【人間社会の現在について】<支那(中共)の第20回党大会の結果を踏まえての現在について> Text-0012022/10/27

【人間社会の現在について】
<支那(中共)の第20回党大会の結果を踏まえての現在について>
 Text-001
2022/10/27

第20回党大会で、習近平の連任(3期目)が確定した。同時に、常務委員会も習近平派で固められた。この事の「意味」を考察してみる。

常識的に考えれば、習近平の「毛沢東化又は毛沢東超え」が一歩前進して、支那(中共)は名実ともに「習近平独裁期」に入ったと言える。これに反対した勢力は排除されたと理解するのが妥当であろう。しかし、既に10年間の執政期間があり、その結果としての人間社会での支那(中共)の立場の現状を考えると、外部から見ればそうとも言い切れない。

胡錦涛は今回の党大会閉幕式で「無様な排除」の光景の犠牲者になったが、他者はしごく普通に受容している様子であったことを考えると、現在の支那(中共)の状況の「責任」を取りたくなくて無暗に抗うことを回避したのではないかとも考えられる。何方にしても、支那(中共)の実態が人間社会に公然化した今は、それを引き起こした習近平が連任した以上は人間社会が支那(中共)を更に忌避する方向へ進行するのは止められないであろう。

習近平の「宣言」もこれまでの彼の方針を開示したもので変化は見られない。周りをイエスマンで固めたことより一層「裸の王様」になるであろう。人間社会の対支那(中共)への見方や作用だけでなく、支那人民の対中共への見方や作用も習近平には真面に伝わらないであろう。習近平の意向で決められた施策や、既に実施されている敵対派閥への対応やゼロコロナ政策で、支那経済は明らかに「失速状態」を示している。この方向性は、独裁者の常である無謬性により一層硬直化したものとなるであろう。

こうした支那(中共)の状況を理解した上で、崩壊したソ連において同型の時期を探索すると「ブレジネフの執政の末期」を想起することができるのではないかと考える。ブレジネフは、スターリンに準ずる独裁を行いソ連を一層硬直化した社会とし、アフガニスタン侵攻を決め最後となった。ここで習近平が公言している台湾侵攻が想起されるであろう。内部的な問題を外部的な対処で解決するというものである。

ざっと以上のことが頭に浮かんだ。現在の人間社会では、政治も重要であるが経済(人々が生きることに直結する)が最も重要であるという認識を新たにして、この先の支那(中共)の方向性を考察してみる。支那(中共)をここまで押し上げてきた好循環な環境(人口動態や自国内での開発独裁の在り様)はほぼ限界に来ており、支那(中共)内において其処かしこに矛盾が露呈してきている。

言ってみれば「自転車操業(借金体質)」が支那(中共)の在り様で、これまでの好循環環境で回せてきたが、現実は中共をもってしても異様に膨らんだ不良債権処理の先延ばしができなくなりつつある。つまり、支那経済の主要部分である不動産&インフラ投資に「限界」が生じており経済合理性を欠く事態になっている。習近平の強権的な独裁(毛沢東擬き)では自己保存(権力闘争に勝利する)が先に立ち、支那(中共)全体が悪循環に突入しつつあるであろう。

本来はこれだけの規模の経済においては内需経済に移行していないと破綻は明確であるが、中華思想(世界に華為秩序をもたらす覇権主義)が邪魔をして、人間社会での立ち位置を喪失したといえる。「世界の工場」として外部市場を席捲するのは無理があり、自己の強みと弱みを踏まえて、世界経済の中に共存できる形で組み込むことを目指すべきであったが中華思想故にそれができなかった。

ここで再度、現在の人間社会の方向性が確定した30年程前から再考してみる。ソ連崩壊と支那(中共)の天安門事件から始まる動向である。露西亜にはプーチンの出現があり、支那(中共)には江沢民の出現である。前者は露西亜帝国をなぞる形になり人間社会の動きと乖離して、歴史の見直しからくる内部抗争とも言えるウクライナ戦争に繋がり、本格的な先祖返りした「露西亜帝国」の崩壊に突き進んでいると捉えられるのではないか。

