人間社会の動静と日本のこれから 2022/06/27
ー人間社会の動静と日本のこれから 2022/06/27
伊藤貫氏の【伊藤貫の真剣な雑談】と張楊氏の【ドイツが再び軍事強国になるの?】が、Youtubeに上がっていたのでこれを参照して題に沿って思索してみる。
(8) 【伊藤貫の真剣な雑談】第7回「文明の衝突とロシア国家哲学」[桜R4/6/25] - YouTube
(1) 【第373回字幕あり】ドイツが再び軍事強国になるの? - YouTube
ウクライナ戦争(「ウクライナでの露西亜とウクライナの物理的な戦争」と「ウクライナ支援の米国とEUに対峙する露西亜との間の全面的(主に政治と経済の両面)での駆け引きの動向」)は、開始から4ヵ月程が過ぎつつある。「物理戦争」は、当初の露西亜側の思惑と異なる状況にある。真相は未だ不明だが、今は広くその様に理解されているであろう。初戦の敗退で本来の目的であるウクライナ東部に集中して「激しい戦闘」が続くという想定外の戦争状態にあるであろう。全体的な形勢等十分な情報(第三者による正確なもの)が開示されていない為に実情の把握は難しく、其々の勢力から流されてくる情報をもとに判断する他ない。その情報戦や宣伝戦からしても、これまでの常識で考えれば露西亜が圧倒的に有利に立っているはずであったが、その様には現状は見えないであろう。実際は、露西亜側の戦術の拙さによるウクライナ東部での「膠着状態」に陥り、露西亜の威を奇妙に示すウクライナの他地域(キーウ他)へのミサイルによる散発攻撃というものである。
思惑が外れた初期の段階で既に言われていた露西亜の継戦能力の期限の時期もそろそろ過ぎようとしている。米英やEUが発動した経済制裁等の短期を見越したものも、結果的に長期化が進行している。双方の当初の思惑が「外れ(現実は思うようにはならない)」てきており、解決の方向が見えずに「生木を裂くような」双方の「分離」の動きが拡大してゆくことになってきているであろう。中共ウイルス禍で弱含みの状態から立ち上がろうとしている世界経済に与える影響は大きい。従前の状態への単純な戻りではなく、その他の世界でも双方との関係性を配慮しながら、分離の方向での其々の事情に見合った経済活動への適応を含めた縮小再配置等の複雑な調整作業が進行していると思われる。その結果的影響が各国のインフレや食料危機の形で現れている。
こうした観点から、伊藤貫氏の今回の内容は「人間社会の分離の枠組み」のような内容の展開になるかと期待していたが、実際は基本的な歴史的なものを反映した「精神文化」の話に帰結してしまった。端的に言えば「多極文明論」であり、今回の事象を主役のプーチンを対象に、現在の人間社会の大局的な動きのなかで露西亜の位置付けと、露西亜の文明の在り様と外側への対応で今回の事象の関わりについて展開している。それはそれで理解できなくもないが、人間社会全体での今後の動向や方向性を考えた場合に、米英&EU側のグローバリズムの動きに対するプーチンの露西亜の対処に寄り過ぎているように感じられる。
現在の人間社会の問題は、30年程前のソ連の崩壊と支那(中共)の変質(天安門事件の背景)に起因しているであろう。所謂「ヒト・モノ・カネの移動の自由」を標榜し金融経済を生息地に「富の偏在」を可能にしきたグローバリズムが、支那(中共)の変質した幹部宗族と連携して人間社会に行き過ぎた「権力と富の偏在」をもたらした。そこに生じた不均衡状態が許容できない水準にまできていることである。ソ連崩壊後に露西亜もこの勢力に「荒らされた」が、それを回復したのがプーチンという認識が示されている。プーチンは、ピョートル大帝時代の大露西亜に郷愁を抱いていたことも知られているが、実際のこれまでの彼の行状はそれほど褒められたものではなく時代錯誤の独裁者であったであろう。露西亜を共産主義で頓挫させた近代化に向けて自立能力を高めるというよりは、安易な化石燃料等の資源立国に堕落させた。さらに、その恩恵はオルガルヒに与えられ、国民に還元されることもなかったであろう。欧米側の精神文化との対峙でプーチンにそれなりの評価を与えているが、それは政治家の本来の役割ではなかろう。事態は曖昧糊塗した様相を呈し始めている。つまり、長期化が進行しているのではないか。各勢力に新たな思惑を与えているであろう。そうした方向で露西亜が再興するためのものがこれまで組み込まれてきていないといえる。分離が一層進展すれば嘗てのソ連と同型かそれ以上に悪化するのではないか。
対峙する米英やEU側にも問題は生じている。金融経済や権威主義活動で各種のグローバリスト勢力が蔓延っていた。米国では、2020大統領選挙を節目に、グローバリストや権威主義者や社会主義者等の左派勢力が異様な活動を見せ公然化した流れを受けて、混乱と分裂が酷い状況になってきている。EU側でもグレートリセットを標榜する権威主義グローバリズム勢力がその思惑をウクライナ戦争で外されて対応策に奔走している。ここ30年間程のグローバリズムと変異したコミュニズムの動きが進行とともに人間社会に影響を与えてきたものが「極」に達して変化を余儀なくされている。成功体験は引き摺られ、結局はドツボに嵌り藻搔いて終了してゆくことになるが、その在り様は現段階では見通せない。
