ホモサピエンス再考:米国編
国の成り立ちから判断すれば、米国民の大部分は先住民を除いて移民としてやってきた者達であり、そこから増加してきた人達である。遺伝子系統で特徴を掴むことはほぼ不可能であろうと考える。嘗て、「人種の坩堝」と言われていたが、実際に融合(遺伝子的なものとして)がどの程度進んでいるのかは見た目では分からない。それよりは、中南米の事情も重なり「ヒスパニック」が増加してきていること、ここにきて移民の出自が全世界に及び特に近年は西海岸側にアジア系が増加していること。更に中東との関りからそこからの移民も増加している。「人間社会の縮図」の様相に、今の米国は変化してきていると捉えられる。
米国についてはここまで色々と記述してきた。少し違う観点から米国の今を評価してみる。米国と中共(支那)を俎上において比較してみる。莫大な資産と権力を持つ少数の集団とそれに「差配又は支配」される圧倒的な多数の集団というもので構成される「公式でない構造」が、「差配又は支配」の仕方(*1)が異なるが、「近代国民国家(米国)」と「全体主義独裁国家擬き(中共)」の双方に似て非なる形で存在すると考えることができる。米国においては、所謂ディープステート(以後DSと表記する)と呼ばれるが一枚岩のものではなく、其々の動き方は其々に独自であり自己保存(世襲が常態か)の永続を図るのは共通しているようだ。中共(支那)においては、中共の成立時に幹部であった人物達の宗族(世襲的である)及びそれに連なる利権集団となる各勢力がいる。中共内で熾烈な権力闘争を繰り広げてもいる。
*1::米国は近代国民国家であり独裁的強権的に「差配」する訳にはゆかない。金融経済において「情報化と知識化」で異様に信用価値を膨らませ占有する仕組みを形成し、それを以て影響力を政治他の世界へ行使する。また、GAFAやメディア(情報化と知識化を道具立てに)で情報操作や「洗脳」方式で、「差配」されていない様に仕掛けて「差配」してゆく。GAFAやメディアによる方向付けである。本来の米国の建国精神とは相容れない風潮が蔓延しているようである。中共では、同じく「情報化と知識化」で此方はその体質と在り様から独裁的に強権的に支配してゆく。人民にランク付けを行い、人民のを社会生活まで管理するという方式である。中共が人民から統治者としての信認を保持できているのは、経済成長があり「食えている」という状況が一方であることである。翻って日本の状況はどうであろうか。考えてみる必要はある。言えることは、その出自もあり「差配と支配」を強く浴する者達は出にくいということである。特に、明治維新以降に「武士教育(文武両方で特に軍学を教える)」に因むものがなくなっている為か、更には官僚機構が「居座る」状態が続き「日本的なるもの」が真に生かされる環境がそこにはない為に、政治的には愚純な人物達が蔓延る様相で「戦略的」な動きが出来ないというものであろう。真に「日本的なるもの」を体現し戦略的に行動できる人物が政治に向かうのを支援することが必要であろう。
詰り、米国と中共(支那)は似て非なる「状況」にあると捉えることができる。故に、中共の影響力をこれまで受け易い事態を招いていたと言える。その状態の米国に「覚醒」が始まったといえる。それを「代表する人物」がDJT氏である。
混迷を深める米国でDJT大統領が誕生する。ここから米国の状況が少しづつ変化してゆく。中共の影響力の行使に覚醒を始めた議員達により米議会では反中共の勢いが増してゆく。必要な立法措置を行ってゆく。方や、DJT政権は貿易交渉(関税で対応)を主体に中共に対峙してゆく。DJT氏は「キッシンジャー氏」を排除していることより、ニクソン政権が始めた政策の間違いを正すことに行動が向けられるのは必然である。日本の安倍首相が進める「インド太平洋戦略」がDJT政権でも認められて着実に推進されてゆく。DJT政権の後半期では、RWT氏から交代したMRP国務長官による「中共に対する適切な認識を基にした毅然とした政策」により「中共孤立化」の醸成作業が先進国を巻き込んで行われてゆく。その際に中共の周辺地域への「人権侵害」行為を取り上げ後戻りできない状況に追い込んでゆくことが確り行われている。その反動が2020年大統領選挙で民主党及び共和党の一部にから生じることになる。反DJT氏の立場のDSと中共側からメディア他を利用した露骨な介入で、大統領選挙における不思議な影響力の行使により、DJT氏は大統領職を止む無く退いた。大統領選挙の過程でかなり異様な状態を示していたがDJT氏側が採ったものは「負けて勝つ」の戦略であったと想定する。米国の威信を更に傷付ける「混乱と分断」を齎さない為のものであるが、劣化し自分のことしか見えなくなっているDSやその同調勢力には通じる訳もなく、米国の状況は未だ改善の兆しは明確には見えてこない。米国の「危機」は続いている。
