人間社会と日本:起-01

人間社会は、常に「動的平衡」と「動的変化」を共時的に行い「複雑な様相(時に合理的でも非合理的にもなれる)」を各所や各局面で体現しそれらを「熟しながら進行」してゆくものであろう。人間社会は総体として「生き物」であるということであるということを改めて実感する。但し、生物(個体)の様に「死」はない。ここまで色々な観点で考察してきたが、人間社会の各所からの新たな胎動により、既存の問題群への影響やそれらの関係性を新たな観点(多変量を同時に扱う)で改めて再考し、今後の対処を見出すための「諸問題間の相互関係性」を見出す作業をここから試みてみる。つまり、現在の人間社会はどの様な「問題」を過去から引き摺っているのかであり、何時からどの様な新たな「問題」を抱えて相互作用を起こして様相を変化させているのかを、それらを突き動かしているはどの様な勢力なのかを、その観点で再度捉え直してみようとするものである。あくまで現実の動きを具に観察しての「仮説」であることを前置きしておく。

これまで西欧近代科学技術文明に内在する「功罪」が、大きく四つの特性が絡みあうという観点で現在の人間社会の基本的な問題に繋がっていることを見出してきた。ではこの観点から現在において人間社会の存続(動的平衡)に危機を齎す過去から引き摺ってきた問題には何があるのかであるが、主要なものを以下に4点ほど挙げてみる。

〇経済における超格差(国家間にも個人間にも反映される)
〇政治における共産主義の残滓(権威主義的リベラリズムの跋扈)
〇近代性の拡大と挫折(前近代の再編の失敗)
〇中共ウイルスのパンデミックとそれへの対処(新機軸への対応)

ここに挙げたものは個別に分離してあるのではなく複雑に入り組んでいるであろうと推測する。現在の人間社会において、時間軸に沿って複数の「動的変化」の勢いに強弱の趨勢が生じて、人間社会が解決の方向へ積極的に動くこともあれば、解決の糸口がなく放置され下火に成らざるを得ないものもあると理解する。それでも、人間社会全体としては「冷徹に進行」してゆくことになる。


〇経済における超格差(国家間にも個人間にも反映される)

この事象が人間社会で目立ち始めたのは、米国(特定資産家)と中共幹部宗族(江沢民派等)の連携で、天安門事件以降で人間社会に対して「画策」されて実現されてきたからであろうと考える。現在、中共の実体が公然化したことで、人間社会から反感を持たれる事態や拒否される事態を招いていることが生じてきている。これは、時間軸の経過により支那(中共)にとっての「好環境」が失われつつあることによる未熟な対処や、中共ウイルスのパンデミックにより経済活動の在り様が大きく変化してきていることが、画策された構図を崩壊させつつあるのではないかと推察する。また、中華思想により誘発される前近代的な行動様式が支那の内部や周辺部で露骨な実態(ジェノサイドのような極めて悍ましい人権侵害の様相)として現れていることが公然化したことも手伝っていると理解する。この先の支那(中共)の不確実性は相当に高まっていると言えるのではないかと思量する。

