人間社会と日本:転-09

ー 人間社会と日本:転-09

2021年の年の瀬を迎えて、人間社会は「奇妙な米支対立」に加えて何やら更なる混迷に向かい始めているようである。人間社会における支那(中共)の「台頭(相対的に米国の威信低下)」を見て影響を受けたユーラシア大陸の非近代大国(ロシア勢)とEUに属することが出来ない前近代準大国(トルコ勢)の二国が何やら「蠢き始めている」ようである。ロシアと微妙な関係があるインド(非同盟運動の盟主であった時から旧ソ連との付き合い以来続く関係(特に軍事装備品の導入他での地政学的軍事面での関係)を継続している)の動きにも注目が必要であろう。ユーラシアの大陸性向の各勢力は地続きによる関係で相互干渉が容易であることより「攻撃的性格」が強いようである。ロシアには軍事面での旧ソ連時代からある優位性が未だに生きていることや、経済面での資本の論理の露骨な浸透による格差の拡大等の自由主義経済におけるものと同型の問題の拡大という事象もあり、ユーラシア大陸における旧帝国勢力の流れをくむ者達が人間社会の「力のゆらぎ」の新たな動向に「不確実性」を一層増しつつあると言える。

日本は、こうした人間社会の動向に対して歴史的な独自性や近代国民国家としての立ち位置からどの様な方向をを目指すべきであろうか。日本は、人間社会の動向を確り踏まえて同型の価値観を有する海洋性向の近代国民国家群(英&英連邦と米)と共同して、ここからはユーラシア大陸性向の諸勢力とは一線を画して、複雑な「近代国民国家連合と非近代全体主義国家乱立地域」との複雑な「新冷戦構造」がこの先暫くは続くことを覚悟して対処してゆくことになるであろう。妥当な方向としては、日本は非西欧の立ち位置で近代国民国家連合(戦争抑止:力による秩序の形成(神武))の一翼を担う覚悟と矜持を持つことである。歴史的に長くて深い関係がある日本を「仮想敵扱い」する支那(中共)と朝鮮(北朝鮮&韓国)とは距離を置くことである。此処からは、この観点から人間社会における日本の方向性の具体化を捉えてゆく。

人間社会の歴史的な経緯を踏まえての現在の「政治勢力分布」を再渇しておく。

〇英豪米日(AUKUS+J)
〇支&G(支那(中共)+グローバリスト)
〇EU(EU+東欧(旧共産圏含む))
〇ロシア(ロシア+旧ソ連圏でロシアに靡く周辺国)
〇トルコ(トルコ+中央アジアのトルコ系勢力)
〇イスラムA(イラン+シーア派系勢力)
〇イスラムB(サウジ+スンニ派系勢力)
〇インド
〇東南アジア(仏教系)
〇東南アジア(イスラム系)
〇中南米(カソリック系ラテン気質)
〇アフリカ(サハラ以南)

近代国民国家連合は、先ず英豪米日(AUKUS+J)が核となるであろう。今は左傾化が著しい加と新が現在の人間社会の情勢において再度「覚醒変異」して、近代国民国家連合に加わるであろうと想定する。更には、EU(EU+東欧(旧共産圏を含む))が独自性を持ち近代国民国家連合に加わることになるであろう。この観点から現在の「台湾問題」は新冷戦構造の「色分け」の象徴的な試金石になるであろう。台湾そのものが今はまだ「中華民国」を名乗っており、現状は歴史的に「曖昧な部分」がある。もう少し時間が必要であると理解するが、支那と日本との歴史的な経緯に歴史的事実を踏まえて「明確な整理」を行い国名も「台湾」とし、近代国民国家の体裁を更に整えて水準を上げ真に「独立(人間社会での承認)」することで「新冷戦構造」が出現することに繋がるであろう。この動静が、直近の人間社会の政治情勢の主要課題であろう。この事が、ユーラシア大陸の前近代勢力や非近代勢力に影響を与えて、其処彼処に「新たな動き」が波紋のように生じてゆくことになる。現状は機能していない「国連」の場でも微妙な駆け引きが生じてゆくことになる。ソ連の崩壊後の「取り合えず」の枠組みの現状に「共産主義の総括」が東欧旧共産圏で行われていたが、台湾問題が影響して更にここから本来の在り様(歴史的経緯を踏まえた)に向かって再編成の動きが既に生じてきているのではないか。ロシアのプーチン体制は体裁こそ民主主義的なものがあるが強権的でもあり、EUとロシアとの緩衝国であるウクライナを主体にこの地域の「再編」の動きが再現され始めている。更には、中央アジアにおける歴史的なトルコ圏が新たな動きが生じてきているように捉えられる。旧ソ連時代からの暫定的な在り様からの惜別と現ロシアとの関係に再構築を求めることや、支那(中共)の「帝国主義的な」進出である新疆ウイグル問題や一帯一路等における軍事的且つ経済的な「圧力」により、エルドアン(現トルコ大統領)の動きはトルコ圏(必然的にオスマントルコ帝国の流れを汲むトルコが盟主となる)として新たな存在価値を人間社会において模索する動きを始めているのではないか。

