いつでも何度でもあきらめない/梅崎司(湘南)
【画像①J'sGoal②浦和レッズ公式twitter③2006年大分トリニータ公式イヤーブックより】
『もったいない。梅崎司、おまえを復活させたい。』
在籍10年を迎え、ベテランと呼ばれる年齢になった。
大きな怪我を何度もした。その間にも最激戦区のポジションには才能溢れる若手が毎年のように加入してくる。
『チームのために自分を押し殺し、プレーする。それが今の自分の役目』
そう言い聞かせてきた。
しかしその一方で『このままじゃダメだ、勝負したい。』
2つの思いに揺れ続けていた。
目の前の湘南ベルマーレの監督チョウ・キジェの熱い目には全てが映っていた。
長髪を振り乱し、白いユニフォームの背番号7“前薗真聖”
ダンスのような華麗なドリブルで相手を嘲笑うかのようにかわし、少年の心を虜にした。
これこそがまさにJリーグだった。
子どもの頃から小柄だった。大きな相手に勝つための道は1つ
何度でも何度でも縦に勝負を仕掛ける。
強豪とは言えない長崎のクラブからトリニータユースを受験した。
合格を掴み取ったが、これは初めの一歩
ハードな全体練習の後も黙々と牙を研ぎ続けた。
”縦に仕掛けて仕留める”
成長と戸惑いを繰り返した高校生活。
トップチームへの昇格が見えてきた3年の秋、大きな舞台が巡ってきた。
天皇杯
勝ち進めばJ2相手とはいえトップチームとの真剣勝負、否が応でも気持ちは高ぶった。
年上の大学生、社会人相手にもゴールを決め、迎えた3回戦横浜FC戦。
背番号7は頭に包帯を巻いたままピッチに立った。
1週間前のサテライトの試合でプロ相手に交錯し、流血し途中交代していた。
そんなことを感じさせずピッチでは岩のように屈強な外国人、歴戦のベテラン、J2からステップアップを狙う若手に恐れることなく勝負をしかけた。
仕掛けてチャンスを演出したが、跳ね返され健闘空しく敗れた。
『J2相手でこれじゃトップじゃ通用しない。』
悔しさを胸に押し込み、サポーターに挨拶に向かった。
横浜サポーターからも賞賛の声が届いた。
ゴール裏でキャプテンの号令で挨拶をした。
『梅崎、お前、お前が一番よかったぞ。何度も仕掛けるけんアイツら怖がってたぞ。来年も頼むぞ。』
会ったことない人たちが口ぐちに褒めてくれてる。
結果じゃない、自分の武器を、気持ちを…
結果は悔しい…だけど、挑み続けてよかった。
涙が溢れて止まらなかった。
その後の活躍は広く知られるところである。
プロ2年目のシーズン途中にはフル代表選出、デビューを果たした。
怪我の影響で代表と縁は遠かったが、10年間強豪浦和レッズの左サイドの一翼を担った。
そして迎えた2018年、初めて袖を通したライトグリーンのユニフォーム
チームで年齢は上から数えて4番目という若いチームを結果で背中で牽引した。
リーグ戦13位
天皇杯4回戦敗退
決して、満足できる結果ではない。
そんな中でもルヴァンカップを勝ち取り、湘南に24年ぶりのタイトルをもたらした。
リーグ戦では残留を大きく手繰り寄せるゴールを決めた。
相手は古巣・浦和
GKは大分ユースからの盟友、西川周作
いつも前を歩んでた周作
前半20分縦に抜けだすと一気に加速した
ディフェンスは猛スピードで追ってくる
外か……
一瞬で内にコースを取った
右足を軽く振りぬいた。
ボールは周作の手に触れるもネットを揺らした。
左手でエンブレムを掴んだまま、2度3度ガッツポーズをした。
人差し指を立て、自分を指さした
『どうだ、これが湘南の梅崎司だ』
そうかつての仲間たちへ言っているようだった。
仲間たちとの歓喜の輪が解けると大きく深呼吸をし、力強く両拳を握った。
『あきらめない、俺は俺のままでまだいける。』
2019年、更なる挑戦を誓ったシーズンは32歳にしてチーム最年長である。
リーグ戦は昨年より上の10位だが目指すところには遠い
連覇を誓ったルヴァンカップは早々と夢破れた。
天皇杯は格下相手に苦杯を舐めた。
今、チームは揺れている。
怪我でチームを離れていた期間もあったが怪我も癒えた。
ここからだ、ついてこい。
いつでもどんな時何度でもあきらめない、俺は勝負する、それが俺だから。
そしてそれが湘南だろ
梅崎 司
果敢なアタッカーの挑戦はまだ道半ば
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