現在、DJT氏側が進めているのは「大統領選挙で疑惑の有る所の検証」である。選挙制度の透明性を高めるためのものでDJT氏が復活するという意味合いのものではない。反DJT氏勢力は「必死で状況を糊塗することと選挙制度の改悪を目論んでいる」ようである。次の中間選挙を目標に双方とも動いてきているのは明白である。現在の動きは民主党側の動きの異様さを「際立たせる」ような対応と考えられる。詰り、状況に好転の兆しはあるがDJT氏側が未だ「劣勢」にあると認識される。
DSの立場を忖度すれば次のように解釈できるのではないか。ここまで金融経済と中共を使い自分の立場を強化してきた。この結果、人間社会に大きな「不均衡」を作り出したことは認識している。このままでは人々より自らに「敵意の目」が向けられる。しかし、ベトナム戦争時の「失敗」に際して見つけた方策(中共という駒)は今回は他には見付けられない。本音を隠そうとしない中共には嫌気がさしているが直ぐには関係を解消できない。現状維持を当面続けるしかないというものであろう。
米国内の「共産主義的なるもの」が、かねてから浸透してきてその「成果」が今出始めているのであろう。これがDSの駒かどうかは判別できない。米ソ冷戦時代からの共産主義勢力の影響力の行使の残滓かもしれない。例えば公民権運動から大分に変質した「黒人問題(BLM)」や弱者ビジネスに繋がるポリティカル・コレクトネスの動向である。その他にも色々な分野に蔓延る左翼イデオロギーの「氾濫」がある。こちらには、誰とは言わないが明らかに特定される人物(〇ロスとか)が背景にいるようだ。米国社会の危機的状況は深く進行している。その原因の主たるものは「アメリカンドリーム」が変質した「ウィナーテイクオール(勝者総取り)」にあるのは明確であろう。実体価値を生み出さないものへの執着や謙虚さを欠いた在り様は、やはり人間社会に「危機」を齎す。つまり、好ましくない人間関係を齎し社会の雰囲気に荒んだものを出現させる。DSや中共が、それらと対照的な様相を見せるDJT氏を「各種道具」を使い攻撃するのは必然であろう。然るにその効力は段々衰えてきているように思える。黒人層にも覚醒した保守的人物達が出現している。「共産主義的なもの」から逃げてきたヒスパニック勢力もDJT氏側に靡いているようである。次は、DJT氏に7000万票強を投票した米国国民の動きであろう。
米国の国防省で特に制服組は、G7各国と共同で対中共(人民解放軍)との対峙を第一優先においているようである。人間社会でも先進国から対中共への覚醒が始まっていることは、最近の動向で認識できる。先ず、安全保障の担保として此処が揺らぐのが最も好ましくないので、現状は「良し」とする状況にある。日本の自衛隊及び安全保障に関わる者達が鋭意努力しているのが、その性格上で「公然化」はしていないが、動きの端々を繋げればその方向がみえてくる。国民もここは認識しておく必要がある。
課題は「経済」である。米国は明確に「デカップリング」に動いている。特に「情報化と知識化」の先端分野からである。然るに一度手放したものを再構築するのは「状況が進んでいる(生産技術と雖も進化する)」ことより簡単なことではない。このことは日本にも言えることである。単純な移行ではなく「次世代」を見据えた動き方をする必要があることは言うまでもない。
捕捉:状況に国民も「脊髄反射」をするのではなく、確り動向を押えた反応を行い、国内関係者を励ます方向で対処することである。親中派はここにきて大きく「炙り出され」てきている。その情報を共有して妙な動きがないか確り其々の分野に蓄積のある者達が「監視」してゆくことであろう。
