露西亜:プーチンは何を実現したいのか:2022/02/26
露西亜:プーチンは何を実現したいのか:2022/02/26
露西亜のプーチン大統領がウクライナ侵攻(侵略)を始めた。21世紀に入っており、そうした行為は人間社会から決して好意的には受け取られることはないのだが彼は踏み切った。何故そうした行為に踏み切ったのかである。個々の事象は報道されるであろうが、背景的なものも含めて全体的像が明確になるような報道はなされないであろう。
中共ウイルスを生物化学兵器と見立てれば、人間社会に拡大させた時の習近平と同型の立場にあると見ることもできる。習近平の動機は、今以て明確には捉えられていない。これまでの支那(中共)の動静より判断するしかない。習近平は、当初は事態を掌握していることより自己に有利に状況を作用させることができたが、次第に状況は自己の管理能力を超えて「逆転」してゆくことになる。ここまでの人間社会の動きがそれを示している。動きは鈍いが再発防止のために、起源とパンデミックの経緯の解明が残されている。このことは、プーチンの今後を「暗示」していると考えることもできる。
今回のプーチンの動機は何か、更には達成目標が何か探索する必要があろう。そうして初めて、人間社会において再発防止の対応の可能性を見出すことができるであろう。然し、プーチンに対する米国と同盟国側は彼の行為を阻止できなかった。このことを先ず認識する必要があろう。一方で、紛争の拡大を防ぐ当面の策も的確迅速に実施してゆかなければならない。米国のインテリジェンスは機能しているようであるから「全体像」も理解しているようである。然りながら、米国のインテリジェンスの機能水準とは別の「在り様」に問題を孕んでいるようでもある。米国の同盟国側で「共有」して其々が国を挙げて協同対応が出来るかどうか今一つ確かではないであろう。
それにしても日本のインテリジェンス機能のお粗末さを今更ながら実感するし、本物の政治家が極少ないことが現政権の「お粗末さ」に繋がり、日本の今後に響いてくるであろう。国民は政治家を評価して適切な新陳代謝を図ってゆかなければ、招来に希望が見出せない現実が増々明かになってきた。
プーチンの動機の推測
予測されていた事とは言え実際に実行されたことから、プーチンには彼なりの意図があるのであろう。それを探索してみる。
前提:プーチン(とその仲間勢力)の立場として
エリツィン以降の露西亜において、プーチンの政権が継続している。これまで彼は政権維持の障害になる政敵を先進諸国では許容できない手法で「始末」してきている。最近は「終身大統領」の立ち位置を作り出しそこに就いている。露西亜においては、彼はほぼ「超法規的存在」の域にあると言えるのではないか。政権をかなりの期間に亘り掌握しているが、当初こそ成果(ソ連崩壊の混乱で火事場泥棒を行ったオルガルヒ勢力を潰し全体的な経済の安定化と拡大を実現)を出していた。今は、「近代化」を推進せずソ連共産党時代と見紛う権威主義的な様相の官僚機構を温存し統治して、民の活力を生かす在り様を推進していない。結果的に、化石資源ビジネスに特化した経済体質になり利権構造の創出に繋がっている。恐らくここからプーチンは富の回収を行っているであろう。露西亜経済には停滞感があり国民の信頼度は低下しているであろう。こうした国情を形成したが、この先さらに継続するためには「現状の儘」では明らかに無理があると判断しているのではないか。然し乍らプーチンの性格より経済の本格的な改革には向かわず、彼自身は年齢的にこの先それ程長くないが、彼を支えてきた勢力(露西亜版軍産複合体か又は露西亜版DSか又は資源利権のオルガルヒか又はそれら全てか)には、プーチンを引き継ぐと思われる人物が出現しておらず、現状ではプーチンが獲得した「権力や利権を引き継ぐ」ことが出来ないと判断していると推察する。人間社会での現在の露西亜の存在感(低下する一方)も含めて露西亜内外における現実と認識の「リセット」を行い、新たに主導権が取れる自己都合の「秩序」を露西亜内だけでなく人間社会に確立したいと考えているのではないか。この方向は「独裁者」の考えそうなものであろう。
