寿司の出ない寿司屋と庭の池
寿司屋に入る。
町寿司である。
一階はカウンターである。
店内には数人の客。
二階に案内される。
テーブルがある。
ランチで訪れたと思われる男性二人と女性と一緒のテーブルに案内された。店主がウニの軍艦の用意をして、自分の前にドンとセットを置いた。しかし、握らない。それからしばらくして、店員の女性がお茶を運んできた。客の男性と少し話をした。相模原のラーメン屋の映像が流れている。
「あの駅は好きじゃないんですよ」と彼がいう。
「そうなんですか。何故ですか」と尋ねる。
映像は駅前のテラスの映像である。
駅と繋がっている2階の位置にあるテラスである。
そこを人々が歩いている。
寿司はいつになっても出てこない。
時計を見ると二時を回っていた。
そろそろ帰らないといけないな、と思った。
店員の女性が店主の様子を見に行った。
隣の女性に手を握られた。
知らない人だったはずだがどこかで会ったことがあっただろうか。
彼女の手はゆっくりと手のひらに触れ、そして手を軽く握られた。
しばらくそうしていた。
彼女の横顔を見た。
やはり知らない女である。
30代だろうか。
母が庭でスコップで穴を掘っている。
昔、そこには池があった。
直径8メートルくらいの小さな池である。
母が呼ぶので行ってみると穴の下は池が残っており、鯉が泳いでいる。しばらくすると、あたりに水が溢れてきた。
母に急速に水が溢れているから戻るように言った。
スクールをやるのがいいのではないか、そう思った。
そして今日は寿司は食べないようにしよう、と思った。
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