特に、最近になって「温暖化」から「気候問題」と用語を変え二酸化炭素(有毒物質ではなく大気圏における比重も微々たるもので生態系で循環している)を俎上に妙な「枠組み」を提唱し、自分だけ擦り抜けようとする中共を批判しない動きに要注意であるといえる。技術発展はその方向にあるが、作為的なものを持ち込む「共産主義的なるもの」の動きには、警戒を怠らないことである。JRB政権の気候変動問題担当のJFK氏の動きも要注意である。
捕捉:日本企業は、恐らく妙な目標を立てずともかなりの水準で実現可能であろう。課題の大半は、米国をはじめこれまでディーゼル他の技術で達成できなかった「実績」のある欧米勢であり、ただ乗りするどころか技術と資金を掠め取ろうという中共であろう。日本のメディアの劣化が酷い為に実情を的確に認識できないのは致し方ないが国民は情報リテラシーを向上する必要がある。日本の現政権は「お先棒を担いでいる」面は否めない。お粗末な担当大臣と環境省には監視が必要である。
DJT氏の「MAGA」運動は先ずは社会の在り様に向かっているようであり、米国の建国精神である憲法の重視とその共有を目指しているのであろう。経済系については、具米国へ「戻す」というのはハッキリしているが、具体的で明確なものは未だない。米国は前にも述べたとおり「一国で完結できる」程の国である。どの水準で実現しようとしているのか、その動向を理解する必要がある。同時に、建国からの未だ短い歴史でありその特異な形態である合衆国の「本格的な危機(発展途上であった南北戦争とは趣を異にする)」に瀕しているという認識が必要であろう。今回の対処の如何では、同国の歴史が続く限りにおいて「経験知」としての事例になるのではないか。
JRB政権が対外的に、第一優先順位に中共を位置付けているのは理解できる。DJT政権からの引継ぎが完全ではないもののほぼ沿っていると理解できる。但し、JRB政権の構成要人の動きは「統率」が採れていない傾向が垣間見える。AJB国務長官の動きとKMC(カート・キャンベル)「インド太平洋調整官」の動きである。更に、大分にDJT政権の政策と違えるのはイラン等の中東関連であろう。対支那を睨み背後のイランという観点もあろうが、イラン自身の行く末の方向性が掴めない。宗教原理派と世俗派の二大勢力があるようであり、この結末が予測できない段階である。しかも、妙に欧米に張り合おうとしている様相は明らかであるが、何がそうさせているのか。第三者には不思議な様相である。地道に近代化を行い国民に豊かな生活を実現することのほうがより重要と思うが、そこに宗教原理が絡んで何か妙に拗らせているようである。米国の対応に関しては、DJT政権の政策が「適切」と考えるが、JRB政権は対イランで対応で「読み違い」があるような印象を受ける。イランには近代化を目指した「パーレビ朝」を倒した宗教改革と逆の対応が必要であり、本来の近代化に戻るのが筋で、これを促す政策が必要である。
もう一つの「相変わらず軍事偏重大国」ロシアである。いつまでVP(ウラジミール・プーチン)が主役であるのか。やはり、近代国民国家の経験がないところでは、その域に近づくためには相当の時間が掛かるとういうことか。ユーラシア大陸の北部の狩猟民族や高原地帯の遊牧民族は、「南の文明(農耕主体)」地域を侵略する傾向が強かった。現在は、科学技術が発達してきたのであるから、自国を豊かにする方向へ進むのが妥当ではないか。結局は、ロシア国民は「ソ連共産主義」が払拭できていないのであろう。自律性が希薄なように感じられる。近代性の理解から始めなければならないようである。JRB政権はウクライナとの絡みがあり対ロシア「強硬姿勢」のようだが、イランと同様に「近代化」を目指す方向へ促す方策を採ることが肝要であろう。
ここからは地球を俯瞰してみれば、ユーラシア大陸の大陸勢力を取り囲む形で、近代国民国家(海洋勢力)が対峙する「大きな構図」になるかと想定する。ここまで一極覇権を担ってきたが米国の状態を鑑みるにつけ、人間社会に「覇権」は要らないであろうと考える。ここは、やはり同型でそれなりの影響力を有する日英(英連邦)の果たす役割が大きいように思える。御本尊(部外者は軽々に語るべきではない。そこには継続する積年の知恵の蓄積がある)が揺らいでいるが、それでも明確に守るべきものがあり安定性に優れている両国が、自国を再確認し近代国家の何たるかを人間社会に示す気概と長い歴史に裏打ちされた矜持を持つことが必要なのだと考える。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?