人間社会と日本:安全保障-02

ー 人間社会と日本:安全保障-02

前論考では、「安全保障」を推進出来る戦略的な政府組織の在り様とインテリジェンスの強化とその統合的な利用の確立について、先ず大枠について示した。此処からはより具体的に、仮想敵として現実の動向より「支那(中共)」と「朝鮮:北朝鮮と韓国」を対象に、実効性のある安全保障策を考察する。

〇軍事面

先ず、文民統制下で自立的に動ける軍隊にするために、自衛隊を国防軍へ再編する。つまり、各国と同等の軍隊とすることで現代人間社会(国家間と言うよりは勢力間の鬩ぎ合いが現実である)では必須の集団安全保障に参加して活動できるようにして、動的変化を起こす人間社会にあって一国だけでは対処出来ない危機に集団で対処することができるようにすることである。換言すれば、集団安全保障体制に確り貢献できる能力のある日本軍に自衛隊を再編することである。同時に日本は巨大な自然災害の頻度が多い所でもあるので、巨大災害という緊急事態に迅速に自立して対処できる能力や権限を有する、文民統制(総理大臣指揮下)による「国防軍」にすることである。

<戦略核抑止対応>

相手(仮想敵)は核保有国であり、日本を侵略なり攻撃対象としている以上は、それ相応の対抗手段が必要である。況してや、精神文化を背景とした行動原理が日本と全く異質であり共存共栄の関係で保つことが出来ない。現在は、日米安全保障体制で米国の核の傘の下にあるが、日本には非核三原則なるものがあり核兵器に関しては曖昧にしており、これではいざと言う時に核抑止の信頼性に欠けるであろう。方や、これから日本が核兵器の開発を行うのも「適切」とは言えないであろう。ならば、米国と核シェアリングを行うのが妥当であると考える。現在の情勢からすれば、より踏み込んだ方式を想定する必要があるであろう。

「印度太平洋合同戦略原子力潜水艦艦隊(仮称)」の運用を次のような方式で運用するのが妥当であろう。現在、AUKUS(豪英米)が発足したので、日米同盟もありこれに日本も参加する。米軍の最新世代の利用は無理があるであろうことより、一世代前の原子力潜水艦を購入(中古であるが十分に活用可能な艦を導入)して核兵器(米軍より導入)を搭載し、「印度太平洋合同戦略原子力潜水艦艦隊」で日豪(支援協力:英米)主体で運用する。必然的に、基地は豪と日に置くことになる。豪日主体で英米支援の4カ国軍合同艦隊とする。運営資金は日豪で負担しこの方式で、米国との核シェアリング水準を一歩進める形で「核抑止」の機能を豪日は所有する。原子力潜水艦及び核兵器の保守は日豪で行う。豪日による核兵器と核装備潜水艦の保守能力の獲得とその水準の向上を図る。この方式を採用し「核抑止能力」を豪日は獲得し、今後の人間社会の情勢推移と共に核保有国から謂れなき恫喝等に「毅然とした」対応をしてゆくことが肝要であろう。

日本が独自に開発を始めての方法では、現実の情勢に間に合わない。また、この面で日本が独自性を打ち出すことは政治経済で好ましい影響を同盟国に対しても与えないであろう。核シェアリングを一歩進める対応をとることで同盟国と合同で戦略核の運用を行い、原子力潜水艦と核兵器の運用保守を行うことでその知識や技術を受容しより発展させることが出来るであろう。更には、米国の負担の軽減と自身の練度を上げてゆくことで、何れは最新式の原子力潜水艦の運用を行い同盟軍による統合運用を行う水準にまで上げることが出来るようになるであろう。この方式なら、同型の印度太平洋戦略を有する豪英の要求にも適うであろう。豪は、広大な国土があり更なる発展の余地が大きいことより、豪には英米日より海軍装備(軍艦・潜水艦他)の建造技術の適切な移転を行い、豪の技術力を上げて南半球における集団安全保障体制の重要拠点とすることが必要であろうと想定する。この案は戦略的なものであり「核抑止の考えに沿った」ものであることが前提であることより、日本的な「神武」の考えに適うであろうし現実的な仮想敵国への対応策と思量する。

ニュージーランド(新)は、最近では左傾化が進み本来の立ち位置からずれているが、現在の情勢の変化により英豪日米側に何れ「戻る」であろうと推察する。その際には、この「印度太平洋合同戦略原子力潜水艦艦隊」への参加を要請する。加にも同じようなことが言える状況があるであろうと推察する。

捕捉:

今後の方向性としては、日英同盟の復活と英連邦の主要国で太平洋地域の諸国(豪新加)との集団安全保障体制の確立であろう。更に、これ等の諸国は経済面でもCPTPPの核となる諸国であることより、人口規模や人口動態も想定し有力な「連合体」が構築できるのではないか。時間が掛かるがこれに台湾(現在の成立ちから大陸の影響がありこれの排除が必要である)も加えることが出来るであろう。米国に準ずる「規模」の政治経済体(集団安全保障体制であり経済ブロックでもある)を構築して、人間社会に「勢力としての選択肢」を持つことであると考える。更に「近代性(自由・民主・法治)」を此処からより充実し発展させてゆくためには、支那(中共)等の勢力に対抗できる勢力が必要である。このことを想定すれば、近代性を確立した複数のそれなりの規模の勢力がある方向へ向かうのは必然であろうと考える。また、現在のEUも同型の政治経済体としての性格を持つことで、人間社会に奇妙な権威主義(共産主義・宗教原理主義・前近代復古主義等)の蔓延を防止する事に繋げる。こうした動きで、人間社会に現実的な「公論」が可能な状況を作り出してゆくことが必要ではないかと考える。現在の権威主義的性格を帯びている国連主導の「脱炭素化」の動きに、現在の常任理事国の在り様では特にその必要性を感じる。


<通常軍事対応>

此処からは、インド太平洋地域における「NATO」に相当するものを構築してゆくことになるであろう。この地域は、海が主体になるので海軍力主体になり、その上で空軍や宇宙軍(衛星監視やミサイル誘導等)の統合になり、陸軍は米軍の海兵隊方式が主体になるであろうと推測する。同時に、現在は情報化と知識化やロボット技術や材料技術や要素技術も急激に発展してきており、軍装への反映も積極的に行われている。「合同軍」による共有等で開発力や資金負担を有効に使用することも考慮することである。

基本方針として日英同盟と太平洋側の英連邦主要国を核とした「集団安全保障体制」を確立し、新たな印度太平洋安全保障機構(仮称)の「中核」とすることを目指す。DJT氏が言うように自分のことは自分で行うということである。この地域で価値観を同じくする賛同国を加えてゆくことになる。必然的に、米国やNATOとの関係調整が必要に成る。同時に、こうした動きが明確に成れば仮想敵国側や露西亜や中東・中央アジア・アフリカ・中南米も自分達の立ち位置の調整に動くであろう。

日本は、大東亜戦争において米国との太平洋側での航空母艦と飛行隊更には護衛駆逐艦等を持つ機動部隊同士の熾烈な戦いを行った経験がある唯一の国であるが、一方で米国潜水艦部隊による被害が大きかったことを反省し、戦後の自衛隊では「潜水艦艦隊」の強化を推進してきている経緯がある。結果、通常型潜水艦では先端的なものを所有し米軍に引けをとらないと言える。尚且つ、深深度への対応も優れておりそこで使用できる魚雷や機雷を装備している。イージス艦等海上艦船が米軍との統合作戦で強化されているが、日本の強みは「潜水艦隊とその索敵能力」である。更に機雷の処理であり「特定領域の海上封鎖」にも応用できる。中共側もこの事は民主党政権時代に自衛隊の情報が流出し理解しているであろう。生半可な台湾進攻など不可能なことも理解しているであろう。現在の中共の威嚇行動は、その目的が対内の人民向けのプロパガンダであり、対外的には情弱な者達への所謂心理戦であろう。この部分では日本は優位にあるが、人民解放軍は日本の主要各都市に照準を合わせた核ミサイル(中距離ミサイル)の飽和攻撃を可能にしているようである。これへの対抗措置を日本は未だ準備出来ていない。陸上イージスの案件があったが、既に潰されている。この問題で、先に挙げた「戦略核抑止対応」は非対称な方式であるが核抑止という方法での対処にはなるであろう。

仮想敵国の状況をインテリジェンス能力を高めて確り把握して、自身の方から軍事均衡が崩れない対策を施してゆくことが重要である。況してや核保有国である支那(中共)に対しては、日本一国での対応には無理があるのはその規模から明かである。必然的に集団安全保障体制を採ることになる。今回の総選挙では此処が争点にならなければならないが、メディアをはじめ影響力下にある者達により「隠されて」いると言える。こうした状況を払拭しなければならない。

今後の対応としては、従来の「温い対応」を改めて日本から軍事に繋がる技術が流出しないことや、支那人の留学生の大学や研究機関で受け入れ制限等を強化することになる。また、企業等でも支那との関係に関して重要産業に位置する案件では資本関係や取引関係について厳格な制約を設けることになる。延いては、スパイ防止法の制定を急ぐことになる。これらのことは既に巷間言われていることであるが日本国民の安全保障に対する本気度が問われる段階に来ているであろう。

捕捉:

既に、人間社会は軍事経済を一体として安全保障に政治的判断を下す状況に成ってきている。これまで中共の影響力の基で日本の各種の政策で見掛け上は判別がつかないが、よく考えれば支那側に有利になるような計らいが備えられているものがあり、日本に仇名しているであろう。こうしたものも確り修正を行ってゆくことである。特に、資金が無闇に支那側に流れるものは早急に正すことである。最近は支那人や朝鮮人の学者等が日本の大学で職を得て妙な教育に携わっている節が伺われるようだがこうしたこともその一貫ではないか。基本的に相互主義に立ち日本側が一方的に受け入れるような状態の修正を行うことである。特に、自虐的歴史観を助長する支那や朝鮮の押し付けは排除することが重要である。これまでに受容してきた中共や朝鮮の影響力が行使されたものを整理して排除してゆくことである。それ程に日本は「大東亜戦争戦争の敗北」による歪な代償を払わされてきているのであるが、最早そうしたことは払拭するべきであるし、当時の事実に基づいた正確な歴史理解の方向へ進めてゆくことである。さもないと真面に日本を守る軍事戦略すら描けないであろう。そうした事態に現在至っているのは由々しき問題であるとの認識が国民に共有され改善を図ってゆくのが肝要であろう。