此処までの30年間程を振り返ってみる。1990年前後において、支那(中共)は、それ以前のキッシンジャー・周恩来戦略で基礎的産業化を予定通り達成してきた。そこで新たに育った若者層を中心とした民主化要求が起こる。中共の全体主義的強権的体質からの帰結であろうが、民主化要求に応えられず失敗して鄧小平の決断による「天安門事件」を起こすことになる。この件で先進国中心に中共に対する制裁が人間社会で持ち上がるが、米国の特定資産家勢力と中共幹部宗族の一部(江沢民派)の連携により発展しつつある支那経済を利用し、米国で特定資産家により推進されていた金融経済とIT産業の高度化と同型な仕組みの導入を支那(中共)は推進することになる。それはより効率的な資本の運用(先進諸国の経済運営では得られない恣意的な運用で富を占有できる)を行うことを画策してのものであると今からなら見ることができる。米国ではGAFA体制の基礎が確立されてゆくことになり初期の行き過ぎでITバブルが発生することになる。それでも、ITを応用した金融経済は人と資本の移動の自由を実現させるための「道具」として高度化と複雑化が推進され利用されることになる。支那(中共)では、巧みに疑似GAFA体制を支那内で「閉鎖的」に構築することになる。後の「人民管理」に利用すると共に、支那の経済規模で大きく成長させ、米国証券市場へそうしたGAFAと同型の中華企業等を上場すること(資本取引)で巨額の利益を獲得するインサイダー取引が何故か許され遂行されてゆくことになる。この過程で、米国資本の意図的な動きに合わせて半導体等の先端産業が設計部門は別にして、製造部門が段階的に台湾と韓国に日本の半導体企業から移転されてゆくことにもなる。これも今だから言えるが日米経済戦争(日本弱体化)への対応という形をとることになった。近時においては、台湾や韓国から支那(中共)への移転が進んでゆくことになる。中共幹部宗族(主に江沢民派)と米国特定資産家(国際金融資本も含めて)は、グローバリズムを完成させ更にはマネーロンダリング等の「税逃れの仕組み」も編み出して「富の占有」を図ってゆくことになる。先進国では資本の論理が優先され中間層が没落し地域経済が破綻してゆくという「悪循環」が起こる。発展途上国ではその適応性により国家間で優劣が発生してゆく。人は、経済的に豊かに成れる場所を目指して「移動」が始まるとういう様相が出現する。また、そうしたことを背景的に支援する(権威主義的リベラルが盛んに多様性を唱える)動きも各国で生じて経済移民難民が主体に成りつつあると言える。人間社会において「超格差」の事象が齎されることになるのである。

ベトナム戦争後と天安門事件後という二段階を踏んだ大きな「動き」の結果により、支那(中共)は「世界の工場」になり経済面から欧米日の「弱み(支那への依存)」を握るという状況を確立しつつあったと言える。この状況の実現のために、中共はWTOへの参加と与えられたハンデは享受するが約束やそのルールを守らないという狡猾な行動をとるようになる。画策した構造にて中共幹部宗族と特定資産家は巨大な資産を獲得して、人間社会に超格差の状況を出現させた訳であるが、途中経過では米国はITバブルが弾けて一層金融経済にシフトしてゆくことになり、その結果は金融不祥事であるリーマンショック(住宅ローンの信用格付けを利用したジャンク債のまぜこぜで回収不能を引き起こす)に繋がる。この経済危機を支那(中共)が「財政出動」で回復に貢献することになる。ここに米国と中共の「立場の逆転現象」が生じることになる。中共に習近平が登場して「華為秩序(中共の100年計画の目標)」の人間社会での実現を露骨に志向する背景でもある。

現代の人間社会では科学技術の発達に伴い「経済」が最大の構成要素になってきている。政治構造における民主主義の正当性の根拠である「一人一票の価値」に相当するものが、分業化が進んだ経済構造では「信用価値(通貨)」であろう。西欧近代科学技術文明では、経済構造における制度設計において政治構造におけるほど精緻な制度設計が成されて来なかった経緯がある。近代化以前における人間社会の政治構造(封建制度)の段階では「専制君主」を生み出したように、国家の枠組みを容易に超えるまでに拡大し発達した経済構造において専制君主と同型の「特定資産家(資本の独占)」を出現させてきたと言えるであろう。人間社会が創出する「信用価値(通貨)」を占有することが出来る複雑で高度に発達した「金融経済」を通して行ってきたと言える。

此処から先の人間社会は、独占を志向し経済構造の動的平衡に危機を齎す「特定資産家」の活動制御を行える仕組みを獲得してゆく段階にきている。また、支那(中共)の中共幹部宗族という者達が同型の特定資産家と連み支那の経済規模で独裁的権力を行使して「正当性のない巨大な資産」を獲得して、人間社会に特定資産家以上に悪影響を与える存在となっている。この両者が人間社会の最大の問題であり、各種の問題の根源となっているのではないかと推測する。此処から先でこの問題をどの様に解決してゆくかである。解決出来なければ、人間社会はこの状況を続け「極度」に達して崩壊(自滅か争い)に繋がるであろう。今それらの「極度状況」が現れて其々において自滅か争いの動きが、米支の両国の動静を見ると出始めていると推察できるのではないか。