もう一つの支那(中共)では、プーチン程の才覚はないが、権力闘争を優勢に進め毛沢東化を推し進めてきた習近平がここにきてゼロコロナ政策という「とんでも政策」に固執して、支那(中共)を「危うく」している。プーチンと習近平により、露西亜も支那(中共)も人々は実際は「虐げられ」ているが、洗脳教育や情報環境管理による「マトリクス」の形成が機能しているようで、内部からの反乱にはなかなか結び付かないと言える。
米国に誕生したDJT政権が明らかにしてきた人間社会の実態の公然化が行われてきた。それに覚醒したところから新たな動きが始まり、米国2020大統領選挙を契機として示されたここまでの30年間程を差配的に動かして来た勢力の飽くなき自己中的な行動が露呈し公然化した。反作用を起こす側の力が未だ弱いこともあり少しづつ「状況が動いてゆく」というものになっている。そうした状況のなかでウクライナ戦争は、状況を一層明確化するという作用を果たしているであろう。
最近は、陰謀論という言葉狩りで現実から目を逸らせようとする動きがあるが、人間社会は人間精神の発露で動いてゆくのは必然である。現在の巨大で複雑な人間社会には、国家という明示的な系(システム)から、国家の枠組みをこえて蠢く系が各種あり鬩ぎ合いを繰り返しているであろう。第二次世界大戦後に「勝ち残った」系である米国を大本営とするグローバリズムと、ソ連を大本営とする人間社会に革命輸出を行ったコミュニズムが、紆余曲折による変質を繰り返し、直近の30年間程で極に達して限界に来ていると捉えるのが妥当ではないか。これへの必然的反作用として、ナショナリズムが活発になってきている。
以下は支那(中共)の最新の動向である。人間社会にとって「好ましい存在」ではないが、その実情は一層おかしなものになりつつあるようだ。
(5) 中国経済、実はコロナに完全敗北!?地方銀行は大変な状況になっていた! - YouTube
(19) 【薇羽が世間を看る】疫病基金に強制募金させられる。公務員は40%減給。兵力不足で退役軍人を呼び戻す。上海の青年も服役。 - YouTube
露西亜にしても支那(中共)にしても、現体制側がこの先どのような変化を起してゆくか予断を許さない状況になってゆくであろうと理解する。それに際して、「仕掛けた」とも「受けて立つ」とも言える米英&EU側の動きがどのようになってゆくかであろう。さらに、この米英とEUと露西亜と支那(中共)の各勢力との関係性をもとに、其々の地域の勢力の動きに新たな変化が生じてくるであろう。既に出始めている。
以下はこうした状況にあって日本が考えなければならないことを、参議院選挙を前にして今の人間社会の大局を概括的に纏めた動画で参考になるものを以下に上げる。
(14) 選挙特番!ナショナリストが政治をする流れが日本にも!そして参政党の立ち位置は?【CGS 茂木誠 ニュースでわかる地政学 選挙特番】 - YouTube
日本の政治家や官僚や経済人でこれまでそれなりの立場にある「者達」が、恐ろしく動的な変化を見せる人間社会の「未来を思い過去を踏まえて現在を捉える」という的確な認識作業を欠いている状態にあると理解される。報道される彼らの言動からこのことに気付くことができる。これは次のことを想起させる。日露戦争に勝利して大東亜戦争へ進行してゆく時期や高度経済成長を遂げ人間社会に与える影響力の大きさを自覚出来なかった時期を想起してみると、自己(日本)を的確に理解せず日本を人間社会にどのように位置付けてゆくのかの認識を持てていない今の状態に同型のものを見出すであろう。
国民は覚醒して自分達及び後代の日本をどのようにしてゆくのか、参議院選挙を前にしてというだけでなく、今は真剣に考え行動に移さなければならないであろうと思う。
<まとめ>
中共ウイルス禍から立ち直ろうとする段階で生じた「ウクライナ戦争」のここまでの人間社会に与えた影響。
〇当事者が露西亜とウクライナ(支援:米国&EU)であり、事の重要性が各段に高く影響も政治及び経済の多岐に亘り、尚且つ時間軸の祖って影響範囲は広がってゆく。
〇グローバリズムが人間社会を席巻してしまうと思われた段階で、その勢力が引き起こして来た事象が公然化し人間社会が許容できない類のものであることが公然化した。
〇「ヒト・モノ・カネの移動の自由」を標榜するグローバリズムがいくつかのタイプに担われている。それに対峙する勢力として健全なる保守(ナショナリズム)と時代錯誤な全体主義なり権威主義が登場している。
〇グローバリズムは先験的なものを基本に高度化してきている。しかし、一部の強欲資産家や国際資本勢力により人間性が無視された部分に対する対処が必要で、権威主義にならない制度設計等の克服手段の開発が必要である。
〇適切な改革が行われない場合に、時代錯誤な独裁を可能にする全体主義や権威主義が政治分野から生まれる。現実的に、露西亜や支那(中共)が例証であろう。そうした勢力を如何に排除することができるか、法的な禁止条項を設けることで防止できるかである。
〇科学技術の革新は日進月歩で産業革命は常態化している。蓄積のある先進国と開発途上国の格差は拡大方向にある。「富」の源泉でもある。更に、技術体系が大きく変わろうとしているであろう。日本はそれなりの蓄積があるが、政治家や官僚や経済人の科学技術に対する理解が非常に足りない。
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