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残雪期の剱岳のガイディング(長次郎谷~本峰~平蔵谷)

今年の春の積雪はかなり少なかった。
季節が半月~1カ月早く推移している感じがする。

初日は雷鳥沢の登りを450mほど。
高度馴化を意識しながらゆっくり登る。
にしても、暑い!
夏山並みだ!!

剣御前小屋に到着した後、別山北峰まで行って剱岳とご対面。
やっぱでかい!
お客様が吸い込まれそうだ!

撮影も大好きなお客様。
早起きして撮られた写真がこの天の川!
これまたスゴい!!

さて、谷のルートは早朝出発が必定。
御前から長次郎谷出合まで標高差1000m一気に下げますよ!(焦らずイーブンペースで、先は長い。)

で、今度は長次郎谷を一気に1000m登り返す!
この剱岳が要求してくるのは、一に体力!、二に体力!!
側壁からのブロック崩壊、落石などのリスクへの警戒は常に持ち続けて。

長次郎谷上部の『円形劇場』に日が当たる。
この時期だけの清々しい光景。
『岩と雪の殿堂』というフレーズは、残雪期のここら辺りの景色のことを見て付けられたんじゃないかと思う・・・。

日が射す八ツ峰方面に向けてシャッターを切るお客様。
良い笑顔してます!

長次郎上部ではさすがにペースが落ちてくる。
加えて、雪面が古いデブリ跡と昨日来の高温でかなり緩く、すねまで潜り始めた。
かなりの時間ロス。

長次郎のコルまでなんとかがんばって到達すると、そこからはグサグサの軟雪を繋いで本峰へ。

残雪の八ツ峰をバックに写真を撮ると、誰でも名カメラマンになれます(笑)

残雪期・剱岳の頂上に到着!
お客さまと登頂を喜びあうが、全ての気を緩めてはいけません。
「下りが本番」

下降はこれもこの時期だけ、通称「エビルンゼ」を。
富山市のお寿司の名店「えび寿司」好きとしては、ここを通るのが使命みたいなもんです。

平蔵谷に到着。
少し日が昇りすぎている。下降を急ごう。

周囲の側壁を警戒しながら下っていくと、下から単独行者が上がってきた。
率直に言って、この時期の剱の谷をこの時間に登って来るのは遅すぎるだろう。
「ラクに下りれるのはどのルートになりますかね?」
と聞いてくるその登山者に対し、もっと雪のリスクに関して考えたほうが良い旨伝えたが、最後まで要領を得ない感じだった。

無事に平蔵谷出合について安堵。さあ、あとは疲れた身体にムチ打って、御前まで一歩一歩帰ろう・・・。

(山岳ガイド 香川浩士)

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