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電気分解 その1

 自発的でない酸化還元反応を、電気エネルギーを利用して進ませることを電気分解といいます。

 電気分解をするときは、電解液や融解した塩のように自由に動けるイオンを多く含んだ状態にします。そして、金属や炭素(黒鉛)の極板を入れて、電池などの直流電源につなぎます。

 このとき、電源の負極につないだ極板を陰極といいます。電源からマイナスの電荷をもつ電子e-が流れこみ、電位が低くなっています。正極につないだ極板は陽極といいます。電源に電子e-が奪われて電位が高くなっています。

 陰極では流れこんできた電子e-による還元反応が、陽極では失った電子e-が吸い出されて酸化反応が起こります。

  

陰極で起こる還元反応

 陰極では、外部電源から流れ込んだ電子e-を用いて、還元されやすいものが電子を受け取り、還元反応が起こります。

①    陰極付近にCu2+やAg+などのイオン化傾向が小さい金属の陽イオンがあると、これらが還元されて金属が析出します。

            Cu2++2e-→Cu

            Ag++e-→Ag

②    次に、陰極付近にLi+やCa2+、Na+、Mg2+、Al3+などのイオン化傾向の大きい金属の陽イオンしかない場合を考えてみます。これらのイオンは還元されにくいので、水溶液の電気分解では金属は析出しません。このとき、溶液の水H2Oが還元され、水素H2が発生します。酸性水溶液では水素イオンH+が還元されます。

(中性、塩基性) 2H2O+2e-→H2+2OH-

(酸性)      2H++2e-→H2

③    Hよりイオン化傾向の大きな陽イオンが還元されて、単体になるとき。

陽極で起こる酸化反応

陽極では、電子e-が外部電源へ流れ出します。酸化されやすいものが電子を失って反応します。

①    電極に銅Cuや銀Agなどのイオン化傾向の大きな金属が使われているときは、電極が酸化されます。

Cu→Cu2++2e-

Ag→Ag++e-

②    金Auや白金Pt、炭素Cなどの電極のときは、溶液中の陰イオンなどが酸化されます。

(ⅰ) まず、酸化されやすいCl-、Br-、I-などのハロゲン化物イオンが存在すると、これらが酸化されてハロゲンの単体が生じます。

2Cl-→Cl2+2e-

2I-→I2+2e-

(ⅱ) 次に、硫酸イオンSO42-や硝酸イオンNO3-など、酸化されにくいものしかないときは、水溶液では水H2Oが酸化され、酸素O2が発生します。

(中性、塩基性) 2H2O→O2+4H++4e-

(酸性)      4OH-→O2+2H2O+4e-

 

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