現在の露西亜の強みは、旧ソ連から維持してきている軍需産業による武器ビジネスであり、天然ガスや石油の化石資源ビジネスである。然るに、民生主体の露西亜経済の規模が示すようにその国力は決して大きいものではなく先進諸国と比較して相対的にかなり劣後している。現状の儘では民生技術の発展(軍事に比して著しく劣っているし民生への展開力がほぼ無い)は望めず、逆に先進国の進歩に比して弱体化し劣化してゆく傾向にあると言える。露西亜は旧ソ連からの後裔であり西欧近代科学技術文明圏に属している。支那(中共)のような露骨な対処(先進諸国から資本と技術の窃取)は精神文化より出来ない。既に生じているように人間社会での露西亜の影響力の低下に繋がり、このままでは支那(中共)の後塵を拝することにならざるを得ない。それは歴史的にも地政学的にも、露西亜には受容できないものであろうと理解する。実際に、ユーラシア大陸の東側では支那人の露西亜への浸透度は大きく成ってきており、清朝からもぎ取った沿海州地域等を逆に実質的に取り返される危機性が生じてきているであろう。日本との関係も安倍政権で可能性は高まったが、結局露西亜であり上手くはゆかず、日本も必要以上の譲歩はしない。
米ソ冷戦時より、民生技術(例えばEV)の向上に関しても露西亜は「蚊帳の外」であり、化石燃料ビジネスだけではこの先に露西亜の招来性は無い。宇宙関連技術も武器技術も民生技術の軍事利用という逆転現象も出現しており、露西亜の現状の儘では飛躍する目途が今のところ立たない。また、現状の在り様ではそうしたものを生み出す力は衰えてゆく一方でもある。
現在の人間社会(欧米日主体に)から露西亜をみて:
米国の一極覇権を錯誤して、グローバリスト達(国際金融資本、特定政治家、特定資産家、DS等)が跋扈して「金融経済にシフト」することで、人間社会の動的平衡に危機を齎す「不均衡(各国間や各国内において)」を生じさせてきた。特に、支那(中共)の幹部宗族(歴史的な様相でもあるマフィア的行動様式)による露骨な権力の集中とそれを背景の富の収奪を許した。欧米日側は、彼らを利用するはずであったが実際は利用されていたという「本末転倒」を起こしていた。結果的に、支那(中共)が「本性(華為秩序を人間社会に布く)」を現す域に至る。そのことは習近平が出現し「中華覇権」を唱え始めていることに現れている。近時に、中共ウイルス禍(パンデミック)を起こしても平然と他国に責任転嫁してきており、人間社会にとって厄介な存在に成りつつある。
露西亜は、ソ連崩壊の後継国であり国内の混乱を収めるのに時間を要した。露西亜は歴史的経緯により西欧近代科学技術文明圏に属しているが、欧州の東側に主要部分が位置して中央アジアより北側に在り、自然環境は「寒冷地」で厳しい環境にある。近代化の敷衍はなされていたが征服王朝(ロマノフ王朝)であり「農奴制」等苛烈な執政がなされてきている。東進南下政策でユーラシア大陸に勢力を広げ広大な国土を要しているが人口はそれ程多くない。東端で支那や日本と接する。支那(中共)が清朝以降で久々に興隆しており、日本も大東亜戦争で敗れたがその後再興してそれなりに国力を要している。これ等の国と国境問題を抱えているがある程度落ち着いている。問題は、緩衝地域である東欧や中央アジアに位置する諸国との関係である。ソ連時代に従属国やソ連邦の構成国であったことによる「問題」を引き摺っていると言える。
プーチンはソ連崩壊の混乱を治めたが、露西亜を近代化させずに旧態依然の「露西亜帝国」を再現しているように見える。彼は、自分自身を「ピョートル大帝」に擬しているのかもしれない。プーチンの資産は莫大なものになっているようで、彼が潰した「オルガルヒ」の上を行く財産規模になっているようだ。露西亜国民の期待を、明らかに裏切っているであろう。日本も以前に樺太地域(露西亜名:サハリン)での経済協力は行ったが、ロシア側に理不尽に接収されている経緯がある。支那(中共)と然程変らない国民性を有していると言えるであろう。露西亜のこうした外国への対処は日本が例外というものではなかろう。故に、中央アジアや東欧の緩衝地域で問題を抱えることになる。オルガルヒやノーメンクラトゥーラ等の跋扈を解消して、正当な普通選挙による正当な政権が出来るようになるまでには未だ時間を必要とするようだ。しかし、その方向へ進んでいないのが露西亜の問題でもある。
