ⅠCT&AⅠ むすび大学動画より 2022/05/18

ーⅠCT&AⅠ むすび大学動画より 2022/05/18

(6) マーク・アインシュタイン氏が語る!日本のIT産業の実態 - YouTube

この動画に触発されて、日本のⅠCT&AⅠのこれまでの経緯を振り返り、この先を思索してみる。私が仕事として関わったのは、IBMワールドの頃であり集中型から分散型への移行期であり、企業でのアプリケーション・システムの開発運用を担っていた。そのころから見れば、現在のⅠCT&AⅠは飛躍的に発展した。当時感じていた「うっすら見えていた近未来」が実現し、今振り返れば隔世の感がある。そこで感じるのは、ハードウェア&ソフトウェアがある種の限界にきているのではないかというものである。同時に、ⅠCT&AⅠは人間の「動作性」の部分を非生物的なもので何時のまにか同型のものを作り上げるという方向へ進んできていると捉えることが出来るのではないかとも思う。限界がきているという意味は、ハードウェアでは高速&大容量の処理を更に飛躍させる段階に来ていることであり、ソフトウェアでは機械語・OS・アプリ言語・AIときて、ここからは自然言語による動作に向かうであろうと考えるからである。

ⅠCT&AⅠに先鞭を付けたのは米国であるが、日本も敗戦後にその反省から材料科学に力をいれて、半導体では互角以上の力をつけた。だがしかし日米半導体協定という不平等なもので、米国勢に抑えつけられて隣国勢に最終商品を移転させられた。材料や製造装置等の要素技術は日本に今も残っており決して全体的に劣化している訳ではない。日本勢は限界がくることは解っており次世代への研究に振り向けてきている。

ソフトウェアについてもTRONプロジェクトがあったように、先進的な試みを行っていたがこれも米国勢(加担する国内勢)により潰されてしまった。TRONの基本構想は優れており、ビジネス系は消滅したが組み込み型が発展して現在標準化の域にある。各種の製品に組み込まれて使用されているであろう。

通信関連も4Gまではリードしていた。5Gで支那(中共)に妙にしてやられたが、今は次世代6Gに向けて動いている。光デバイスの開発と常温量子コンピュータの研究開発も進んでいる。全般的に日本がⅠCT&AⅠの分野で劣る訳ではないが、これまでの経緯を理解すれば問題が山積しているであろう。この動画の人物が指摘するところは無しとはしない。

日本に決定的に欠けているのは、最終製品なりサービスを企画推進する人物が欠けていることである。具体的なイメージとしてはスティーブ・ジョブズのような人物である。つまり、要素技術を鳥瞰して「新たなもの」を生み出す企画力と実現力を有する人物である。現存する人物ではイーロン・マスクであろう。中には、我欲に駆られて狡知に長けた形で振舞う人物もいるが、名前は出さないがそうした人物は違うであろう。今現在の日本の精神文化では中々生み出せない人物であると言える。幕末期の日本は彼等に相当する人物が輩出できていたことを考えれば、どこに問題があるかはハッキリしている。また、直近では大東亜戦争後に現れた人物達が、自動車産業他で有名企業を起こしたことや、官僚機構で幹部層が取り払われたことで若手が活躍したことも参考になろう。要するに、成功体験に拘り硬直し既得権に胡坐を掻くことが許されるようになってしまったということであろう。それと教育の問題であろう。受験エリートでは問題解決型の人物は中々生み出せないということである。東アジアに共通する「悪弊」であろう。それでも、日本は現場では「修理固成」で探求に拘っている者達が多くいて、現在の日本の力量を示している。旧軍の分析である「失敗の本質」が現在の時点で体現されているということであろう。

DXなりWEB3.0という言葉を使っているのでは、次世代の情報化の在り様は見えて来ないであろう。ユビキタスという概念を示しTRONを掲げた坂村健氏を凌ぐ人物を採用し、官僚主導ではなく協議体を設置して民間主導で、政治家や官僚はその推進に当たって環境整備に努力する方向へもって行くべきであろう。ここに大きな投資を行えば、国民が遍くその成果を享受し実体価値を増大させることになろう。安全保障の観点も持ち込み、そこに生じる富が国民(世代を超えて)に還元されるように構築することであろう。


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