いし、どうしようもない映画でも酒は進むからオススメです。

よーしこれで訳ができた。あとは文字入れしよう

3. 愛は玄関から

こうして顔が近い悪魔たちの私家日本語訳ができました。こうしてコマを並べると、ルシファーはジャッジメントの右から入り、左から顔を近づけているんですね。背後で存在感をアピールし、ある種の圧迫感を与えていたのだなと見て取れます。さすがだなぁ。

と言うわけで今回も前回の予想を斜め上で裏切り、思わぬキャラ同士の絡みを見せてもらいました。果たして次回はどうなるのでしょうか?悪魔たちから目が離せないぞ!それではわしは作業に戻ります。Bye!

ほんやくに必要なあれこれの原資になります。よろしくネ