現在人間社会の問題の本質:人類史を鳥瞰的に補足して 2022/09/20

人間社会(人類史で)は今大きな「節目」にある。ユーラシアのハートランドで文明の興亡が繰り返されそれが西と東に繋がり、西はローマ帝国(共和制で誕生するが後に帝政と教義宗教で衰退)になり、遅れて東は支那帝国(始皇帝による皇帝と官僚の全体主義以後同型の政治形態を踏襲)になる。

西は中世以降に先行するイスラム文明を受容しルネサンス(十字軍遠征の帰結)を起し、ペスト等の感染症による衰退と教義宗教の頸木を離れて(宗教改革)、新たな水準の文明(西欧近代科学技術文明)を台頭させる。科学精神の発現(代表的なのは地動説)と哲学の再考(デカルト&スピノザ)がある。

西欧近代科学技術文明が人間社会を席巻し、ユーラシアのハートランド他の古い文明も残るが、社会水準において一線を画するものであり「文明」の昇華がなされる。その原動力は産業革命で推進される。哲学としてはスピノザの流れを汲むプラグマティズムのオランダが先行し次に英国が覇権を確立する。

英国はローマ・カソリックの権威を受容せず独自の教会を持ち「立憲制」を確立する。大陸欧州は「王政」を廃止して、仏を代表に「共和制」を確立する。欧州大陸を西から東へ共和制の近代化が進行してゆく。英国はこの動きに関与せず地球規模での活動を主体に覇権を確立してゆく。

パクス・ロマーナに代わるパクス・ブリタニカである。旧来の慣行であろうが英国は大英帝国と称する。近代化とは無縁であったハートランドと東アジアは近代化した欧州列強に席捲されてゆく。ここで人間社会の特異的存在の日本が西欧以外では唯一近代化を遂げて大日本帝国として登場する。

西欧近代科学技術文明に内在する問題が日本が人間社会に登場する頃に明確になる。それらは産業革命が主体的に関わる経済の動向として現れる。グローバリズム(非明示的なプラグマティズムの変異)とコミュニズム(明示的なイデアリズムの変異)である。それらの出自は前者は英国であり後者は独逸である。

第一次世界大戦は、近代化と産業革命が欧州を西から東へ進行する過程で、ローマ帝国の名残のアンシャンレジームの「解体」を行う形で発生したものと捉えることがでる。露西亜も含めた旧帝国の「強さ」を解体するのに政治的に「共産主義(コミュニズム)」が利用されたと言える。

第一次世界大戦は事の本質が理解されずに、集団を構成する国家間の総力戦になり、科学技術の発達と近代化で膨大な人命の損失を生み、スペイン風邪の流行があり極度に悲惨な事態を招いた。東アジアでは近代化を遂げた大日本帝国だけが台頭していた。戦後体制として日本も参加した国際連盟が設立された。

歴史的経緯もあり「移民による実験近代国家」として誕生した米国が、第二次産業革命を先導する形で第一次世界大戦の頃から力を持ち始める。第一次世界大戦は勝利者はなく欧州の疲弊をもたらした。中途半端な戦後処理と中東欧のアンシャンレジームを崩壊させるために利用された共産主義が台頭する。

第二次産業革命を主導した米国が規模の面も含めて英国に代わって台頭してゆく。その勢いの行き過ぎもあり世界恐慌を起こし世界に影響を与える。世界共産主義革命を目指す勢力が台頭する。共産主義は思想であり現実性を持たないため、ソ連は露西亜の旧帝国様式に計画経済という権威主義を導入する。

独逸も共産主義と同型のナチスが疲弊し混迷の状況の中で台頭してゆく。共産主義はコミンテルンからソ連のスターリンに「覇権」が移り、共産主義勢力の工作活動が先進諸国で活発化してゆく。スターリンの極東政策(対独を想定した)で日米戦争の画策が両国と支那を舞台に行われる。

米国の対日政策もあり大日本帝国は生き残りを賭けて「東南アジア」へ進出する。第二次世界大戦が独ソの開戦で始まり、東アジア&東南アジアで英米と日本の開戦が起こり、本格的な第二次世界大戦に様相を変えてゆく。大恐慌の影を引きずっていた米国も戦争に突入することでそれを払拭する。