〇政治における共産主義の残滓(権威主義的リベラリズムの跋扈)

第二次世界大戦の勝利者は、今から見れば「共産主義」であったと言える。米ソ冷戦構造が出現し人間社会が大きく2つに割れることになる。更に、ネール(印度)の提唱による「非同盟運動」が第三勢力として出現する。当初は、アジア・アフリカが主体であるが、中東や中南米にも拡大してゆく。中共は「非同盟運動」にはオブザーバーの立場で参加している。非同盟運動は元来その発足の経緯より平和共存を志向しているが、実態は社会主義や共産主義の浸透に関わっていると言える。実際に、中共はこの勢力を利用し国連への加盟を果たし非同盟運動諸国への影響力を強めてゆくことで国連での立場の強化を図ってゆくことになる。更に「キューバは革命後に非同盟運動に参加」し「イランもホメイニ革命後に非同盟運動に参加」が行われている。然るに、共産主義は資本主義に代替する「人間社会を発展させることが出来る仕組み」を実現出来なかったことで、ソ連の崩壊をはじめ共産主義を採用した諸国は劣化してゆくことになる。結果的に非同盟運動参加国も同様の経緯を辿ることになる。非同盟運動は今も存在しているが実態は形骸化していると言える。各国の事情で共産主義の悪影響を克服できた国もあれば出来ないままの国もあり、その国情はマチマチである。経済的に歪に台頭した中共はこれらの諸国に「付入る」ことを非同盟運動は可能にしていると言える。中共は一帯一路等の国策で非同盟運動諸国を自国の産業の成長に利用することや、巨大化した支那の「生産力」の捌け口に巧妙に利用してゆくことになる。更に、金融手法も使い「高利貸し的行動」を実践して、発展途上国での権益を確保してゆく「帝国主義擬き」の行動も見せることになる。中共等の近代化が実現していない諸国で共産主義は形を変えて生き残りを図り、民主化が出来ないまま全体主義的傾向を強めてもいる。

一方で、共産主義は先進諸国では旗色が悪くソ連の崩壊に合わせるように勢いを失ってゆき「権威主義的様相」として軟化した形で生き残りを図ってゆくことになる。日本の例を挙げれば次のように纏られるであろう。大東亜戦争は昨今の歴史の見直しにより「共産主義」勢力により工作された面がある。更に敗戦後に支那(中共)と朝鮮を通じた左翼系の「敗戦革命」の工作を、米国における反共の揺り戻しと日本に軸足(本来日本の国体と共産主義は相容れないものであり日本を取り戻そうとすること)のある各界の大正世代の頑張りで凌いで復興を果たしてゆく。その後の高度成長に繋げてゆくことで「共産主義」の勢いを喪失さてゆく。更に、高度成長の歪の公害問題を克服し新たな発展を始めると、新たな「日米経済戦争」を招くことになる。ここで再び、大東亜戦争時とは形を変えた支那(中共)と米国グローバリスト勢力(特定資産家を主体)による経済的に台頭した日本の弱体化の背景的な工作が行われることになる。田中内閣による日中国交回復から中共の影響力が再び開始され、日本の政治は「おかしく」なってゆく。方向性を失った日本は資産バブルが弾けて、其処からの脱出ということもあり支那への進出(実際は大東亜戦争と同型の引き込まれる)が行われてゆく。中共のお先棒を担ぐ朝鮮系が再度跋扈し始めて「歴史の捏造(慰安婦問題等)」で、日本国内で朝鮮系が各界に浸透を図ってゆくことになる。しかし、日本では幸か不幸か不良債権処理や巨大な地震等の災害が続き、其処からの復興のために政治的な動向が注目されない状況が続くことになる。それでも、東日本大震災を契機に民主党政権の反日行動で日本人も覚醒してゆくことになる。ここで安倍晋三氏を選び日本の本来の再生に向けて動き出してゆくことになる。一方で、朝鮮系の反日勢力や同調する日本人左翼勢力が、権威主義的リベラル(各種のテーマがある)が「奇妙な多様化」を掲げて日本の伝統と慣習の破壊を推進してゆくことになる。しかも、歪に台頭した中共の影響力も強く日本国内では一進一退を繰り返しながらも「前進」してゆく。途中から米国にDJT氏が大統領になり「状況」が大きく変化してゆくことになる。米国の中共への対峙姿勢が明確になり中共の影響力が弱まっていくと共に、日本国内の親中派や親韓派が炙り出されてゆき各種歴史的な見直しや歴史的事実の屹立に日本人の覚醒が一段と進んでゆくことになる。日本は現在自民党総裁選と衆議院総選挙を控えており、安倍晋三氏を真に引き継ぎ発展させることのできる人物(高市早苗議員)を選出し総理大臣職に着け、新たな飛躍に向けて準備する時期に入るであろうと推察している。