前段に戻って、核抑止理論は更なる技術革新等で今後はその重要性が後退してゆくと想定するが、そこから簡単に離れるのも危険なことである。情報化と知識化が軍事面に浸透してゆくのは必然であり、軍事戦略にも浸透してそうした領域をも取り込んで策定してゆくことは必要である。具体的には、情報化と知識化の進展でサイバー攻撃も形を現わしてきており、これに対するカウンター対策も採られれてゆくであろう。人間社会の動向の変化を捉え順次戦略の比重に新しいものを加えてゆくことが必要である。知識化と情報化の方向に加えて現れてきているものは、ミサイル技術の発達(巡行化であり長距離化であり超音速化である)である。此処に、戦術核の高度化でGPS等の発達も加わりピンポイントでの相対的に狭いエリアでの攻撃能力の向上が生じてきている。従来のミサイル防衛方式では、この変化への対応は不可能であろう。最近では、何やら中共が先鞭を付けているような喧伝がなされているが、確りした情報分析が必要であろう。元来、この分野に必要な関連技術開発(スクラムジェットエンジンや高熱高圧に耐える材料や要素技術等)を、日本は既に行っておりその情報が漏れている可能性も否定できない。きた、北朝鮮が似たような飛翔体の実験を行っていることや、韓国が突然にもSLBMの発射実験に成功したという情報も流れている。日本の近隣で妙な動きがあることにも目を向け、的確に実態を把握する必要があるであろう。

こうした認識に立てば、やはり歴史観や国家観を確かにして適切な戦略を描いて堅実に対処してゆくことが肝要である。今迄の日本は妙な影響力を受けてそれが十分に出来ていなかったと言える。最早そうした状況に甘んじていることができない情勢へと進みつつあると理解して行動を促進する段階に来ている。その意味で最初に示した日英同盟等の方向性である。米国は今「病んでおり」これから回復に向かうであろうが、それでも米国便りではなく同盟国間でお互いの事情を考慮して合従連衡を図り自立する段階ではなかろうか。

新たな技術体系では日本は蓄積がある。戦術核と超音速化の動向に対して同型の開発方向の促進を図るとともに、防衛手段の確立を図る必要がある。想定できるのは電磁技術である。レールガン方式であり、レーザーガン方式である。この分野に関連する民生技術は「超電導技術」であり「核融合関連技術」である。日本には研究開発の蓄積だけでなく、マグレブ(超電導を利用した超高速列車)の実績や、核融合炉での大容量レーザー技術によるプラズマの閉じ込め技術があり、これらは軍事への応用が想定される。つまり、超音速で来るならそれを上回るものでの対処である。要は、防衛部門に関わる政治家のこうした方面への知的能力の高さが必要であるが、これまで政局対応の能力しか開発してこなかった不作為の問題を抱えている。今後は改善を急ぎ現実の情勢に対応してゆくことである。既に、防衛部門では取組を始めているようだ。同盟国軍を巻き込み、矛・盾の両面で軍装備の在り様を変えてゆくことである。

更に、日本が戦前統治に関わった台湾と朝鮮(北朝鮮と韓国)がここにきて戦略上の課題に成ってきている。軸を確りもてば方向は明確である。台湾は国民党(大陸との関係(現在は中共の影響力である))の流れを汲む軍や政界や経済界の動向を見極めながら全体として見れば日本側にあると言える。朝鮮はそれ自身が小中華であり共産主義との関連もあり根っからの日本を見下している。北朝鮮も韓国もこれまでの行状を見れば明らかである。日本の防衛線を日本海・対馬海峡・第一列島線・台湾海峡に置くのが妥当であろう。日本国内に入り込んだ支那系朝鮮系勢力の弱体化や排除も含めて、安全保障の戦略を構築して実施してゆくことである。この観点からも、今回の総選挙は重要であり、それらの勢力が「立憲共産党」と揶揄されて纏っていることを認識することであろう。更に、親中派の別動隊(共産主義や社会主義とは無縁であるという隠れ蓑の立場である)として公明党(設立者の池田大作氏が親中派である)と日本維新の会(設立当初と大分に異なるか)がいる。その親中の度合には差があるが要注意である。自民党内にも親中派がいる。一度の総選挙やこの先の参議院選挙で掃討することは不可能である。覚醒した行動力のある政治意識を高めた国民は、外から批判するだけでなく自民党に入党し自民党を変えてゆく行動力が必要であろう。重要なことは、何事も一回の事象でけりがつく訳ではないことである。動的に持続的に物事を捉え必要な動きをして、本来の日本を取り戻して新たな境地に向かうことであろう。

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