第二次世界大戦は結果的にグローバリズムとコミュニズムの勝利で終結し、国際連合という戦勝国主体の「戦後体制」が確立してゆく。戦後直ぐに「自由主義」と「共産主義」という対立構図(米ソ冷戦構造)が出現する。世界共産主義革命は、途上国の「独立戦争」や「非同盟」へと変質してゆく。

戦後は核爆弾の登場で「核保有国同士の戦争」が抑止された。更に、共産主義は「何も生み出せない」だけでなく、全体主義になり社会を硬直化させて自滅することになる。ソ連が崩壊し「共産主義」がもたらした悲劇の清算が必要であるが、グローバリズム支援の支那(中共)が変貌を見せて歪に台頭する。

支那(中共)の歪な台頭は、グローバリズム(米国のグローバリスト主体)とコミュニズム(支那(中共)の幹部宗族や旧共産圏のオルガルヒ)の連携で実現した訳であるが、そこから生じた不均衡(人権問題も含めて)は今「限界」に来ている。産業革命も第二次産業革命以降は常態化している。

ソ連が崩壊した後は共産主義の清算が行われて然るべきであったが、片方の勝利者であるグローバリストが歪な形で蔓延ったが故に、もたらされた「巨大で歪で醜い不均衡」は今限界に来ている。一方で、共産主義勢力の生き残りの各種権威主義勢力も混乱と分断を先進諸国にもたらしている。

プーチンが始めたウクライナ戦争と習近平が始めた毛沢東路線への回帰は、どちらもグローバリズムへの対抗であるが前時代的(悪しきアナクロニズム)であり、人間社会には到底受け入れられない。西欧近代科学技術文明の内包する問題の克服はどの様にしてできるのかである。

ローマ帝国は共和制から帝政へ移行し教義宗教を受け入れたことで劣化した。西欧近代科学技術文明はその逆を行くことで台頭した。宗教改革と科学精神の涵養である。ここまでの経験で近代化で安定的なのは「立憲制」である。いま米国の大統領制が問われている。これは政治の問題であろう。

経済の問題をどう克服するか。積み上げられ新しく革新されてゆく仕組みに問題があるのではない。結局はそれを利用する「人間の本姓」に帰着するであろう。古くて新しい問題である。日本人は、聖徳太子が一つの答えを見出していたが、その「思い」を実現することが未だできていない。

聖徳太子は当時において大陸系と半島系の歪さを理解していたであろう。故に「十七条の憲法」を示した。人間社会の現実を理解した上で、やはり答えは「日本の起源」にあるのではないか。いまだから言えるが、明治維新以降の日本は大陸の勢いに押されて「律令国家」を構築した間違いをなぞったと言える。

本来の日本は今どこにあるのか。GHQの占領政策の過ちを正すことだけでは、日本の本来を取り戻すことにはならない。明治維新からの日本を再考し日本の本来を再構築することである。それが、人間社会が西欧近代科学技術文明を克服することに繋がるであろう。日本はそれ程の価値を有しているであろう。

安倍晋三氏はその雰囲気を持っていたが非業の死を遂げさせられた。日本人はこの事を翌々理解する必要がある。ざっくりと現在の人間社会の問題を明らかにしてみた。各界の若い世代は一層「刻苦勉励」して事に当たり「日本」が永続するための再構築に励んでもらいたい。ひいては人間社会に通じるであろう。

用語は厳密な意味では使用していない。人類史の細部については端折っている。非常に鳥瞰的に纏めてみた。問題の本質と所在がどこにあるのかである。やはり、現在は文明も科学技術も大きく飛躍する時期を迎えている。過去に学べば、次を見通すための「哲学」が必要である。

そのヒントは、西洋でも東洋でもなく日本の起源にあるのではないか。日本人の祖先は、早い段階でユーラシアから東を目指して移動してきた者達である。西洋&東洋の「知」で「古事記」の世界に照らしてみるべきであろう。これは時間の掛かる対処であり学問の世界である。

喫緊の課題はソ連の崩壊後に「醜い在り様」を体現したグローバリズムの克服と現実性を持たないコミュニズムの清算(膨大な被害をもたらした)と棄却であろう。前者は人間の本能の制御の問題であり、後者は歴史の修正の問題である。

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