後者は、グローバリストと連携し支那の特徴を生かして歪な経済成長を遂げたが、内部矛盾が限界にきており、これまでの所業(チベット・モンゴル・ウィグルへの対応)と習近平による全体主義化(社会主義的強権化)が一層進み人間社会から忌避される方向へ変化して、「鎖国」をせざるを得ない事態を招いている。結局は、何方も過去の歴史に囚われているようで「近代化」を受容できていないが故に、人間社会で立ち位置を失いつつある。

時間差があるが「露西亜帝国」と「支那帝国」の崩壊(本来は近代化へ進むべき時期を喪失したが故に克服すべき矛盾が再度露呈した)が確実に始まったと捉えることができるであろう。対する欧米日の先進諸国は、共産主義の崩壊をを横目にグローバリズムを推進したが、異様な不均衡状況を産み出しその克服をしなければない状況にきているであろうと考える。

人間社会の各国の歴史的な状況はその出自もありマチマチである。強引にグローバリズムを浸透させ異様に金融経済を肥大させ「不均衡」を容認してゆけば、各国の実体経済は真面に機能しなくなることは現実の人間社会が証明している。コミュニズムはイデオロギーであり放棄(そこに糧を得ていた勢力が生き残りを賭けて変質しているが)すればよいが、グローバリズムは先験的な仕組みの異常化なので単純に放棄とはいかない難しさがある。

露西亜のオルガルヒや支那(中共)の幹部宗族の異様な資産形成もグローバリズムに依拠している。西欧近代科学技術文明に内在する二つの大きな課題を解決してゆく段階に来ているが、単純に国家間の問題として解消できない背景がここにある。とは言え、人間社会が進んでいくことを止めることはできない。

支那(中共)においては、ここまでの状況より人心は習近平体制から離れつつあるであろうと理解できる。米国の対支那(中共)の強硬姿勢は一層強まるであろう。中間選挙の結果はこれからだが、この方向は揺るがないであろう。先進諸国は、米国同様に対支那(中共)の姿勢は強硬となろう。更に、毛沢東時代と異なり世界経済と支那経済が深く結びついているので影響は大きいが、経済の分離も一層進むと捉えることが重要だろう。

絶大な権力を「獲得」した習近平が、凡庸なイエスマンの部下達(中央政権の経験が殆どなく一方で有能な共青団派は一層排除されてゆく)が人間社会で一層支那(中共)を苦境に立たせてゆく事態を認識するのはそう遠くないであろう。つまり、中共の崩壊過程がこれから始まることになるわけであるが、ここまで関係が深く中共にも影響力の行使で浸透されている日本は大きな影響を受けるのは明らかである。

人間社会の新たな秩序を目指す確かな動きを推進していた「安部&DJT戦略」は、既存勢力よりその動きを止める作用が生じてきて、今は主要各国の政治指導者をはじめ各勢力に「過去に生きる者達」が跋扈している状態である。人間社会の人々は、この状態に「うんざりし始めている」訳であり、露西亜のプーチンの動きへの対応に体現されてきているであろう。露西亜では「露西亜帝国の崩壊」に事態は進みつつあるようだ。

この後、支那(中共)も露西亜と同様に「中共による支那帝国」が崩壊する方向へ進行するであろう。どれくらいの時間軸でそれが生じてゆくか。露西亜の崩壊とどのようにシンクロナイズされるのかも考えなければならない。人間社会は、この先この「安全保障問題」が主軸になり、分離の方向へ進みつつある世界経済も実際には単純な分離とはいかず、また科学技術体系の大きな革新の時期に来ていることもあり、各国の指導層は近時稀に見る程の有能な人物を必要としている。然るに、現実にはそうした人物は極めて稀で既に失っている人もいるであろう。

改めて日本の指導層を大きく変えてゆかなければならないことを再認識する。米国の中間選挙もあるが、日本は「総選挙」を行い指導層の入れ替えを進めるべきであろう。


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