今回のプーチンの行為に一部の国民(露西亜)から反対の意思表示もある。早々に強権的に排除しているが、こうした動きをプーチンは予想していたであろうか。ソ連崩壊後から時間経過し欧米日との交流もあり、露西亜国民の民度は上がってきている。プーチンの行為に賛成している国民ばかりではないであろう。
露西亜の権力掌握勢力(資源利権のオルガルヒやエリート官僚系ノーメンクラトゥーラ)と同型の勢力がウクライナ側にも存在しているであろうことは知られている。この勢力がウクライナの今後にどの様な影響を及ぼすのかである。東欧諸国に対する嘗てのソ連による強権的な「支配」の過去の経緯もあり、EUに参加した東欧諸国は比較的健全な近代国民国家へ移行してきている。スラブ圏や中央アジア圏の旧共産諸国が、近代化に向かうような動きはプーチンの描く露西亜とその緩衝地域の在り様からはズレているのではないだろうか。
オバマ政権時代の副大統領であるバイデンとその息子によるウクライナへの「介入」は公然化しており、この過去の動きが今回の米国の動きを「鈍らせている(ウクライナへの派兵を回避する)」原因でもあるであろう。欧米日側にもグローバリスト勢力がおり、この紛争が齎す各種の影響を事前に想定して色々と「細工」をしていることが推察される。今後の事態の推移によっては、背景的なものが公然化してきてロシア・ウクライナ問題をより複雑化してゆくことになるのではないか。
プーチンの侵略は始まったばかりであり、この先を予測することは未だ無理であるが、それでも歴史に学び近時のロシア・ウクライナの事情を具に鑑みれば、それなりのものは見えてこよう。恐らく、現在の侵攻の様相から米国とEUの介入はないものと見て、プーチンはウクライナの首都を確保し傀儡政権を立てて取敢えず戦闘を終らせるというものであろう。その通り行くかどうかはウクライナ側の反抗次第であろう。先述した親露派がどの程度ウクライナを掌握できているかでもあろう。中共ウイルス禍でWHOが全く機能しなかったように、国連&安全保障理事会(露西亜は常任理事国でもある)は機能しない。支那(中共)は一帯一路もあり軍事技術の関連もありウクライナにはかなり資金他を注ぎ込んでいる。しかし、露西亜の手前積極的な動きは出来ないであろう。米国も「死に体バイデン政権」であり、EUも露西亜との関係(天然ガス他の輸入)もあり中途半端な対応に終始するであろう。
人間社会の監視下でプーチンにやれることは限られている。当面の目標が達成されなければ、露西亜内からの反撃が大きくなるであろう。グダグダになっていく可能性は否定できない。人間社会の動向は情勢を観察しながら其々の勢力が自分の立ち位置を当面保持してゆくことになるであろう。大局的には、今年の11月の米国の中間選挙の結果まで待つことになるのではないか。ここで共和党が勝利しDJTの影響力が確定した段階で大局は動き出すと考える。
支那(中共)の習近平が継続できるかどうかも同じ時期に確定する。現実の支那(中共)の動きは習近平が自身を毛沢東レベルへ格上げしたことが災いして「権力闘争」が激化し、内部経済も米国の「反撃」にあい経済合理性を無視したこれまでの在り様が限界を迎えてボロボロ状態である。冬季北京オリンピックも開催されはしたが悪印象を残したものとなり習近平の期待通りには運ばなかったであろう。彼が生き残るのは「台湾併合」に掛かる可能性が非常に大きくなっている。ここからが正念場であろう。米国と日本もこれに対峙しなければならない。BRJ政権や岸田政権では無理であろう。さてどうなるか。今後の人間社会の推移を丁寧に追ってゆくことになる。
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