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写真批評 サシイロ 4 〜コラージュという手法

皆さんは、コラージュアプリを使ったことはあるだろうか。インスタ栄えを意識して様々な写真加工アプリが出ているが、それらはだいたいが写真を可愛くデコレーションするもので、あくまでも元々の写真の原型からは離れない。つまり、芸術作品にまで昇華させるものではないのである。

そもそもコラージュとは、Wikipediaから引用すると、芸術的な創作技法の1つで、フランス語の糊付けを意味する単語が語源だという。異なる素材を組み合わせることで絵画のような造形作品を作ることが「コラージュ」である。
このコラージュという手法で芸術的作品を創作した方がいる。冒頭と以下の作品は、岡上淑子さんの作品だ。

岡上さんは文化服装学院の出身で、様々な雑誌の写真を切り抜き、コラージュにより全く新しい世界観を作り出した。
岡上さんの作品は基本的にはモノクロであり、それが作品を構成する各素材の原型の余計な要素を削ぎ落とし、一種のシュルレアリスムを形成しているといえる。

シュルレアリスムの解釈は様々で難しいが、岡上さんの作品からは、女性の立ち位置に関してユーモアを交えて皮肉を込め、社会に対して問題提起をする姿勢がうかがえるように思うのは私だけだろうか。ユーモアを感じ取れるのは、おそらく岡上さんの人柄がコラージュ作品に表れた結果だと思う。

さて、我々はアプリという新しいツールを得たわけだが、このツールを使いこなして、芸術作品と呼ぶにふさわしいコラージュによる作家は生まれるのだろうか。
写真を素材として使い、独自の世界観を創り出す。そのためにはまず、自分の主張を持つことが必要だ。ネット社会でもどんな社会であっても、これは創作の基本である。
新しいツールを使いつつも、一方ではネット社会の情報に流されず、自分の主張を持つ。新時代の作家には、バランス感覚が求められている。

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