こうしたユーラシアの動きが強まればその動向に影響されて、イスラムAとイスラムBとインドが歴史的な背景をもとに対応してゆくと捉えられるであろう。現在のイスラム圏は、イスラム教の宗教問題と石油資源に依存することに拘る限り「明日は見通せない」ことを理解しているイスラムBのサウジアラビアが、歴史的に宗教問題は大きいが人間社会の経済面や科学技術の発達の動きに宗教問題の比重が下がってくることより、今後どこまでイスラムの盟主として「憚る(つまりアラブ・イスラム圏を纏めアラブ・イスラム連合体を確立するか)」であろうと理解する。その上で、部族国家の体裁のイスラムの大半が王政を残しつつ近代国民国家に如何に「遷移」できるかであろう。イスラムBはイスラム原理主義に拘るイラン(旧ペルシャ帝国の流れを汲む)主体であり支那(中共)と関係が深い。情勢によってはこの地域で「微妙な存在」になる可能性が予測される。イスラム圏がこのように動くなら、その影響でインドはパキスタンとバングラディッシュと印喬の進出がある東南アジア(イスラム系)との緩い連合体の構築を目指すのではないだろうかと考えられる。東南アジアは第二次大戦後に独立を果たし、その後の日本からの投資や技術移転等が行われて格差はあるが近代国民国家としての体裁を整えてきており、工業化もそれなりに進展している。東南アジア(仏教系)はタイとベトナムの関係次第であろうが力的にはベトナムが牽引する形になり地域勢力となるのではないか。フィリピンは歴史的に特異でスペインの植民地が長らく続いてきたこともあり中南米と似た傾向を示している。近年はイスラム勢力も浸透しており、東南アジアとは趣が異なる。留意が必要な東南アジアでは明確な海洋勢力である。

中南米は、歴史的に不幸な背景がある。ポルトガルとスペインによる分割植民地化を経験し、キリスト教カソリック文化が浸透している。米国の発展と共に「米国の裏庭」と言われ発展してゆくが、キューバ革命以来の共産主義の浸透(米国も「えげつない国」であり南米の扱いが自己本位になってゆくことへの裏返しの感もある)があり、それまで栄えていた面もあるがカソリックと共産主義の影響が相まって結局は「没落」する嵌めに陥った。現在もその様相の延長にありここから新たな再興を果たすには、米国の対中南米への対応の変化と中南米自身の改めての近代国民国家への再建が必須であるが、そうした意識改革が出来るかどうかは其々の国の国民に依存するであろう。

アフリカは、第二次大戦後の独立を共産主義勢力の浸透や古い体質の部族感情の対立等で、元々国家の概念がないところで対立のみが先行し紛争に繋がり、先進国や国連の援助に頼る事態を招いてきた。援助する側も受ける側も所謂「援助漬け」に慣れてしまい自立が覚束なくなってしまったと言える。膨大な人命が失われそれでも立ち上がれない状況に覚醒し「自立志向」が今改めて芽生えてきているのであろうと推察する。近年の支那(中共)のアフリカ進出が奇妙に「助けた」感があるが、真面に立ち上がるかどうかは嘗ての失敗を繰り返さないことである。支那(中共)のこの地域での動静(資源狩りや指導層への工作による「支配構造」の確立)も含めて冷徹に見てゆくと共に、近代国民国家連合による適切な牽制(単なる援助ではない)が必要であろう。


