アルタナ解放軍侵略における長谷川泰三の必然性について

銀魂の重大なネタバレを含みます。

銀魂の主軸は万代屋の物語で、背景として村塾および攘夷戦争が存在します。長谷川泰三は村塾や攘夷戦争には全く関わりのない、完全にかぶき町の1住人です。にもかかわらず、宇宙大戦では将軍や攘夷志士に混じって宇宙に飛び立ちます。

なぜ天鳥船に長谷川泰三がいなければならなかったのか。

村塾も攘夷戦争も将軍の終わりも全て前時代の戦いの物語だからです。
銀魂のなかでは村塾も攘夷戦争も将軍も完全な善としては描かれていません。どこかに綻びがあり、いずれ崩れてしまう運命です。天人はとうの昔に地球を侵略し、宇宙大戦では鳥船は地球にまっしぐら。転がり出した時代の流れは前時代の戦いを持ってしても止められない。

そこで絶望の最後の番人長谷川泰三がぶち上げた新時代の戦い方が、パスポートの安売り。つまり地球も侵略者である天人も全て救うという宣言です。

地球を守るだけでは新時代では生きていけない。敵とも共生し手を組んで最善を尽くし続けるしかない。己の魂を拠り所にして。

この役目を果たせるのは死に向かってきた高杉ではなく、絶望の淵に立っても希望を捨てなかった長谷川泰三なんですよね。

銀ノ魂篇の始まりは長谷川泰三がかき集めた人々の希望。あれほど二転三転とドラマチックに自販機の下の小銭を拾うシーンを描けるなんてsrc先生やっぱり神です。クソ渋いです。

これは万代屋や攘夷戦争というよりはsrc先生が銀魂という作品で提示したいクソでかい夢と浪漫なんだなと思います。

だから高杉の救済として2年後篇が生まれた。銀魂の物語としては2年前で終わっているとsrc神はおっしゃっています。長谷川泰三の役割も本当は2年前に終わったんですよね。長谷川さんが英雄→無職になったのは、侍の象徴としての長谷川泰三ではなく、1キャラクターとしての長谷川泰三に戻したかったのかもしれません。

でも最終回ではギャグとメタファーとして使われてしまったので、長谷川泰三はやっぱり銀魂の中では禁断の果実だなと思います。

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