米国は、覇権国であるが故に日本以上に左翼の進出は「じっくり行われてきた」と言える。つまり、旧米国共産党の残滓である権威主義的リベラルが教育界やメディアに進出し、人種問題をベースにポリティカルコレクトネス等の運動があり、その流れの帰結として極左に近い奇妙な破壊を伴う活動勢力(アンティファやBLM)の跋扈や、中共の影響力が行使された各界のそれなりの立ち位置にいる人物達や、左翼勢力の息の罹った暴力集団による「麻薬」の蔓延で「過酷な窮地」にあると推察する。更に、米国は特定資産家と産軍複合体等による連携で局所的な「戦争」を繰り返してきたことによる「付け(精神文化に与える悪影響)」もここにきて重なってきているのではないかと推察される。この動向の過程にはジョージ・ソロス(移民である彼はその行動が自由主義や資本主義を体現しているが共産主義者の面もあるという複雑な人物である)という特定資産家の「手先」であった者がその経済的狡知により巨大な資産家に伸上がり、今では米国に移民難民を「おびき寄せる」工作を行い、米国を「破壊(権威主義的な在り様に変える)」する動きにその財力を使っている節がある。その行動は実に奇妙なものと言える。そうした米国で、草の根(米国の建国精神を体現する)勢力が「異議申し立て」を行っている。その代表者がDJT氏である。大統領職に着きMAGAを掲げて活動し、対中共や対特定資産家への対峙を明確にしてきた。その反作用でそれらの勢力の影響力により左傾化した主要メディアの総攻撃を受けてきた。それでも、中共の人権侵害行為である「ウイグル・ジェノサイド問題」を人間社会に公然化し、中共に相当なダメージを与える政策を遂行してきた。米国内既得権層にも対峙してきた。米国経済の活性化、移民難民問題への対処、中共ウイルスへの対処等を推進し、MAGAの目標の実現を目指してきていた。その行動への反作用として、2020大統領選挙で巧妙な仕掛けで選挙結果を改竄されて大統領職を下りることを余儀なくされた。

〇経済における「超格差」と〇政治における共産主義の残滓(権威主義的リベラリズムの跋扈)という二つの問題を考察すると、ここまでに記述したように西欧近代科学技術文明の罪(特定資産家と共産主義というこの文明に内在するもの)の部分に、更に中共幹部宗族による「前近代の在り様(近代化で確立した人権を蔑ろにした)」の行動を許したことにより、人間社会は見かけの発展とは逆に「大きな陥穽」に落ち込んだ半世紀であったといえるではないか。今後の人間社会では、特定資産家に富の占有を許さない「仕組み」の考案と導入が必要であろう。また、中共のような「前近代のままで人間社会のルールを遵守できない」勢力の排除をどの様に行うかが問われることになるであろう。とは言え、どちらも現在の人間社会の在り様では解決が難しいと言える。前者は「投機と投資を明確に判別できない」に起因するものであり、後者を罰するには「国家の枠組みを越えた強制力の行使ができる」存在がない以上は下手をすると対立関係の間で「戦争」になるであろう。ここで希望があるのは、人間社会も多くの経験を積んで引き継いできている。先進国間では、新たな工夫を考案して対処してゆくことが期待される。課題は、真の近代国民国家を形成できない勢力(話し合いが成立しない)への対処になる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?