支&G(支那(中共)+グローバリスト)は未だ力はある。然るに、時間軸の推移と情勢の変化に人間社会が、その功罪を特に罪の部分が大きいことを理解し始めているであろう。ここからは、その勢力から「人心」が離れてゆき、彼等の勢いは下降線を描いてゆくであろうと推察する。支那(中共)のこれまでの活動の「総括」が各所で生じてきているようだ。支那(中共)はそれらの動きに対して戦狼的な言辞を弄して無闇な反発を周囲から買っている。撒き散らした毒舌は支那精神文化からすれば余裕を無くしているように見受けられる。既に、自国内でも露骨な収奪を各方面で行ってきた結果各所に「持続が不可能な事態」が生じてきている。ここにきて権力闘争の経緯もあり自己有利にするために、習近平体制は形の上で香港問題を有利に導いたと錯誤してその延長で長年の懸案であるところの「台湾問題」を持ち出した。実際は、権力闘争を行っている相手である江沢民&曽慶紅勢力からグローバリストを利用して仕掛けられているとの観測もある。習近平体制にはこれは明かに悪手であり、更に北京オリンピックにも人権問題を持ち出されて厳しい状況になり始めている。一帯一路に関しても「やり過ぎている(支那(中共)の精神文化を持ち込み過ぎたことによる)」傾向があり、ここにきて当該地(アフリカや南太平洋他で)からの反動が大きくな成ってきている。更には、中共ウイルスのパンデミックでもワクチン外交等による目論見が破綻を始めているようである。中共ウイルスのパンデミックをその隠蔽体質で自国内でも収束しているとの捏造をしているが、実際はSNS等に流れてきている情報によれば「抑えられている状況」を確立できないでいることは明白である。こうした情勢の推移から、現在の習近平体制の動きは支那精神文化からすれば余裕の無さを感じさせるものである。直近では「台湾問題」「北京オリンピックの開催の有無」「中共ウイルスの克服措置の在り様」が、習近平体制の「命運」を左右するであろうと思われる。更に、問題は習近平体制の命運だけでなく中共の「命運」を決める動きが背景で進んでいる。習近平体制が進める各種政策が支那(中共)の人民を地獄に落とすものであることが明確に成りつつあるのではないか。これは支那の精神文化では「平常運転」である。支那(中共)の事態の推移を的確に掴まなくてならないであろう。

米国のJRB政権の状況も大きく変化している。つまり、JRB氏の命運にも「警鐘」が響き始めている。JRB氏の健康問題や政策の不具合や予算獲得の不確実により、JRB氏の支持率の急低下が生じている。米国議会勢力の支那(中共)への対峙姿勢の強化とは別に呉越同舟の「民主党」では強い指導力を発揮できずに、米国内は混乱&混迷を深めているであろう。一方で副大統領カマラ・ハリスの存在感の無さも「特異的」であり、当初のシナリオであるJRB氏からの「移転」も消え、ヒラリー・クリントンを「政治的テクニック」で大統領職へ就任させるシナリオが囁かれ始めている始末である。共和党も一枚岩ではなく、DJT氏勢力が「勢い」を増してきている。米国内でも「覚醒」は着実に始まっており、来年の中間選挙やその後の2024大統領選挙をどの様な陣容で戦うかを想定して民主党と共和党は動き出している。足元の政治経済状況は、支那(中共)と似て非なるものが出現しているようである。米国の動向にも確り注目しておく必要があるのは言うまでもない。

こうした人間社会に影響力の強い二国とその他の情勢を認識すれば、自ずと日本の政策も収斂してくるであろう。政策の大項目を挙げると以下になるであろう思量する。

〇安全保障体制の整備強化(集団&個別)
〇中共ウイルスの管理可能状況の確立(国内&海外)
〇日本経済再興及び進化&深化の政策(経済安全保障の確立)

それにつけても、岸田総理をはじめ政権メンバーの言動が人間社会の大きな動きを踏まえていないことやその基における細部の動きに対する政策にお粗末な対応しか出てこないこともあり、此処からの日本が思いやられるであろう。特に、喫緊の課題である支那(中共)への対応で支那精神文化についての理解が「お粗末」なことが見て取れることである。存在感が増しているが故に其の実体を弁えずに唯々諾々と忖度すれば良いというものではない。それでは、人間心理の弱き面に付入るのが得手な支那人に「隙」を与えるようなものである。支那の古典であり支那人の血肉と成っている「孫子」や「六韜」にも関心を寄せることが必要である。日本人も外国人を相手に外交やビジネスをする際には相手を知り戦略を立て筋を通して行く姿勢が必須である。「孫子」は日本にも古くから伝えられており、先人達(大江匡房は学者家系で孫子に通じており批判的に捉えて武士道の源である「闘戦経」を著した。楠木正成や黒田官兵衛は軍師であり孫子を理解し利用したのは有名である。)はこれ等の古典にも通じていた。現在の日本の大学では、軍事学は教えていないことにより「戦略的な観点で物事を捉える」ことが希薄になっているであろう。武士の教育では軍学は必須であったことを思うと明治維新後の教育の欠点の一つがここにあると理解される。


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